断水後は水がにごることも 押さえておきたい復旧時の手順 修理のポイントは
水道施設の老朽化や災害が多発している影響で、最近の日本ではたびたび断水が発生し、多くの方の生活に影響が出ています。たとえば、2022年9月の台風15号の影響により、静岡県清水区で発生した断水はかなり長期化しました。
断水という最悪の状況から光が見えても、復旧する際には、いくつか注意すべきポイントがあります。本記事では、災害時のみならず、計画的な断水の際にも知っておきたいことをお伝えします。
どんなときに断水が起きるのか
断水には、計画的に行われる断水、災害や水道設備の破損などによる突発的な断水があります。
①水道管の工事や設備の点検(計画断水)
水道工事、給水設備の掃除や点検での断水。事前に知らされます。
②水道設備の破損による断水(災害などによる断水)
災害などで浄水場・配水池などの施設や水道管が破損することによって断水します。
③停電による断水
電気でポンプ等の設備を動かし給水しているので、停電すると水道が使えなくなります。停電は計画的に行われる場合と、災害などによる突発的な停電があります。
計画断水の前や、災害などによる断水に気づいたときに行うこと
①止水栓(水道の元栓)を閉める
止水栓(水道の元栓)は水道メーターが設置されている箱(メーターボックス)の中にあります。閉めておくと住宅全体の水が止まり、復旧後のにごり水を最低限におさえられます。
②トイレや給湯器の止水栓を閉める
復旧後に土やサビなどを含んだ水が出ることがあります。異物がトイレや給湯器に入ると故障につながり、修理などに多額の費用がかかります。トイレと給湯器の近くには専用の止水栓があるので閉めておきましょう。止水栓にはハンドル式・ドライバー式・内ネジ式などの種類があります。
③洗濯機と接続している蛇口を閉める
全自動洗濯機と接続している蛇口は開け放しになっているご家庭が多いと思います。復旧後に洗濯機を異物による故障から守るため蛇口を閉めておきます。
なぜ断水後の水はにごるのか
普段、水道管の中は水で満たされています。断水すると水道管の中に水がなくなり、空気が入ります。穴があくなど水道管が破損していると、そこから土や泥などが入ることがあります。また、水がなくなったことで水道管の内側のサビなどがはがれることもあります。
水道管や施設の修理が終わると、充水作業が行われます。これは断水時に空になった水道管を水で満たす作業です。
水道管に再び水が入りはじめると、水は空気や異物とともに水道管の中を進みます。土、泥、サビなどを洗い流す作業を洗管作業といいます。
その後、検査によって水の安全が確認されると、「使用可能」「飲用可能」という広報が行われます。最初は生活用水として「使用可能」なレベルの水が流れ、次に「飲用可能」なレベルの水が流れます。
充水作業や洗管作業は、配管の状況や地形などの影響を受けます。そのため同じ自治体のなかでも復旧しやすい地域、そうでない地域があります。
家庭でも洗管作業が必要 蛇口開通の順番に注意
復旧後、家庭の蛇口から一時的ににごった水が出ることがあります。そこで家庭でも洗管作業が必要になります。といっても難しいことではなく、一定期間、蛇口から水を流します。
ただしトイレ・給湯器(温水器)・全自動洗濯機などは、故障から守るために他の蛇口できれいな水が出るようになったことを確認してから使用してください。そこで、どの蛇口から水を出すか、順番に注意しましょう。
まず、水道メーターが設置されている箱(メーターボックス)の中にある止水栓(元栓)を開きます。
次に屋外の散水栓があれば、ここからゆっくり水を流します。水道管は道路に埋まっている配水管から分かれ、個人宅に入ってきます。水の流れる経路を考えると、いちばん配水管に近いのが屋外の散水栓である場合が多いのです。ここで異物が出せれば、これより先に異物が流れていくことがなくなります。
屋外の散水栓がない場合やマンションの場合は、洗面台やキッチンで洗管します。キッチンの蛇口に浄水器が接続されている場合ははずします。
蛇口をゆっくりと開け、にごりや匂いがないかを確認します。しばらく水を流し、にごりがなくなってから使用してください。
にごりがひどい場合は、蛇口の先端についている泡沫キャップの網にゴミが溜まり、目詰まりすることがありますから注意しましょう。
①メーターボックス内の止水栓(元栓)を開ける(閉めた場合)
↓
②屋外の散水栓を開ける(あれば)
↓
③洗面台やキッチンの蛇口を開ける
復旧後の赤いにごり、白いにごりの正体
次ににごりの正体です。赤いにごり(赤茶のにごり)は、金属系の水道管が劣化したり、錆びて剥離した鉄が原因です。にごりが出なくなるまで十分に水を流して使用してください。
白いにごりは圧縮された空気です。容器に汲み置き、しばらくしたら透明になるようであれば、気泡によるにごりと考えて間違いありません。通常どおり使用することができます。
また、鉄サビのような匂いがすることもあります。これは金属製の水道管の鉄成分が水に溶け出している状態です。水を数分間出し続けていればにごりや匂いはなくなっていきます。
にごりがなくなったら、洗濯機用の蛇口・トイレの止水栓・給湯器の止水栓を開きます。繰り返しになりますが、トイレ、給湯器(温水器)、全自動洗濯機などは、他の蛇口できれいな水が出るようになったことを確認してから使用してください。水がにごったままで使用すると故障の原因になることがあります。
水回りの修理トラブル回避、事前の備えが大切
数分間水を出しっぱなしにしてもにごりや匂いが解消されない場合は、家庭内の給水管にトラブルが発生している可能性があります。家庭内の水回りの修理は自分で水道関係事業者に依頼しなくてはなりませんが、トラブルが発生することもあるので注意しましょう。
水回りの修理の問題点は4つにまとめることができます。
①見積もり無料のはずが、見積もりにかかる費用を請求される場合がある
②見積もりのつもりで事業者を呼んでも、その場で高額な契約をするよう急がされる
③作業内容が不十分な場合がある
④解約時にキャンセル料を請求されたり、事業者がクーリング・オフに応じない場合がある
そこで以下のような対策が考えられます。
①広告の表示や電話で説明された料金を鵜呑みにしない(「業界最安値」などの宣伝に飛びつかない)
②契約する場合は複数の事業者から見積もりを取り、サービス内容や料金を検討(見積もり料が発生するか、キャンセル料が発生するか等、あらかじめ確認。ただし緊急時には難しい)
③トラブルの発生に備え、安心して依頼できる事業者を事前に調べる
トラブルが発生してから慌てて事業者を探すと、事業者の言いなりになってしまうことが多いのです。平時のうちに、近所の信頼できる事業者を探しておくとよいでしょう。
【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】