新ZOZOSUITの特許化状況を調査してみた
私も大いに期待していた未来感あふれるZOZOSUIT、コスト面の理由なのか品質面の理由なのかわかりませんが結局伸縮センサーによる測定機能はなしになって、水玉模様のマーカーが付いたボディスーツを着てスマホで撮影するというややローテクなものとなりました(関連記事)。まあ、ローテクだろうが何だろうが目的を達成できれば良いのですし(ちょっと「一方ロシアは鉛筆を使った」のアメリカンジョークを思いだしてしまいました)、有望でないとわかったら一瞬で方向転換する"Fail Fast, Fail Cheap"の戦略は評価できるでしょう(伝統的日本企業であればずるずると続けて傷を深くしてしまいそうなパターンです)。
この新ZOZOSUITのアイデアは、匿名の3人の研究チームから3億円で購入したそうです(関連記事)。以前も書いたように特許出願せずに他社にアイデアを売るのは大変リスキーなので、このアイデアも特許出願されている可能性が高そうです。過去1.5年以内に出願されていれば未公開ですが念のため調べてみました。
「人体 測定 採寸 計測 マーカー」等々のキーワードをいろいろ組み合わせて日本の特許出願をサーチしてみましたが、それらしいものは見つかりませんでした(短時間でサクっとサーチしただけなので漏れがあるかもしれません)。
「body measurement marker camera」等々をキーワードにして海外出願をサーチしてみるとそれらしいのが何件か見つかりました。
見つかった範囲で一番近いのは、米国特許出願” System and method for 3d shape measurements and for virtual fitting room internet service” 公開番号20120095589です。まさに新ZOZOSUITのようなマーカー付きのボディスーツ(タイトル画像参照)をカメラで撮影して画像処理することで体型を測定するアイデアが開示されていますが、米国特許4885844を引例として新規性なしということで拒絶になっています。
米国特許4885844はというと、水玉ではないですが直線が描かれたボディスーツを着た画像をカメラで撮影することで採寸するアイデアが開示されています(下記画像参照)。1988年の出願なので特許権はとっくに消滅しています(特許料未納付で権利消滅していますが仮に払い続けていたとしても期間満了しています)。予想通り、マーカー付きボディスーツで採寸というアイデア自体は特許権の制約なしに誰でも使える自由技術になっていることがわかります。
そうなると、新ZOZOSUITSの新しさはどこにあるか、そして、そこは特許出願されているかに関心が移ります。もし、出願され(さらに審査が進んで公開され)ているならば、上記の20120095589が審査段階で引用されている可能性が高そうですが、そういう観点から調べてみても直接関係ありそうな出願は見つかりませんでした(こちらもサクっと調べただけなので漏れがあるかもしれません)。
まだ公開前という可能性も十分ありますので少し間を置いて再度調べてみようと思います。