3回戦8試合が行われ神戸弘陵らベスト8出揃う 『第28回全国高等学校女子硬式野球選手権大会』
第28回全国高等学校女子硬式野球選手権大会は25日、大会5日目に入り、兵庫県丹波市内の2会場で3回戦8試合が行われ、ベスト8が出揃った。神戸弘陵が快勝したほか、東海大翔洋が逆転サヨナラ勝ちをおさめるなど、1点を争う好試合が繰り広げられた。その中から3試合をリポート。
◆7月25日 3回戦 結果
東海大翔洋 2-1 福知山成美、秀岳館 1-0 神村学園、花巻東 4-0 甲斐清和 、埼玉栄 3-2 横浜隼人、神戸弘陵 7-0 熊本国府、佐久長聖 4-3 京都両洋、クラーク記念国際 14-1学法石川、履正社 1-0 岐阜第一
2連覇を狙う神戸弘陵は熊本国府に快勝
神戸弘陵は初回に2点を先制すると3回に3点、6回にも2点得点し、7対0と6回コールド勝ち。先制点は適時打で、3点目は四球での走者を犠打で進塁させてからのスクイズと、多彩な戦法で相手を攻めた。
3戦連続先発の阿部さくら(2年)は、今日も好投。相手打線を寄せつけず試合をつくると、坂井歩夢(3年)、昨夏の優勝投手で今大会初登板の伊藤まこと(3年)にリレーし0封した。
「阿部は夏にグッと伸びてきた投手」神戸弘陵・石原康司監督
「阿部は、公式戦では一度も投げていなかった投手。練習試合で投げているうちに、夏になるにつれだんだん良くなってきたから初戦でも登板させた。今日の相手打者も随分と差し込まれていた。今、うちで一番球が来てるんじゃないかな」
「勢いだけでなく緻密さも感じた」熊本国府・河野博行監督
創部3年目。今大会では2回戦突破を目標にしていた。「大健闘です。神戸弘陵さんは、力でねじ伏せようとするのではなく、データを頭にいれながら小技も決めてくるといった緻密さも兼ね備えていた。戦う前は、大味でどこかに隙があるはずだからそこに入り込むと勝ち目があるのではという思いだったが、そんな隙は全くありませんでした。選手たちは、強豪チームの真の強さを感じられたと思います」
今夏まではソフトボールとの二刀流の活動だったが、今秋以降は硬式野球のみに転換する。「3年生は創部1年目からソフトもしながら、女子硬式野球部の下地を作って来てくれた。大会成績も初年度は1回戦敗退だったが昨年は2回戦、今年は3回戦まで勝ち上がってくれました。後輩たちにもの凄い遺産を残してくれたと思います」
クラーク記念国際は13安打で14得点し学法石川に大勝
クラーク記念国際は、初回、満塁で6番・熊谷碧衣(2年)が三塁適時打を放ちいきなり3点を入れると、その後も毎回得点し4回までに14得点。学法石川に1点しか与えず、4回コールド勝ちをおさめた。
この日は先発した柴田栞奈(3年)は、自慢の制球力で3回を9打者におさえる好投で相手に隙を与えなかった。
学法石川は、エースの平山楓梨(3年)が序盤から長打を含む6安打され、なす術がなかった。
「点をやらないつもりで投げた」クラーク記念国際・柴田栞奈(3年)
「よく練習試合をしていました。いつも2対1といった接戦で、点を奪うのは難しいだろうと思っていたので、こちらも点を与えないつもりでマウンドに上がりました。インコースにしっかり投げ込もうと心がけました」
「もっと打球が飛ばせると思う」クラーク記念国際・熊谷碧衣
「福井工大福井戦では、下がり気味の外野手に打球が取られたので、今日は低めの強い打球を打とうと打席に入りました。まだ上半身だけで打っているので、下半身を上手く使えたら、もっと飛ばせると思います。ホームランを狙いたいです!」
3打数3安打、生還率も100パーセントの活躍、クラーク記念国際、8番・笠森咲希(2年)
「狙い球というよりは、甘く来た球は全て振りに行きました。今大会は(打撃の)調子がいいので、自信はあります。3年生のために自分の役割を果たして、チームの勝利に貢献したいです」
「僕のミスだったかもしれない」学法石川・五十嵐竜亮監督
「うちの一番いいピッチャーの平山が打たれたので悔しいとは思っていません。ただ、普段通りのピッチングができていたら、ここまで点差は開かなかったはずなので、平山の調整のさせ方を僕がミスしてしまったかなと。その意味では、すごく悔しいです」
「打たれて悔しい」学法石川・平山楓梨(3年)
「練習試合ではここまで打たれなかったですが、最後に(クラークと)試合をしてから1カ月以上空いたので、その間に研究されてしまったと感じました。悔しいです」
1点をめぐる攻防は履正社が制す
履正社・堀明日香(3年)と岐阜第一・桒澤明里(3年)の両エースの投げ合いは、互いに無失点と譲らず、勝負は終盤までわからない展開に。6回表、履正社は2死一、二塁から4番・西本夢生(3年)の左翼への安打で、二塁走者、2番・小池遥香(3年)が一気に生還、1点を捥ぎ取り決勝点となった。
決勝点をたたき出した、履正社・西本夢生
「(岐阜第一の)桒澤さんはいいピッチャーなので、なかなか点を取るのは難しいだろうということで、単打をつないでいこうと話していました。(ヒットする)前の打席はボールをこすってしまったので、しっかりミートすることを心がけて打席に立ちました。打った球はストレート。ボールが当たった瞬間、飛んだ!と思いました。(二塁走者、小池さんは)チーム一足の速い選手なので、還ってくれると信じてました」
「仲間に助けてもらいながら投げ切れました」履正社・堀明日香
「左投手としてコントロールには自信があるので、どんどん攻めていこうと思い投げました。(岐阜第一から6奪三振したことについて)もともとは打たせて取るタイプなので、振ってくれたらいいかなくらいで、狙っていたわけではありません。それがかえって良かったのかもしれません。なかなか得点できない展開で1点が入ったので、死守するというよりも、『1点もある』と気持ちを楽に投げることができました。仲間のおかげです」
「選手たちはプレッシャーに耐えてくれた」岐阜第一・鹿川大翔監督
「昨年準優勝して『次は優勝』という周囲から大きな期待をかけられる中、選手たちはよくやってくれました。ベスト16という成績は十分よくやった結果です。(1年時からエースだった桒澤さんに対して)世代でナンバー1の投手だと思っています。一人責任を背負って投げ続けてくれました。日本一には届かなかったけれど、この結果を褒めてあげたい」
1年生から力強い球を投げ注目を浴び続けた岐阜第一・桒澤明里
「高校で野球が終わる仲間もいて、それから今までサポートして下さった保護者の方、ベンチに入れなかった仲間たちすべてに優勝という結果で恩返しがしたかったけれど、かなわず申し訳ない気持ちでいっぱいです。後輩たちには、リベンジして欲しいです。これからは、球界一のピッチャーを目指してがんばりたいと思います」
(撮影はすべて筆者)