【泉佐野市】驚くほどフルーティー!発酵学継承で唯一無二の味へ。これ水なす漬けって本当?『マコト商店』
南海泉佐野駅から徒歩5分、旧26号線「大宮町」の交差点を浜側に曲がってすぐのところにある、『泉州特産水なす漬け本舗 マコト商店』。
元料理人の店主が、丹精込めて作った “彩り豊かな無添加弁当”(10月~4月限定)がSNSで話題になるなど、若い女性にも人気の“水なす漬け専門店”です。
路地にひっそりと佇む店舗は、一見するとおしゃれなカフェのよう。
手書きの看板や、水なすモチーフのポップがかわいいですね♪
入店前から“水なす愛”を感じます。
木のぬくもり溢れる店内は、あたたかい雰囲気。ひとりでふらっと買い物に訪れるのもよさそうです。
商品棚には、「水なす漬け」(380円税込)や、話題の「蔵だしジュレじゃこごうこ」(500円税込)、野菜の色素で染めたタオルほか、地元作家さんのぬくもりある品々が並んでいます。
水なす&地元愛あふれる商品セレクトは、見ていて楽しいものばかり♪
人気の「蔵だしジュレじゃこごうこ」は、只今品切れ中。購入されたい方はお電話やメールで予約注文できるそうですので、お問い合わせを。
規格外の野菜の色素で染めたタオルは、パッケージもかわいくてお土産にもよろこばれそうですね。
“水なす漬け”とセットで、母の日のプレゼントにも◎
泉佐野ブランド「大木米」300g(600円税込)
「和手玉をかし(3個入り)」(3024円税込)
和菓子をモチーフにしたお手玉。なんてかわいいんでしょう!
無添加手作り石鹸専門店「オラン・ク・オラン」(560円税込~)
ココナッツオイルを主原料とした、お肌にやさしい無添加石鹸。
パッケージもかわいいので、プレゼントにもよろこばれますよ。
関西テレビ「よ~いドン」にご夫婦で出演経歴も。
店主の袋谷常文(ふくろやつねふみ)さんは、元イタリア料理店の料理人。
農業大学で乳酸菌について学ばれた先代の知識を継承し、2代目店主として代替わりした令和元年4月。奥様の亜美(つぐみ)さんとさまざまな苦労を経て、今の “水なす漬け” に辿り着いたと話されます。
「食のまち大阪は、日本各地の美味しいものを食べることができますが、泉佐野市は特産品を看板商品にしているお店が少ないことに寂しさを感じました。他府県では地産他消の動きが進む中、生まれ育ったわたしの町の魅力も、もっとみなさんにお届けしたい。地元を愛すること、季節感を大切にすること、健康になること、そんなコンセプトをもとに商品の改良をかさねました」
地元農家さんが朝収穫した水なすを、ご自身で取りに行かれて“当日中”に漬けるそうです。塩で揉んだあと、ぬか床に漬けるタイミングが大切で、加工をはじめると袋谷さんは手が離せなくなるのだとか。今回の取材も、「午後からでお願いします」と伝えたのは、そんな理由からとのこと。
“新鮮なうちに消費者へ届けたい” という熱い想いが、ひしひしと感じられます。
そして、こちらが『マコト商店』の水なす漬けで使用している“極上品”の水なす!
まるまるとしたフォルムに張りのあるボディは、まるで生まれたての赤ちゃんの肌のようです。ヘタの部分が光っている水なすは見たことがありません。
見てください! 収穫直後にしかお目にかかれないヘタの棘。1日から2日するとへなへなになってしまうそうです。
こちらは規格外の水なす。“袋にたくさん入って数百円”でよくみかけます。もちろん、調理して食べることは問題ありませんが、ぬか床に漬けると傷から塩分が染み込み、漬かり過ぎの原因や、味にばらつきがでてしまうそうです。
『マコト商店』の水なす漬けは、贈答用としても販売しているため、贈る人にも贈られる人にも満足いただけるよう“極上品”のみを使用。農家の方にもその心意気が伝わっているのか、すこし大きめの水なすを用意してくださるそうですよ。
それでは、水なす漬けをいただいてみましょう。
袋いっぱいの大きな水なすが、ゴロンと出てきました。
まず、色に驚きます。深緑のような、エメラルドグリーンのような。
こちらは5日ほど漬け込んだ“しっかり味のついた水なす漬け”。
わたしが普段食すものは、色が鮮やかな水なす漬けですが、色が鮮やかなものは、ミョウバン(添加物)で色止めをしているのだとか。添加物を使用していない本来の水なす漬けは、翡翠色のような色をしているそうです。
「以前、“色が鮮やかな水なす漬け”を求めて購入された方から『色がおかしい、傷んでいるんじゃないのか』などのクレームがあったんです。どんなに最上級の水なすを使っても、見た目だけで傷んでいると判断されてしまう。その需要にあわせて添加物を使ってニーズに応えようとする間違った循環を変えていきたい」
袋谷さんは、熱い想いで語られます。
ミョウバン(添加物)を使用すると、えぐみが増し、水なす漬け本来のすっきりフルーティーな味わいが楽しめなくなってしまうとのこと。
お話をうかがって、わたしはこの “翡翠色の水なす漬け” が、なんだか愛おしく、かわいく思えてきました。
丁寧にヘタを取り除きます。
手で裂くんですね?!
