レゴランド新社長は40歳2児の父親。パパ目線で魅力アップなるか?
レゴ本来の魅力を強化する5周年アニバーサリープラン
名古屋のレゴランド・ジャパン・リゾート(以下、レゴランド・ジャパン)が2022年4月で開園5周年。この節目の年に指揮を執るのは、昨年12月に2代目社長の座に就いた本多良行さん。40歳で5歳・0歳児の子どもを持つ、まさにレゴ世代の父親でもあります。パパ目線から見た施設の魅力、課題、そして新たな展望をお聞きしました。
インタビューの前にまずは5周年アニバーサリープランの目玉を紹介しましょう。
【新・ウォーター・メイズ】
水×迷路×アスレチック×レゴ。夏季限定のウォータープレイエリアが従来の2・5倍にスケールアップ。6月中旬~9月4日。
【レインボー・デザイン・スタジオ】
「創造性、社交性、芸術性を育む」新しいレゴ体験施設。遊びながら点字ブロックについて学べたり、壁一面にレゴドッツを貼りつけみんなで巨大なアートをつくる体験も。3月18日~常設。
【レゴランド・ゲームズ、ハッピーバースデー・パッケージのリニューアル】
謎解きなど親子でチャレンジする体験型アクティビティが、“レゴブロックにふれる”要素を強化してリニューアル。年4回でスプリングは3月18日~5月8日。人気の誕生日宿泊プランはより盛りだくさんなパッケージを導入。4月~。
2月7日の記者会見では「原点回帰」という言葉が、本多社長からくり返し発せられました。5周年の新企画は“レゴブロックを組み立てて遊びながら学ぶ”というレゴランド・ジャパン本来の魅力を強化したものが中心で、施設のコンセプト、テーマをより明確に発信していくという意図が強く感じられます。
本多良行・新社長インタビュー。「5歳の息子がレゴに夢中です!」
さて、ここから本多良行新社長のインタビューです。自身の子どもたちとどうレゴランド・ジャパンを楽しんでいるか?課題や展望は?さらにあのライバル施設についてもお聞きしました。
――本多社長はこれまで企業コンサルティングやホテルの宿泊管理サービスに従事。外部から見たレゴランド・ジャパンの印象は?
本多 「実は昨年秋に1人で訪れたんです。そこで特に接客レベルの高さを体感しました。“写真を撮っていきませんか?”など常に明るく声をかけてくれるので、大人1人でも肩身が狭くないんです。接客が好きな人たちが楽しんで仕事をしている。そこに強みを感じたし、もっと伸ばせると感じました。海外だとスーパーマーケットのレジスタッフでも自分のスタイルでお客さんとコミュニケーションを取っていたりしますよね。そんな風にもっと自由に、個性を活かした接客ができる環境をつくれば、その強みをさらに伸ばせるとも思いました」
――レゴランド・ジャパンは2~12歳までの子どもを持つ家族がターゲット。ご自身もまさにここに当てはまりますね。
本多 「5歳と0歳の男の子が2人なのでその通りです。長男は既に何度か連れてきていて、すっかりレゴに夢中になりました。レゴブロックが好きな子どもがターゲットなのではなく、ここに来ることでレゴブロックを好きになってもらえばいい。これももっと認知度を高めるポイントです」
――5歳の息子さんがお気に入りのアトラクションはありますか?
本多 「やはり王道のワークショップ、そしてジュニアドライビングスクールも初めて1人でカートを運転して喜んでいました。それ以上にレゴレナ、レンジャーと呼ばれるスタッフとのやりとりに、親として息子の成長を感じました。ここではスタッフとミニフィグトレード(ミニサイズのレゴブロックのフィギュアを交換)したり、声をかけてシールをもらうことができる。最初は恥ずかしがってできなかったのですが、何度か来るうちに今では自分から駆け寄って声をかけられるほどに。“子どもの社交性を高める”という施設の強みのひとつを実感することができました」
――この2年間のコロナ禍による変化は?
