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超大型・台風21号の大荒れの天気は、衆院選にどう影響するのか

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
台風21号の衛星画像 (NOAA)

衆院選がいよいよ明日22日に迫っています。

近年、期日前投票の割合が20%台まで高まっているようですが、一方で、ぎりぎりまで投票を悩んでいる人が多いのも実情です。総務省の調査によると、平成26年の衆院選において、誰に投票するのかを「当日」に決めた人は投票者全体の10.5%、さらに「当日」に選挙に行くのをやめた人は棄権者全体の32.8%にも及んでいたようです。

つまり、候補者や投票の可否を当日まで決めかねている人が多々いるということで、こうした人々にとっては、選挙日の天気も投票行動に影響するといっても過言ではなさそうです。

例えばどんな影響が考えられるのでしょう。

投票率と天候

とかく雨の日は行動が鈍りがちですが、実際に雨の日は投票率が低くなるという結果が、様々な国で出ています。

例えば、過去のアメリカの14回の大統領選で、25ミリ雨が多く降るごとに、投票率が0.9%ずつ下がったという結果(※1)が得られています。同じように、オランダの13回の議会選でも、25mmの雨が降るごとに投票率が1%下がったようです。さらにイタリア(※2)においても、同様の結果が出ています。

一方日本ではどうでしょうか。

日本でも雨の日は投票率が低下するといわれています。しかし、それだけではなさそうです。

ウェザーニュースの調査によると、15回の衆院選で最も投票率が低かった日の天気は「晴れ時々曇り」で、その次が「晴れ」だったそうです。晴れた日は投票所ではなく、行楽地に足が向いてしまうからで、そのため雨でも晴れでもない曇天の時に、投票率が高くなる傾向があるようです。

候補者と天候

では次に、天気で候補者の選択が変わるのでしょうか。

それに関する面白い論文があります。

ノースカロライナ大学のAnna Bassi氏(※3)によると、人々は天気が悪い時、気分が抑えられ、リスクに対する許容度が低くなり、危険性の低いと思われる候補者を選ぶ傾向にあるといいます。反対に天気が良い時は、危険志向が高まって、よりリスキーな候補者を選択しやすくなるのだそうです。

当日の天気

22日夜の予想天気図 (気象庁)
22日夜の予想天気図 (気象庁)

それでは選挙当日の天気はどうでしょうか。超大型で非常に強い台風21号と秋雨前線の影響で、広い範囲で雨です。沖縄では朝にかけて雨、西日本から関東地方は一日雨で、夜になるにつれ雨脚が強まり、北陸や東北地方でも雨の見込みです。

大荒れとなる場所も多いので、そもそも「当日」の投票率が下がりそうですが、加えて投票者がリスクの少ない政党や候補者を選ぶ可能性が出てきそうです。

とはいえ、これらはあくまで傾向なので、ご参考までに。皆様の慎重な判断で、清き一票を。

<参考文献>

総務省「目で見る投票率

※1 アメリカの選挙の統計 (PDF)

※2 イタリアの選挙の統計 (PDF)

※3 Bassi氏の論文 (PDF)

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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