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41歳。「今年は結婚する予定です」と4年前から言い続けています~40歳からの婚活入門(41)~

大宮冬洋フリーライター
東京・上野のカフェにて。岡田さんはスリムな体型をしている色白美人です(筆者撮影)

 40代、独身。孤独を感じることもあるが、周囲を見渡してみると自分と同世代の独身者もいるし、子育てを終えて次の生活を模索し始めた人もいる。肩を寄せ合えるパートナーを探すことが広義の婚活だとしたら、何歳からだって遅くはない。本シリーズでは、現代に生きる独身の40代の実生活と心情を聞き取り、筆者の考えを添える。同じ40代として、残りの人生を充実したものにするために。

***岡田綾子さん(仮名、41歳)の話***

これほど努力しても結婚できないのかと情けなくなり、涙が流れました

 35歳のときに突然結婚したくなったんです。ある人とお見合いをして、それはうまくいかなかったのですが、初めて結婚をイメージすることができたのだと思います。すぐに結婚情報サービス会社を訪問して入会しました。

 20代の頃は彼氏すらいませんでした。欲しくなかったわけではありませんが、芸術系の趣味に凝っていたので恋人を作る優先順位は低かったんです。私には没頭癖があるので、今は趣味は意識的にセーブして婚活にまい進しています。詳細な婚活手帳をつけているぐらいの本気の婚活です。

 結婚情報サービスを利用して、5カ月間で30人とお見合いしました。私は相手の学歴や年収はあまり問いません。手に職がある人に惹かれる傾向があるぐらいです。外見にはこだわりがあって、体を鍛えている人でないと好きになれません。面食いでもあります。婚活を始めた頃は自分の前後10歳ぐらいとお見合いしていましたが、今では50歳の男性は対象外です。30歳は構いません。

 婚活をしているうちに同い年の男友だちと付き合うことになりました。でも、彼が結婚を考えていないことがわかって別れました。その後も交際した人がいますが、私はとにかく結婚をしたいので、「いつまでに結婚してくれますか。1年以内には結婚してくれないなら別れます」と伝えています。永遠を誓わない愛の言葉は本気で聞かないようにしているんです。それで終わった恋愛もあります。

 有料の婚活サイトにも入りました。半年間で、あらゆる変な男性を知りましたよ。ヤリモク、ヘイトメール、年齢詐称、職業詐称……。でも、6歳上の男性と付き合うことができました。彼のどこが良かったのか、ですか? えーと、顔です。とにかく忙しい人で月に1回ぐらいしか会えずに終わりました。去年の1月のことです。彼と別れたこと自体が悲しいというよりも、これほど努力しても結婚できないのかと情けなくなり、涙が流れました。

41歳という年齢には悲観していません。20代30代の頃よりモテています

 でも、理性は保てています。婚活自体へのメンタルは強いほうだと思いますよ。付き合っている人がいても、別れを予感するとすかさず婚活の場に戻ります。最近は、結婚相談所を2つ掛け持ちしつつ、婚活パーティーにも出ています。

 昨年末は婚活パーティーを含めると1カ月で100人の男性と会いましたが、特に疲れたりはしません。週末は1日に2、3人とデートすることもざらです。何にも責任がない関係で、アハアハと笑ってご馳走になっていればいいのだから疲れませんよ。むしろ、1対1で真剣に付き合い始めてからのほうが心労が多いです。私はもともと口下手で、一人でいるほうが好きなタイプなので……。

 それでも、どうしてもパートナーが欲しい。なりたい自分になるためには、結婚というプロセスが必要だと思うから。今までは自分のやりたいことだけやってきましたが、自分でコントロールすることができない他人を受け入れて成長していきたいんです。独身のままトシがいった人を見ていると、他人と暮らせずに自分が変わる余地がなくなることに恐怖を覚えます。

 ただし、子どもは欲しくありません。子どもの存在は自分を犠牲にし過ぎると思うからです。尊敬するアーティストにも子なし夫婦が多くて、うらやましいなと感じています。DINKsを目指す人たちのパーティーにも3回ほど参加しました。いずれも大盛況でしたよ。

 41歳という年齢には悲観していません。むしろ20代30代の頃よりもモテていますよ。子どもが欲しくない私にとっては今が適齢期だと思っています。絶対に結婚できる確信があるんです。今年こそ結婚します。4年前から同じことを言っていますが……。たくさんの友だちが私に影響されて婚活を始めて、そのうち何人も結婚を果たしました。私も60歳までは婚活を続けるつもりです。

「今日もこれから2件のデートがあります」という岡田さん。2月上旬に取材しました。(筆者撮影)
「今日もこれから2件のデートがあります」という岡田さん。2月上旬に取材しました。(筆者撮影)

***筆者より岡田さんへ***

清々しいまでに婚活に没頭している岡田さん。もはやライフワークですね!

 いきなり脱線しますが、僕は以前に「食べ物マニアーズ」という連載をしていたことがあります。特定の食材や料理に偏愛を捧げる人々を訪ね歩き、その奇妙な生活を聞き取るという内容です。全国各地のご当地ペットボトル水を購入するために旅先で自動販売機を見かけるごとにバイクを止めるのでなかなか前進できない水マニア。イカが好き過ぎてスルメイカを食べ続けたら歯が割れたけれど「イカのせいじゃない。私の歯が弱いだけ」とイカをかばうイカマニア。ウイスキーが好き過ぎて燻製作りにハマり、時間のかかる本格的な燻製を作るために会社を辞めるか否かを本気で悩んでいる燻製マニア。いずれも滑稽で、愛すべき人々でした。

 没頭癖があると自認している岡田さんにも同じ匂いを感じます。ここでは書き切れないほどの婚活体験を教えてくれましたね。普通の女性が相手であれば、「そんなにハイペースでお見合いと交際と破局を繰り返していると、一人ひとりとしっかり向き合えなくなるよ」などのアドバイスをするところです。でも、岡田さんほど努力をし、その努力を楽しめてしまっている人には不要な助言ですよね。「これほど努力しても結婚できないのかと情けなくなり、涙が流れました」とおっしゃっていましたが、そんな自分の姿も岡田さんは好きなのだと思います。

 60歳までは婚活を続けるつもり、というくだりでは笑ってしまいました。清々しいです。もはやライフワーク。婚活マニアですね! 自分の気持ちや意図をはっきりと相手に伝えて、別れるときはきっぱり別れているところも好印象です。60歳になったときの岡田さんにも会ってみたいと思います。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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