本多 「全国のテーマパーク同様、当然うちも大きな影響を受けました。変化としては、コロナ禍以前は地元東海4県からのお客様が5割、それ以外の国内から3割、インバウンド2割という構成比だったところ、今では地元が7割を占めるようになった。それでも年末年始の来場者数は、コロナ禍以前のピーク時と比べても同等か上回る日が複数日ありました。インバウンドがまだ戻ってきていない状態でありながらにぎわいが戻っていて、展望は非常に明るいと感じています。これまでも好評を得ているホームタウン パス(東海4県在住者限定のお得な1DAYパスポート)の販売など、地元の人にもっと来ていただける取り組みにも今後より力を入れていきたいと考えています」
――開園から5周年を迎えてあらためて感じる課題は?
本多 「3つの点でまだまだ認知度が低い。まずレゴランド・ジャパンの存在に対する認知度。東京の友人と話していると『どこにあるの?』という反応が少なからずあるんです。2つ目は“遊びを通して学ぶ”という我々の強み、3つ目は“初めてのテーマパーク”としてレゴブロックが好きな子ども以外でも楽しめること。この3つの認知度を高めるためにチャレンジしていくことが私の最大の仕事です」
――私もレゴランド・ジャパンは『ファーストテーマパーク』であるべきだと思っています。他の施設と比較するのではなく、待ち時間や移動もそれほど多くなく、小さな子どもたちが無理なく存分に楽しめるところに価値がある。
本多 「お子さんの来場者の男女比は53:47でほぼ一緒なんです。レゴブロックというと男の子のおもちゃというイメージがありますが、それにとらわれず家族で最初に来られるテーマパークとしてとらえてもらっていると、この数字を見ると感じます」
――開園当初はネットを中心にネガティブな声も目立ちましたが、利用者の声で変化はありますか?
本多 「ネットのレビュー、ご意見はもちろん目を通していて、ごもっともなご意見はもちろんあるので直すべきところは直していきたい。それでもネガティブな評価はずい分減っていて今後は浮上しかないと思っています。当初は厳しい声が数多くあったことは承知していたので心配はあったのですが、実際に来てみるとすごくよかった。やはりまずは来ていただいて評価していただきたいですね」
――今年11月にはジブリパークがオープンします。強力なライバル出現と見る向きもありますが、愛知県への観光客増が見込まれます。どうやって相乗効果につなげていこうと考えていますか?
本多 「ジブリパークについては期待しかありません! 私自身、ジブリが好きですし今からHPを見てわくわくしています(笑)。ジブリのコアなファンは子どもよりもむしろ30~40代。この年齢層はすなわちうちのコアターゲットの子どもたちの親世代でもある。ジブリパークでお父さんお母さん中心に楽しんでもらい、その前後にお子様中心で楽しんでもらうためにうちへ来てもらう。そういう流れができると相乗効果も期待できるし、名古屋、愛知全体に波及効果がもたらされるはずです」
――個人的なことですが、私の息子が今年12歳になり、レゴランド・ジャパンのターゲット年齢の最終年にあたります。12歳の子どもに向けてメッセージをいただけますか。
本多 「ここで楽しみながら学んだことを活かして、好きなことを自由に熱中して楽しめる大人になってください! でも12歳を過ぎたからといって決して卒業ではなく、レゴは世代を超えて楽しむことができます。私も先日1万ピースの『レゴアート ワールドマップ』という商品を購入して20時間かけて完成させたのですが、本当に楽しい(笑)。将来、お父さんになって自分の子どもと来ていただき楽しかった記憶を伝えてもらいたいですし、ずっと思い出を共有できる場所だと思っていてもらえればうれしいです」
――ところで夏限定アトラクション、新・ウォーター・メイズではブロック約30万個でつくられた青いウォータードラゴンが目玉のひとつ。レゴランド・ジャパンにいるドラゴンはすべて緑色で青いドラゴンは世界初とのことですが、名古屋で青いドラゴンといえばドラゴンズです! 何かコラボできると盛り上がるのでは?
本多 「確かにそうですね! いいアイデアをいただきました(笑)」
◆◆◆
5周年の企画が目白押しで楽しみが多い今年のレゴランド・ジャパン。筆者にとっても、今年はひょっとすると息子と一緒に楽しめる最後の年になるかもしれず、できるだけ足を運んで楽しみたいと思っています。そして、ドラゴンズとのコラボも大いに期待しています!
(写真撮影/筆者。ウォーター・メイズのイメージはレゴランド・ジャパン提供)
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