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工藤監督が58歳に。誕生日無傷6連勝へ、お立ち台で歌うのは和田毅?

田尻耕太郎スポーツライター
報道陣から贈られたプレゼントと花束を手に記念撮影(球団提供)

 福岡ソフトバンクホークスの工藤公康監督が5月5日、58歳の誕生日を迎えた。チームは前日の試合で楽天に6-4で勝利して連敗を2でストップ。首位に立つ楽天とのゲーム差を1に縮めた。

 5日は9連戦の最終日。上位直接対決という大事な一戦であり、4カードぶりのカード勝ち越しを狙う意味合いも持つ。

 先発は和田毅投手。今季ここまで5試合に登板して2勝2敗、防御率3.34の成績を残している。楽天戦は4月21日に先発して6回途中1失点で勝ち投手になっている。工藤監督は「良いコンディショニングできていて、キャンプから体づくりも投げる方もしっかりやってきた。僕が今まで見た中でも一番じゃないかというくらい。シーズンに入ってもいい仕事をしてくれている」と期待を寄せた。

お立ち台でヒーロー熱唱が恒例に

 この5月5日は、監督就任後5戦して無傷の5連勝だ。報道陣からそう水を向けられると照れた笑顔を浮かべて「ありがとうございます。これも選手たちが頑張ってくれているおかげです」と謝意を述べた。

「おまけにハッピーバースデーも歌ってもらってね。いつもいい誕生日で、幸せな5月5日にしてもらっています」

 ヒーローが工藤監督に向けてハッピーバースデーをお立ち台で歌いあげる。

 監督1年目だった2015年、サヨナラ本塁打を放った柳田悠岐外野手がマイクを握って「ハッピーバースデー、ディアかんとく~」と熱唱した。その後2年間はビジター開催だったが、2018年は1安打完封勝利を成し遂げた武田翔太投手、2019年は当時売り出し中だった周東佑京内野手が美声を本拠地のドームに響かせた。

 2021年は誰がヒーローになるのか。先発の和田はもちろん有力候補の一人だ。

「和田くんから歌? えへへ。それよりもチームが勝つのが大事。勝てば4カードぶりの勝ち越し。そこに向けてしっかり頑張ってほしいです」

 この日PayPayドーム内のプレスカンファレンスルームでは、報道陣から誕生日のお祝いの品や花束などが贈られた。

誕生日を迎えて取材に応じる工藤監督(球団提供)
誕生日を迎えて取材に応じる工藤監督(球団提供)

 また、過去5度の工藤監督バースデー勝利を振り返る。

◆2015年5月5日 ソフトバンク4×―3ロッテ(ヤフオクドーム)

 もの凄い打球がライトスタンドの最上段に突き刺さった。柳田悠岐の超特大のサヨナラホームランで決着した。

 3対3で迎えた延長十一回裏1アウト。「(試合を)決める…、決められたらいいなと思って打席に入りました」。2球目、真ん中から少し内角高め寄りのストレートを持ち前の力一杯のフルスイング「楽勝で入ったと思った。途中で(ポールを)巻くなと思ったので、走らなくてもいいと思った」と打席でじっと白球を見つめたまま。ホームランを確認すると、雄叫びを上げながら悠然とベースを一周した。また、勝ち投手は二保旭。プロ初勝利から2日後に2勝目を手にした。

◆2016年5月5日 ソフトバンク2―1日本ハム(札幌ドーム)

 投手戦の均衡を破ったのは五回表だ。四球で出塁した長谷川を一塁に置いて松田が先制の2ラン本塁打を放った。

 先発した東浜は七回に大谷にソロを浴びたものの、3安打1失点で投げきった。その後はスアレスとサファテが盤石の無安打リレーを見せて逃げ切り勝ちした。

◆2017年5月5日 ソフトバンク3-2ロッテ(ZOZOマリン

 見事な逆転勝ちだった。0対2で迎えた九回表、先頭の4番内川が四球を選んで出塁すると、5番デスパイネが同点ホームラン。さらに当時売出し中だった8番上林がソロ本塁打を放って土壇場で試合をひっくり返した。

 先発して8回2失点と粘った中田も嬉しい白星で報われた。

◆2018年5月5日 ソフトバンク3-0ロッテ(ヤフオクドーム)

 武田が見事な1安打ピッチングで、シーズン1勝目を完封勝利で飾った。「調整の中で、投げ方を一カ所だけ修正して臨みました」。それは右腕の使い方だった。本来は外旋させて投げる投手が多い中、この日の武田はあえて内側に巻き込むように腕を振り抜いた。

「投げミスになった時、前の投げ方だとボールが抜けてしまう。だけど今日の投げ方ならば低めに引っ掻いて叩きつけるようなボールになる。とにかく低めに投げようと心掛けていた」。スライダーが切れ味を増し、ストレートは最速151キロをマークした。

「ようやく今シーズンが始まりましたね」

 工藤監督の誕生日ということで、お立ち台ではハッピーバースデーを美声で歌い上げ、「面白かったです」と笑顔を見せた。

◆2019年5月5日 ソフトバンク7―2オリックス(ヤフオクドーム)

 自慢の俊足で勝利に貢献した周東は盗塁成功率ここまで10割だ。19試合出場で早くも8個のハイペース。しかし、オープン戦では3盗塁死で成功はゼロで180度の改善だ。

「今は余裕がある。走ったらセーフだろみたいな。あとは本多コーチと話もする。投手の特徴や配球などを聞いている」

 本多コーチもまた「積極的に走っている」とその姿勢を高く評価した。

 また、後ろを打つ3番打者の今宮の存在も大きいという。「今宮さんが好調だから、僕が走者でも直球一辺倒になりづらいし、バッテリーの気持ちも打者に向いてくれる」。工藤監督からの信頼も日に日に高まっており、故障者続出でも首位を快走する強いソフトバンクの象徴的存在になってきた。

 そして周東はお立ち台の上で、工藤監督に向けてバースデーソングを熱唱した。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。「Number web」でのコラム連載のほかデイリースポーツ新聞社特約記者も務める。2024年、46歳でホークス取材歴23年に。 また、毎年1月には数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。

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