ドウデュース新天地へ出発 調教に携わってきた大江助手の"贈る言葉"と地道な馬の業界への就活支援
25日午前、ドウデュースが栗東トレセンを出発し、新天地である北海道に向かって出発した。この日、松島オーナーや武豊騎手も見送りに参加するなど沢山の人々に見送られ、トレセンでの生活を終えた。これに際し、これまでフランス遠征に帯同するなどドウデュースに携わってきた大江祐輔助手(友道康夫厩舎)が愛馬へ"贈る言葉"を寄せてくれた。
「有馬記念への出走が決まったときから、これがラストランになることはわかっていましたが、その段階では少しでも有馬記念に良い状態で臨ませることに集中していたため、あまり引退を意識することはありませんでした。
残念ながら今回は出走を見送ることになったとき、引退を迎えるという実感が湧きました。そして、寂しさと同時に次のステージへ送り出せる安堵感で胸がいっぱいになりました。
デビュー以来、友道厩舎と競馬界を大いに盛り上げてくれたドウデュース。本日、種牡馬になるために厩舎を出発したとき、改めて彼に心から『ありがとう』と伝えました。
近い将来、ドウデュースが偉大な父となり、さらなる活躍を願っています。そして、次はドウデュースの産駒に携わり、その仔でターフを沸かせたいです。」(大江助手)
■ドウデュースを支えてきたホースマン 友道康夫厩舎 大江祐輔調教助手に密着 / テレ東競馬チャンネル
独自に取り組む馬の業界への就職プレゼンテーション
大江さんは調教助手として働きながら、地道にある活動を続けている。馬の業界への就職プレゼンテーションだ。
「僕自身は実家が生産牧場なので生まれながら馬の業界とは接点がありましたが、一般の方々は決してそうではなく、その入り口がよくわからない人も多い印象です。しかし、現役の競走馬を扱うトレセンだけでなく、さまざまな牧場等の馬に関わる職場で十分な人員が確保できないのが現状なのです。そこで、高校生、大学生の馬術部を中心に馬の業界で働くことにより興味を持って欲しいと思い、2006年頃から馬の業界への就職プレゼンテーションをはじめました。」
今年10月、馬事公苑で開催された全日本学生馬術大会の会場内で、大江さんは独自のネットワークで競馬関係者を集め、馬術部所属の大学生らに就職プレゼンテーションを行った。
今回、イクイノックスの調教を担当した阿部孝紀調教助手(木村哲也厩舎)、イクイノックスやレガレイラを担当する楠友広調教助手(木村哲也厩舎)、東京オリンピック日本代表の林伸伍さん、下の集合写真には写っていないがパリオリンピックで銅メダルを獲得した初老ジャパンのおひとりである北島隆三さんが参加して就職プレゼンテーションが行われた。
阿部助手と楠助手が持ち込んだ木馬を使い、実際に彼らが跨ってその動きを披露する。目の前で"超"スペシャリストたちが実演する騎乗スタイルに集まった学生たちは興味津々。息を吞みながらプロフェッショナルな動きに見入っていた。そして、質疑応答や学生が木馬に騎乗した様子をスペシャリストたちが指導する、といったまたとない機会にある学生ははしゃぎ、ある学生は真剣に自身の馬の業界への就職への道を相談していた。
馬業界への就職に興味のある方はぜひご参加を
現状、人不足は馬の業界だけでなく、社会全般の課題である。その中で、馬に携わる業界はその門戸は以前に比べてだいぶ開かれてはいるものの、就職後の具体的な生活や待遇などがあまり知られていない印象は拭えない。
そういった中で、馬の業界の第一線で活躍する彼らと直接触れ合いながら、学生たちが直接質疑応答したり、彼らの指導を受けられるのはわかりやすく貴重なイベントだと感じた。大江助手は今後も本業を邁進する傍らで、この活動を続けていくとのことなので興味のある方々は次の機会をぜひ楽しみにして欲しい。