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友達作りと食品ロス問題を同時に解決!オスロ大学の人気食堂とは?

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事
環境意識の高い若者が集まる大学で、変化が Photo: Asaki Abumi

北欧では、時に「友達が作りにくい」といわれることがある。

  • 「新しい場所に住み始めたばかりで、まだ知り合いも少ない」
  • 「夜にひとりで寮でご飯を食べるのは、なんだか寂しい!」

そう感じる大学生のために、大学側が交流のきっかけを提供するサービスを開始した。

ノルウェーの首都オスロにあるオスロ大学では、週に1回、食堂で余っている食材を、学生が一緒に食べる人気イベントがある。

毎週水曜日、16時半になるとアイラート食堂に大学生がぞくぞくと集まる Photo: Asaki Abumi
毎週水曜日、16時半になるとアイラート食堂に大学生がぞくぞくと集まる Photo: Asaki Abumi

ノルウェーは物価が高い国だ。しかし、ここでは豪華な食材が約910円(75ノルウェークローネ)で、食べ放題(デザート・飲み物付き)!

 通常なら、この3~4倍の料金を払わないといけないだろう。そもそも、ノルウェーは物価が高すぎるので、食べ放題自体が珍しい Photo: Asaki Abumi
通常なら、この3~4倍の料金を払わないといけないだろう。そもそも、ノルウェーは物価が高すぎるので、食べ放題自体が珍しい Photo: Asaki Abumi

食堂で余った食材を見ながら、料理人がオリジナルレシピで料理を次々と出す。

Photo: Asaki Abumi
Photo: Asaki Abumi

学生たちは、縦長いテーブルに一緒に座る。この形だと、調味料やお皿を回さなければいけないため、知らない人とも、どうしても会話をしなければいけない。

「そのコーラ、とってもらえますか」、「はい、次のお皿をどうぞ」。隣や前にいる人と会話をしながら Photo: Asaki Abumi
「そのコーラ、とってもらえますか」、「はい、次のお皿をどうぞ」。隣や前にいる人と会話をしながら Photo: Asaki Abumi

金銭的に節約になるだけではなく、「楽しみながら食品ロス対策は可能」であることを体験し、知り合いを作るきっかけにもなる。

ノルウェーで友達作りのアドバイスを聞く

オスロ県の学生食堂を取りしまる学生福祉団体SiOのステッフェン・グレフさんは、試験的に試したところ、学生の反応が良かったと振り返る。「ネットワークを広めるためのテーブル」として、週1の特別な食堂が機能していると取材で話す。

「友達が作りにくいと言われることもあるノルウェーで、留学生が大学で友達を作るためのアドバイス」をグレフさんに聞いてみた。

「いろいろな人と知り合いになりたいと心の底で思っている人は、他にもいます。自然な形で知り合うことができる社交の場に出かけるといいでしょう。会話を始めることを、恐れないで。この食堂のように、キャンパス以外でも、出合うことのできる場所はあります」とグレフさん。

ノルウェー人のシッリエさん(23)は、Facebookでの情報を見て、食堂に初めて来た。「一人暮らしをしていて、これだけたくさんの食材を買い込んだら、食べきれずに食品ロスになってしまう。ここでは価格も安いし、デザートも食べれて、楽しい。また来たい」と話す Photo: Asaki Abumi
ノルウェー人のシッリエさん(23)は、Facebookでの情報を見て、食堂に初めて来た。「一人暮らしをしていて、これだけたくさんの食材を買い込んだら、食べきれずに食品ロスになってしまう。ここでは価格も安いし、デザートも食べれて、楽しい。また来たい」と話す Photo: Asaki Abumi

仲が良さそうな3人がいたので友人同士かと思ったが、この日、ここで初めて会ったばかりだそうだ。

留学生のノーラさん(モロッコ出身・20)、パリーナさん(ポーランド出身・19)、カーラさん(シリア出身・29) Photo: Asaki Abumi
留学生のノーラさん(モロッコ出身・20)、パリーナさん(ポーランド出身・19)、カーラさん(シリア出身・29) Photo: Asaki Abumi

「ノルウェーでは社交的でなければいけないとは分かっているけれど、友達を作りにくいと感じる時は、どうしてもある。こういう食堂があると助かる」とカーラさんは話した。

ノルウェー定番のシナモンロール。クリスマス前にはジンジャーブレッドクッキー作りなどの企画もある Photo: Asaki Abumi
ノルウェー定番のシナモンロール。クリスマス前にはジンジャーブレッドクッキー作りなどの企画もある Photo: Asaki Abumi

学生たちの食生活は、どんどんサステイナブル思考に

肉メニューは動物性だけではなく、植物性もある Photo: Asaki Abumi
肉メニューは動物性だけではなく、植物性もある Photo: Asaki Abumi

グレフさんは、地球負荷の少ない食生活をしようという学生は、どんどんと増えているとも話す。

「食品ロスを減らそうとする学生は、増加しています。スウェーデン人のグレタ・トゥンベリさんや若者の抗議活動は、ノルウェーの次世代の若者に、とてつもない影響を与えることでしょう。私たちが数年後にこの大学キャンパスで出合うこととなるのは、そのような世代です」

今よりも環境意識が高いであろう未来の新入生のことを考えると、大学が食品ロスを減らそうとする姿勢は、当然の流れのようだ。

Photo&Text: Asaki Abumi

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信16年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。北欧のAI倫理とガバナンス動向。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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