ジャパンCのジョッキーカメラが面白い!ドウデュース武豊が一瞬で抜き去る瞬間、海外名手のギリギリの攻防
24日、ジャパンカップは1番人気のドウデュースが見事な差し切りで勝利をおさめた。JRAはそのジョッキーカメラを公式Youtubeで公開しているが、その映像が実に面白い。
ドウデュースは道中は概ね時速56~58キロ前後、時に60キロで進めていたが、その数字が「時速60キロ」を超えたのはゴール手前841m地点、そこから確実にペースアップしたドウデュースは700m付近から安定して時速60キロ台を重ねるようになり、600付近からさらにペースアップ。前を行くチェルヴィニアを外から抜き去った400m付近では時速69.1キロを記録。1頭で抜け出した後も安定して時速60秒台後半で走り続け、ゴールした。
■2024年 ジャパンカップ 優勝した武豊騎乗ドウデュースのジョッキーカメラ / JRA公式
「めっちゃひっかかった。凄い脚。unbelievable」
その後、武豊騎手はクリストフ・ルメール騎手から祝福されると「ありがとう」と答え、流しつつ、落ち着くと改めて繰り返し溢れんばかりの喜びを口にしていた。
「ありがとう。凄い」
「ありがとう。めっちゃ引っかかった。」
「いやー、ひっかかった。凄い脚。unbelievable(信じられない)」
そして、クリストフ・ルメール騎手に「何着?」と聞く場面もあり、面白い。
ウイニングラン。ドウデュースをうながしながら正面スタンドに向かうと、ジョッキーカメラが大歓声を拾う。そして、道中、あれだけぶれなかった武豊騎手のジョッキーカメラがスタンドをあちこち見まわしながら視線が揺れるのだ。
そして、ドウデュースを担当する前川助手と合流すると、第一声、
「わー、ごめん、ひかっかった。」
その後は普段から関係者と話すような会話が続く。
「ありがとう。いや、もう、手、痺れた。凄いな、この馬。」
「一体、半マイル(ゴール前800m)からナンボ(のタイム)で上がったんやろうな?恐ろしいな。未勝利みたいな(スローな)ペースやったもんな。」
さらに、地下馬道で大江助手と合流。「凄い手ごたえでしたね」と声をかけられると
「(ペースが)遅すぎてさ。」
「このメンバーで外回って、半マイル(速い脚が)もつわ。」
大江助手から「よく、あの難しいタイミングで(追い出し始めて)行きましたね?」と聞かれると、
「あれしかないかな、と思った」と即答。追い出しのタイミングについては、しっかりした自信があったように伺える。
■2024年 ジャパンカップ(GⅠ) 優勝馬 ドウデュース / JRA公式
昨年の有馬記念のラストスパートがジャパンC勝利のヒントに
「よし、有馬(記念)。有馬いこ。」
レース直後に次の展望を話すのも、松島オーナーと武豊騎手の絆があってこそのことだ。
さらに、武豊騎手が自ら追い出しのタイミングで「あれしかない」と思った根拠を話しだす。
「有馬のほうが競馬しやすいかもな。去年、700(m、上がりの速い脚を)もってるから、今日あっこから動けたわ。去年、あの状態であっこからもってきてるから。もう、(ゴール手前800mから仕掛けても)大丈夫やろ。(だが、)東京であっこ(ゴール手前800m)からで(これだけの脚を使える馬は)いないけどな。」
検量室が近づくと、友道師とも合流。第一声はやはり謝罪だ。
「いやー、ちょっとひっかかったけど。すみません。先生、ありがとうございます。ひっかかったけど。やったね!やった!」
そして、検量室が近づくにつれ多くの関係者と顔を合わせていくが、やはりそこで感謝の言葉とともに道中決して楽ではなかった様子を口にしていた。
「ありがとうございます。いやいやいや、元気良すぎるわ。ひっかかって、もう。」
ちなみに、2023年有馬記念のジョッキーカメラで確認すると、ラスト700m付近からラストスパートに入った様子がわかる。
■2023年有馬記念 ラスト700m地点からのドウデュース・武豊騎手のジョッキーカメラ / JRA公式
クリストフ・ルメール騎手はチェルヴィニアに騎乗していたが、そのジョッキーカメラからは動画の2分05秒、外からドウデュースに一瞬にして捉えられる瞬間がわかる。
■2024年ジャパンカップ 武豊騎乗のドウデュースがチェルヴィニアを抜き去る瞬間 / JRA公式
これらのジョッキーカメラの映像から、、武豊騎手のぶれない視点と、まさに"測った"ようにレースを操る様子が映像と本人のコメントからよくわかった。
競馬の勉強にもなる、このジョッキーカメラの企画は今後もさらに活用していきたいし、主催者が多くのジョッキーカメラを設置・公開してくれること願う。
シビアでタイトなスミヨン騎手視点のジョッキーカメラに酔う
最後に。1枠1番ゴリアットのスミヨン騎手のジョッキーカメラの映像をぜひご覧いただきたい。内々でレースを進めていたが、ジョッキー目線では内ラチギリギリのこれほどまでギリギリな位置に潜り込んでレースを進めていたのか、と感服する。
カメラの映像は馬の頭がよく写っており、他のジョッキーに比べると低めだ。さらに、揺れが多めなので見ていて酔いやすい。しかし、シビアな手綱さばきをすることで知られるスミヨン騎手だが、どれだけタイトなレースをしているのかをビシビシと感じられる映像には気持ち的に違う意味でも"酔う"。ぜひ、見て欲しい。
■2024年ジャパンカップ ゴリアットに騎乗したスミヨン騎手のジョッキーカメラ / JRA公式