10億ドル以上のコカインを扱い、逮捕された元ヘビー級ファイター
元ヘビー級ファイター、ゴーラン・ゴジック(43)が、10月末日に逮捕された。コカイン売買の罪である。20トン以上の"ブツ"を扱い、末端価格で10億ドルを超えていたというから驚きだ。
検察は「アメリカ合衆国の歴史上、最大規模のドラック売買に相当する」と述べている。
モンテネグロ国籍のゴジックは、この大量のコカインをスイス・チューリッヒに空輸しようとしてマイアミ国際空港で御用となった。フロリダ州マイアミは、コロンビアからヨーロッパへの中間地点であったようだ。
モンテネグロ、プリェヴリャ出身のゴジックは195cmのオーソドックスで、主にドイツのリングで戦っていた。2001年のプロデビューから2012年のラストマッチまで、24勝(14KO)4敗2分け戦績を残している。
毎度のことながら、元ボクサーが罪を犯したというニュースを耳にするのは哀しい。ただ、今回は規模の大きさに戸惑うばかりだ。巨大組織の一員だったのか、あるいは体のいい使い捨て要員だったのか。
コロンビアから米国を経由してスイスまで"ブツ"を運ぶのに、必要な言語はいくつあったのか。彼は英語やスペイン語が話せたのか-------。裁判の行方が気になる。
かつて、フロイド・メイウェザー・シニア、マイケル・ナンといった元ボクサーも、引退後にドラッグの売人となり収監された。
メイウェザーの父がコカインの売買で囚われの身となったのは1993年。アトランタ五輪に出場した息子の晴姿を、刑務所でTV観戦していたのは有名な話である。1998年初夏に出所し、プロに転向した息子の17戦目からセコンドに付いた(後に決裂したが)。
元IBFミドル、WBAスーパーミドルと2階級を制したナンに手錠がかけられたのは、2002年8月6日のことだ。ナンの故郷、アイオワ州ダベンポートのホテルにおいてだった。
ナンは、おとり捜査で売人のふりをしていた刑事から200グラムのコカインを購入。この時の"ブツ"の値は2万4000ドル。元チャンプは2019年8月8日に出所するまで、塀の中で生活した。
今回、ゴーラン・ゴジックが扱っていたコカインの量はメイウェザー・シニア、ナンとは比較にならない。さて、どんな判決が待ち受けているだろうか。