水なすがデザインされたお皿に、丁寧に盛られた水なす漬け。すみません、わたし今まで包丁で切っていました。泉州で生まれ育った方は、みなさんご存じなのかしら? 知人数名に尋ねたら、知っていた人と、知らない人も。横に包丁を入れると、繊維を断ち切ってしまい、ザクザクとした食感が楽しめないそうです。
“ちぎりなさいね。裂きなさいね。” と地元民から食べ方を教わったというご近所の方のお話も聞くことができ、そんなエピソードからも水なす漬けが古くから地元民に愛されていたことがうかがえます。
大ぶりな水なす漬けは、手で食べたい気分♪ 一口かぶりつくと程よい塩気に負けないくらいの甘みが口いっぱいに広がります。塩気のバランスはいつも食べるものに近いのですが、甘さが全然ちがいます。
そしてこちらが『マコト商店』いちおしの浅漬け! 昨日、漬けたばかりなんですって。翡翠色が美しいですね~。
漬けて5日目の水なすに比べて、実がぷっくりとしていて張りがあります。
こちらも手で失礼して…。
え? いやいや、これ、リンゴですか?! 驚くほどフルーティーで、果物の甘みにしか感じられませんが…。
信じられないほど甘いです。味の感想を何かに例えるとしたら、塩水にさっと浸したリンゴ! お弁当にリンゴを入れるとき、色止めのために一旦塩水につけるんです。あれです、あれ。塩気:1、甘み:9といったところでしょうか。ザクザクとした食感も、より果物に近い感じです。
水なす漬けの魅力は、漬かり具合で、さまざまな食感と味を楽しめることなのだとか。
まずは、1日目、フルーティーな味をそのままで楽しみ、塩気が増す3日目くらいからは、ごはんのお供として食していく…。そんな食べ方もおススメだそうですよ。
店内の冷蔵庫に、日付が書かれたメモが貼ってありました。「お客様のお好みにあわせて水なす漬けを提供できるように、覚書として貼っておくんです」と、にっこり微笑む奥様の亜美さん。
昔、「300円でいくつ入っとるんや?」 と聞かれ、「1つです」と答えると罵倒された悔しい時代もあったそう。
「自分たちのこだわりや、良さが届いていないからこそ価格重視で判断される。お得なもの競争ではなく、ちゃんとした商品にきちんと対価を支払う未来を目指したい」
そんな袋谷イズムは、“言い値で仕入れる” “値段はたたかない” など、生産者さんへの思いやりにも反映されています。
商品価値を上げる努力を続けた結果、地域の人たちの反応も少しずつ変わってきたそうです。
先代から受け継いだもの。
乳酸菌を生かしたぬか床の配合。
昔ながらの漬け方で1つ1つ丁寧に漬け込むこと。
生産者さんを尊敬し大切にすること。
『マコト商店』が愛される理由は、どうやらここにありそうですよ。
笑うのが苦手という袋谷常文さんと、しっかり者の奥様の亜美さん。お二人とも素敵な笑顔です。
この日は風が強く、旗がひっくり返ってしまったことも取材時のたのしい想い出です。翻った旗をなおす姿が、お二人の人生そのものに思えてきて、これからどんなお店になっていくのか、次なる仕掛けは何なのか、お二人のご活躍から今後も目が離せません。
『マコト商店』主催のたのしいイベントが5月に開催されます!
2022年5月8日(日) 10時~16時
「水なす初もんマーケット」
水なす、お漬物、パン、ご飯、スイーツ、陶器、タオルなど水なすの魅力がたっぷり詰まった商品や、ワークショップなどが楽しめますよ。
詳細は、水なす初もんマーケットHP(外部リンク)よりご確認くださいね。
前回の記事でご紹介した、
『まちば日和』(外部リンク)と、『シェアキッチン厨』(外部リンク)も当日同時開催。各エリアのスタンプを集めると、抽選で素敵なお宝をゲットできるそうなので、ぜひ遊びに行ってみてくださいね!
【袋谷さんのその他の活動】
春日町の築200年の古民家「くらふとや」の家守チーム「さの町場家守舎まちばの芽」発起人として現在も運営に携わる。
「衣食住+芸術」をコンセプトとした、健康で持続可能なオーガニック複合文化施設村「ふくろYA!BASE」(外部リンク)の一員としてご活躍中。
【基本情報】
店名:「泉州特産水なす漬け本舗 マコト商店」
水なす漬け(4月~10月頃限定)
営業日:月~土曜日
時間:10時~17時
お惣菜(10月~4月頃限定)
営業日:水・木・金曜日
時間:10時~17時
*お取り置きも可能です。
公式HP(外部リンク)
住所:〒598-0053泉佐野市大宮町12-6
Tel:072-462-0440
E-mail:info@mizunasumakoto.jp
取材協力 「泉州特産水なす漬け本舗 マコト商店」 店主 袋谷常文様、亜美様
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