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東部ルハンスクで住民投票実施へ。ウクライナ、朝鮮半島式の分離独立を恐れる。トルコで中立と非核化の交渉

今井佐緒里欧州/EU・国際関係の研究者、ジャーナリスト、編集者
(写真:ロイター/アフロ)

ローマ法王フランシスコは27日、バチカンのサンピエトロ広場で「殉教者ウクライナ人」に対する「野蛮で冒涜的な行為」について、「侵略が始まってから、この残酷で無意味な戦争の始まりから1カ月以上が経過した」と述べた。

南と東部を分離独立させて国を分断?

ロシアが戦略を変えて、東部と南部に力を注ぎ始めている。

「首都キエフ(キーウ)を占領し、ウクライナ政府を転覆させることに失敗したプーチン大統領は、作戦の焦点を変え、『南部と東部』に集中している」と、ウクライナ軍事情報の責任者であるキリーロ・ブダノフ将軍は述べている。

彼はFacebookで、「我が国の占領地域と非占領地域の間に分断線を引くこと、つまりウクライナに韓国と北朝鮮を作ろうとする試みがあると信じるに足る理由がある」と付け加えた。

ロシアは、25日(金)に、「ドンバス解放に力を注ぐ」と発表しているという。

このため、2月末から包囲されている南東部の戦略港マリウポリ周辺や東部ドンバスの全体の状況が「悪化する」可能性が出てきている。

これは、ウクライナ大統領の顧問であるオレクシー・アレストヴィッチ氏が、大統領府のテレグラムのアカウントに投稿したビデオメッセージの中での発言である。

ルハンスクでロシア復帰を求める住民投票へ

そんな中、東部ドンバス地域のルハンスク分離派の領域で、ロシアへの復帰を求める住民投票を近く実施する可能性があるという。

ルハンスク領域のトップであるレオニード・パシチニク自称大統領が、27日(日)に述べた。

ウクライナ側は「偽の住民投票はすべて正当性を持たない」とする。外務省報道官はツイッターで、「一時占領地におけるすべての偽の住民投票は無効であり、何の正当性もないだろう」と述べた。

プーチン大統領、国家警備隊を激励

同じ日、プーチン大統領は、国家警備隊に祝辞を述べた。

ビデオ演説で、6年前に創設された国家警備隊ロスグバルディア(Rosgvardia)、特に「ドンバスとウクライナの領土での特別軍事作戦」に参加している人たちを祝福したのだ。

「特別軍事作戦」という呼び名は、このウクライナ侵略に対し、ロシア政府が国民に対して使っている用語である。

プーチン氏は「そうだ、実際の戦闘状況には、増大するリスクが伴うのだ」とも述べ「我々の広大な国全体が、君たち一人ひとりをもちろん誇りに思っている」と述べた。

トルコで交渉へ。中立と非核化の行方は

一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は、同じく日曜日、ロシアの独立系・野党系のメディアのインタビューに答えた。

そこで、ウクライナの「中立性」の問題は「深く研究されている」と述べた。

ロシアとの交渉の条項の一つは、「安全保障と中立性、わが国の非核化状態」に関するものであり、「我々は受け入れる準備はできている」という。「この点は議論中」だということだ。

以前、中立の例としてスウェーデンとオーストリアが名前に挙がったことがある。

AFPによると、スウェーデンは、公式には非同盟でNATOの加盟国ではないが、1990年代半ばからパートナーではあり、近年は徐々に距離を縮めている。

オーストリアは中立国であり、国連ミッション以外に、戦争の領域に兵士を送ることはできない。

さらにゼレンスキー氏は「しかし、ブダペスト覚書の形式の書類にはしたくない」とも述べた。

この覚書は、1994年ロシアが署名した協定で、ソ連から引き継いだ核兵器を放棄する代わりに、ウクライナ・ベラルーシ・カザフスタンという旧ソ連3共和国の領土保全と安全保障を保証するものである。

このインタビューは、ロシアの野党系テレビ局Dojd、独立系ウェブサイトMeduza(ロシアではブロックされている)、日刊紙Kommersantの記者と、1時間半以上にわたるリモートで行われた。ウクライナ大統領府のテレグラムチャンネルで放送された。

ロシアでは、通信監視機関であるRoskomnadzorが、これらロシアのメディアに対し、このインタビューを掲載しないよう伝えるとともに、参加した人々に対して調査が行われているとの声明を発表した。

28日の週の初めから、トルコのイスタンブールで、新しいロシアとウクライナの交渉が始まると、トルコの大統領府が日曜の夕方に述べた。

3月10日にトルコのアンタルヤで交渉が行われたが、具体的な進展には至らず、その後はリモートによる話し合いだった。対面の交渉は、久しぶりとなる。

以上「ル・モンド」が報じた。

欧州/EU・国際関係の研究者、ジャーナリスト、編集者

フランス・パリ在住。追求するテーマは異文明の出会い、平等と自由。EU、国際社会や地政学、文化、各国社会等をテーマに執筆。ソルボンヌ(Paris 3)大学院国際関係・欧州研究学院修士号取得。駐日EU代表部公式ウェブマガジン「EU MAG」執筆。元大使のインタビュー記事も担当(〜18年)。編著「ニッポンの評判 世界17カ国レポート」新潮社、欧州の章編著「世界で広がる脱原発」宝島社、他。Association de Presse France-Japon会員。仏の某省機関の仕事を行う(2015年〜)。出版社の編集者出身。 早稲田大学卒。ご連絡 saorit2010あっとhotmail.fr

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