「ホームラン」が「エラー」に変更される。その境界線はどこにあるのか
ホームランが取り消され、エラーとなった。
8月9日、グローブライフ・フィールドで行われた試合の5回裏。ニック・ソラック(テキサス・レンジャーズ)の打球は、ライトを守っていたジョー・アデル(ロサンゼルス・エンジェルス)のグラブに収まりかけたが、そこから跳ねてフェンスをオーバーした。
ソラックにとっては、今シーズン初のホームランだ。昨シーズンの5本と合わせて、通算6本となった。ところが、数イニング後、ソラックの通算本塁打は5本に減った。一度はホームランとした公式記録員が、イライアス・スポーツ・ビューローの助言を受け入れ、記録をエラーに変更した。
外野手によるホームランのアシストは、過去にも起きている。「外野手が本塁打をアシスト! カンセコとは次元が違うけれど……。ベースボール版オウン・ゴール」」や「2人の外野手がホームランを「アシスト」。あのプレーとは次元が違うけれど」でも紹介した。
ファインプレーと紙一重だった場合のみをホームランとするのなら、明確な境界線はないとはいえ、今回の変更は頷ける。アデルが捕っていれば、ソラックの打球は普通のライトフライだった。やや大きな当たりながら、ファインプレーというほどではない。ただ、27年前にカルロス・マルティネスが打ったボールは、ライトを守っていたホゼ・カンセコの頭に当たってフェンスを越えた。これは、エラーではなくホームランと記録されている。その後、判断の基準が変わったということなのだろうか。
ちなみに、5年前には、ケビン・キアマイアー(タンパベイ・レイズ)が外野手のエラーによってベースを一周したが、この打球はフェンスを越えていない。2人の外野手が交錯し、ボールはグラブを弾いて後方に転がった。
レンジャーズは今回の記録に対し、異議を申し出るという。記録は、あとから変更されることもある。そうなれば、ソラックのホームランは通算6本となる。一方、エンジェルスでは、アデルのメジャーリーグ初失策が取り消されるが、マイク・マイヤーズの被本塁打と自責点が1ずつ増える。