主な新興国経済ニュース(5月29日)
ハンガリー中銀、0.25%利下げ―10回連続
ハンガリー中央銀行(MNB)は28日の金融理事会(MC)で、市場の大方の予想通り、政策金利の2週間物預金金利を現行の4.75%から0.25%ポイント引き下げて4.5%とし、前回4月会合時の過去最低の水準を更新した。利下げは29日から実施される。
中銀は2011年12月に7%へ0.25%ポイント利上げしたあと、しばらく政策金利を据え置いたが、昨年8月29日から0.25%ポイントの利下げキャンペーンを開始し、今回5月会合で10回連続となる0.25%ポイントの利下げを決めた。これで合計2.5%ポイントの引き下げとなる。
中銀は金融政策決定会合後の声明文で、「国内生産の伸びは潜在的な伸び率を下回っており、失業率も構造的要因による失業率の長期水準を上回っている」としたが、「今年は昨年のリセッションから脱出する可能性が高い。しかし、需要は弱いのでインフレ圧力は当面、抑制される」との見通しを示した。
さらに、中銀は、「インフレと実体経済の見通しは利下げの方向を指し示している。中銀はインフレの中期見通しが物価目標(3%上昇)と一致し、また、金融市場の安定が持続するならば、追加利下げを検討する」とし、利下げキャンペーンに含みを持たせている。
ブタペスト・ビジネス・ジャーナルによると、米大手証券JPモルガンは最新の顧客向けリポートで、ハンガリー中銀の利下げキャンペーンによって、政策金利は今年末時点で3.25%まで引き下げられるとの見通しを明らかにしている一方で、ハンガリー経済専門サイト、ポートフォリオによると、野村証券は、利下げキャンペーンは4%になるまで続くと予想が分かれている。
次回の金融政策決定会合は7月23日に開かれる予定。
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ロシア航空大手アエロフロート、同業大手シビル航空を近く買収か
ロシア航空大手アエロフロートは、同業大手3社のうち、シビル航空を近く買収する可能性が高まっている。モスクワ・タイムズ(電子版)が28日に地元経済紙ヴェードモスチの報道を引用して伝えた。
政府筋によると、具体的なことは何も決まっていないものの、シビル航空のほか、トランスアエロ航空やUTエアーといったアエロフロートにとって競合する大手3社の中では、シビル航空が買収の対象になる可能性が高いとしている。その根拠にとして、シビル航空の買収によって、中国各都市に入る路線が一挙に手に入るほか、シビル航空が保有する欧州航空最大手エアバス製の近・中距離向け旅客機「A320」の機材も利用することができるため、コスト低下にも寄与することを挙げている。
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インドネシア有料道路大手チトラ、経営難の国営航空ムルパティを買収か
インドネシア有料道路運営大手チトラ・マルガ・ヌサファラ・プルサダは、経営難に陥っている国営航空会社ムルパティ・ヌサンタラの過半数の株式を取得する方向で協議しているもようだ。ジャカルタ・グローブ(電子版)が28日に地元紙インベスター・デイリーの報道を引用して伝えた。
チトラは買収金額として8000億ルピア(約80億円)を提示している。関係筋によると、シトラの株主は前向きに買収について議論しており、買収を了承する見通しだとしている。ムルパティ・ヌサンタラ航空はインドネシアでも離島などあまり利用客が多くない路線を運航しているが、国内市場の競争激化と非効率な経営が重なって、同社の経営問題が一層悪化している。
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インドネシア生薬大手シドムンチュール、下期にIPO実施へ
インドネシア生薬大手シドムンチュールは今年下期(7‐12月)に新規株式公開(IPO)を実施し、1兆5000億ルピア(約150億円)の資金を調達する計画だ。ジャカルタ・グローブ(電子版)が28日に伝えた。
同社は発行済み株式の10-20%をIPOで売却したい考え。IPOの幹事社はクリシュナ証券となっている。シドムンチュールは中部ジャワ州の州都スマランに工場を保有し、感冒薬やスタミナ飲料「クク・ビマ・エナジー」を生産している。
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ベトナム中銀、7‐9月期に0.5%追加利下げか―民間銀行予測
英金融大手スタンダード・チャータード銀行は、ベトナム中央銀行が7‐9月期に0.5%ポイント利下げを実施する可能性が高いとの予測結果を明らかにした。地元金融情報サイト、ストックスプラス(電子版)が28日に伝えた。
ベトナム中銀は10日の金融政策決定会合で、景気を刺激するため、主要政策金利である商業銀行への貸出金利となっているリファイナス金利(再割引金利)を1%ポイント引き下げて7%としている。利下げは2012年初め以来8回目、今年に入ってからは2回目。
スタンダード・チャータード銀行は、中銀による利下げは銀行の貸し出しの伸びの鈍化が背景にあると指摘している。ちなみに、2012年末から今年4月までの銀行貸し出しはわずか1.4%増にとどまっており、政府の今年の貸し出しの伸び率目標12%増を依然下回ったままだ。
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ホンダ、ブラジルに第2の自動車工場建設へ―候補地の検討開始
ホンダ<7267.T>の南米事業部門の責任者である武田川雅博・南米本部長は28日、ブラジル経済紙バロール・エコノミコのインタビューで、現在のブラジル・サンパウロ州スマレーにある自動車工場の生産能力が限界に達したことから、ブラジル国内に第2の自動車工場を建設するため、10都市以上の候補地を選び検討を開始したことを明らかにした。
同社はこれまでスマレー工場で1日の操業時間を2時間延長して増産に取り組んできたが、年間14万台で限界に達したとしている。これは過去最高の生産台数を記録した2012年の13万6000台をわずか3%上回ったにすぎない。同社は5年間で100万台の自動車販売を目指しており、これは年間20万台のペースで販売する必要がある。しかし、現在の1工場の生産体制では対応できない状況にある。ただ、スマレー工場の敷地内には新工場を建設するスペースがないため、他の地域に新工場を建設する計画だ。 (了)