アルファベットの略語、意味は分かる? 好ましいと思う?
心停止の人を救命する医療機器の自動体外式除細動器を意味するAED(Automated External Defibrillator)や、登録した会員同士が色々な手段で意思疎通できるウェブサービスSNS(Social Networking Service)のように、現代社会では外国語の頭文字などを使ったアルファベットによる略語がごく普通に使われている。しかし略語の意味が分からない、本来の意味を正しく把握できていない場合が少なからず生じているのも否定できない。この状況について、人々はどのような印象を抱いているのだろうか。文化庁が2023年9月に発表した「国語に関する世論調査」(※)の結果を基に、その実情を確認していく。
次に示すのは、AED、SNS、DXのような、外国語の頭文字などを使ったアルファベットによる略語について、その意味が分からずに困ったことがあるか否かを尋ねた結果。「よくある」「時々ある」「あまりない」「まったくない」の4つの選択肢の中から回答者の現状にもっとも近いものを選んでもらい、そのうち「よくある」「時々ある」をある派として確認したもの。
全体では85.1%がある派で、31.4%は「よくある」と回答している。年齢階層別では16~19歳でいくぶん高い値が出ているが、それをのぞけばおおよそ年齢が上になるに連れてある派が、そしてその中の「よくある」が多くなる傾向がある。特に70歳以上では過半数が「よくある」との回答。
分からずに困る言葉が目にとまったり会話の中に登場する機会が(多々)あったりすると、よほどの人でない限り、それを好意的に受け止めることは難しい。実際、アルファベットの略語が用いられている状況を好ましいと感じるかと聞いたところ、好ましいと感じる人は若年層ほど多い結果となっている(「好ましいと感じる」「どちらかというと好ましいと感じる」「どちらかというと好ましくないと感じる」「好ましくないと感じる」の4つの選択肢の中から回答者の現状にもっとも近いものを選んでもらい、そのうち「好ましいと感じる」「どちらかというと好ましいと感じる」を好ましいと感じる派として確認したもの)。
全体では45.1%が好ましいと感じる派だが、16~19歳では76.1%と3/4以上となっている。強度の強い「好ましいと感じる」人も14.2%。年齢が上になるに連れて好ましいと感じる派は減り、「好ましいと感じる」人もおおよそ減少していく。70歳以上では27.1%しか好ましいと感じていない。
またその70歳以上だが、アルファベットの略語の意味が分からず困ることがある人が90.6%なのに対し、アルファベットの略語が用いられている状況を好ましいと感じている人が27.1%であることから、1割ほどの人はアルファベットの略語の意味が分からず困ることが(あまり)ないにもかかわらず、状況を好ましいとは考えていないことになる。アルファベットなどに対する抵抗感が強いのだろうか。
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※国語に関する世論調査
直近の2022年度分は2023年1月16日から3月15日にかけて、全国16歳以上の個人に対して郵送法で行われたもので、有効回答数は3579人。年齢階層別や男女別などの属性別区分の内容は非公開。
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