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ヨーロッパに近づいたブラジル 日本はどう戦うか?

清水英斗サッカーライター

15日16時(日本時間の16日早朝)にキックオフするブラジル戦を前に、日本代表のセンターバックを務める今野泰幸は、対戦相手の印象について次のように語ってくれた。

「僕の中でのブラジルとは違う。ヨーロッパのサッカーに近いイメージ」

ドリブルでごりごりと仕掛けてくる昔のイメージとは違い、今のブラジルは一人ひとりのボールを持つ時間が短く、より組織的になっている。これは昨年にポーランドで戦ったときに感じたことでもある。

前線の選手が献身的にプレスに走る、裏のスペースへ積極的に飛び出す。シンプルにプレーし、規律がしっかりと整った現在のブラジル。

昔のブラジルと今のブラジル、どちらがやりやすいかを聞いてみたが、今野は迷わず答えた。

「いや、正直、今のブラジルはやりにくいです。昔のスタイルのほうが、まだ突く隙があったと思う」

今のブラジルは前線の選手だからといって、攻撃だけをしているわけではなく、守備の献身性も求められる。それはブラジルのスター選手であるネイマールも例外ではない。クラブでの試合を含めると9試合無得点のネイマールだが、ルイス・フェリペ・スコラーリ監督は、「ネイマールは11人のジャージを着ているわけではない。彼は彼のジャージを着ているのだ。個人が求められることをしっかりやってきた」と、ネイマールのチームへの献身性について満足しているようだ。

10日に行われたブラジル対フランスの親善試合では、ブラジルが高い位置からプレッシングを仕掛け、ルイス・グスタボがフランス陣内で背後から相手選手にタックル。ファール気味ではあったが、ボールを奪い、そのままオスカルのゴールにつなげた。日本が同じような形から失点をする可能性はある。ブラジルの高い位置からのプレッシングには充分注意しなければならない。しかし、今野は次のように語る。

「(プレッシングには)注意しなければいけないと思っています。だけど、縦パスを当てないことには始まらない。思い切ってやっていかなければいけない」

献身性という新たなキーワードの元にまとまったブラジルに対し、日本はどこまでストロングポイントを発揮できるか。この試合の注目ポイントだ。

サッカーライター

1979年12月1日生まれ、岐阜県下呂市出身。プレーヤー目線で試合を切り取るサッカーライター。新著『サッカー観戦力 プロでも見落とすワンランク上の視点』『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』。既刊は「サッカーDF&GK練習メニュー100」「居酒屋サッカー論」など。現在も週に1回はボールを蹴っており、海外取材に出かけた際には現地の人たちとサッカーを通じて触れ合うのが最大の楽しみとなっている。

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