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「新型肺炎」への日韓両国の対応を比較(第3弾) 過剰な韓国 緩やかな日本

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
「武漢帰国者隔離施設」を訪れ、職員らに礼を述べる文在寅大統領(青瓦台合同取材団)

 中国・湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルス(新型肺炎)を予防し、拡大を防ぐためにも同じような被害を被っている、中国の隣国である日韓両国が情報を密に交換し、協力することが大事だ。前回(2月3日)に引き続き、日韓の現状を比較してみた。

(参考資料:「新型ウイルス肺炎」への日韓両国の対応を比較(第2弾)

 ▲武漢からの帰国者(2月9日現在)

 日本:763人

 第1便=206人(1月29日)、第2便=210人(1月30日)、第3便=149人(1月31日)、第4便=198人(2月7日)

 韓国:694人

 第1便=368人(1月31日)、第2便=326人(2月1日)

 ※湖北省にはまだ230人(中国国籍の家族も含む)が滞在、第3便の派遣を検討中

 ▲感染者の数(2月10日午前8時現在)

 日本:26人(2月2日時点=20人)+クルーズ船感染者70人

 韓国:27人(2月2日時点=15人)

 ※韓国16人目からの詳細(※15人までは前回に掲載)

 16人目(42歳の韓国人女性)タイを旅行して1月19日に帰国し、2月4日に感染が確認。

 17人目(37歳の韓国人男性)1月24日までシンガポールを訪問。2月4日に医療機関を訪れて検査し、感染が確認。

 18人目(20歳の韓国人女性)タイを旅行し、1月19日に帰国。2月5日に感染が確認。※16人目の感染者の娘。

 19人目(36歳の韓国人男性)シンガポールの会議に出席し、1月23日に帰国。2月5日に感染が確認。

 20人目(41歳の韓国人女性)2月5日に感染が確認。

 21人目(59歳の韓国人女性)2月5日に感染が確認

 22人目(46歳の韓国人男性)2月6日に感染が確認。

 23人目(57歳の中国人女性)1月23日に中国・湖北省の武漢市から観光目的で韓国入りし、ソウル市内の知人宅に滞在。2月6日に感染が確認。

 24人目(28歳の韓国人男性)忠清南道牙山の臨時生活施設で隔離生活を送っていた武漢在住の僑胞で、1月31日に入国。2月6日に感染が確認。

 25人目(73歳の韓国人女性)2月9日に感染が確認。中国渡航歴はない。

 26人目(51歳の韓国人男性)は25人目の息子で、27人目(37歳の中国人女性)は26人目の妻。夫婦は今年1月31日まで中国・広東省を訪問していた。夫婦とも2月9日に感染が確認。※25人目の母親は嫁から感染したと判定された。

 ※アジア諸国の発症状況(2月2日→2月9日)

 中国17205→37198人(死者361→813人)、シンガポール16→33人、タイ19→32人、香港13→29人、台湾10→17人、豪州12→15人、マレーシア8→15人、ベトナム6→13人、マカオ7→10人、インド1→ 3人

 

 ▲最初の感染

 日本:最初の感染者が確認されたのが1月16日。30代の男性で、6日に武漢から帰国し、9日に39度の高熱が出たため10日から入院していた。

 韓国:1月20日に確認。35歳の中国人女性で、19日に武漢から帰国した際に仁川空港の入国エリアで高熱などの症状を訴えたことで確認が早かった。

 ▲二次感染者

 日本:2人

 日本では武漢からのツアー客を乗せた奈良の60代のバス運転手が1月28日に、大阪のバスガイドが1月29日に二次感染していることが確認されている。

 韓国:6人

 二次感染の第一号は1月30日に確認。武漢を旅行し、20日に帰国した一次感染者とレストランで接触したことで感染。

 ▲三次感染者

 日本:(?)

 千葉県の20代の女性バスガイドが1月31日に三次感染している疑いが取り沙汰されている。1月28日に二次感染が確認された奈良県の60代の男性バス運転手からの感染とみられている。

 韓国:4人

 武漢から1月20日に帰国した54歳の韓国人男性(1月24日に感染が確認)が韓国国内で55歳の韓国人男性に感染(1月30日に確認)させ、二次感染したこの韓国人男性から妻(54歳)と息子(25歳)、それに知人女性(59歳)が相次いで感染(1月31日に確認)した。また、同じく武漢から1月20日に帰国した50代の韓国人男性(1月27日に感染が確認)から同じ飛行機に搭乗していた43歳の韓国人男性が感染(2月3日に確認)し、二次感染したこの男性から知人の41歳の女性が感染(2月5日に確認)した。

 

 ▲全快者

 日本:4人

 韓国:3人

 ※1月22日に武漢から帰国した55歳の韓国人男性(1月24日に感染が確認)が2月5日に退院。韓国国内で初めて感染が確認された35歳の中国人女性(1月19日入国)も2月6日退院。隔離されてから18日にして退院となった。さらに1月20日に武漢から帰国した55歳の韓国人男性(55歳)も2月9日に全快し、退院した。

 ▲隔離者(2月9日現在)

 日本:724人

 韓国:1090人

 ▲隔離施設

 日本:勝浦ホテル三日月(千葉県勝浦市)

    税務大学校(埼玉県和光市)

    国立保健医療科学院(埼玉県和光市)

    税関研修所(千葉県柏市)  

 韓国:国家公務員人材開発院(忠清北道鎮川郡)

    警察人材開発院施設(忠清南道牙山)

    国立中央青少年修練院(忠清南道)が第三便用に検討

 ▲隔離に違反した場合の処罰

 日本:人権問題もあって本人の同意なくして強制的には隔離できない。

 韓国:隔離を拒否した場合は、逮捕も可能。1年以下の懲役と罰金2000万ウォンを科せられる。※罰金は300万ウォンから引き上げられた。

 ▲隔離者への生活費支援策

 韓国:14日隔離された場合、1人45万ウォン、2人連れで77万ウォン、3人家族の場合100万ウォン、4人家族の場合123万ウォン。7日間隔離された場合は4人家族だと61万5千ウォン。

 ※韓国政府は2015年のMERSの時も1人につき40万ウォン、1世帯に110万ウォンを支援した。

 隔離された従業員に有給休暇を与えた企業に対しても休暇費用が支援される。

 また、新型コロナウイルスによる肺炎の拡大で被害を受けた感染者や隔離者、休業を余儀なくされた企業や自営業者、観光業者などに対しては税金の徴収と税務調査などが猶予される。

 国税は自営業者や観光業者など新型肺炎による被害を受けた納税者について法人税と付加価値税の申告・納付期限は最大9カ月まで延長され、滞納処分の執行は1年まで猶予される。税務調査も猶予される。

 ▲入国制限措置

 韓国:シンガポール、タイ、香港、日本などに感染が広がっていることから、中国以外の他の感染地域からの外国人入国者に対する検疫、入国制限措置を強化する。また、アジア諸国への海外旅行の自粛を促すことを検討中。

 ▲クルーズ船の入港への対応

 日本:香港発のクルーズ船「ウエステルダム号」の乗客が、新型肺炎を発症した疑いがあることを受け、入港を拒否。その他、外国籍の2隻を含む4隻のクルーズ船が今月日本に寄港の予定。

 韓国:12日までは国内に入港する予定のすべてのクルーズ船の寄港を全面的に取り消す。

 新型コロナウイルス感染者が発生した地域から14日以内に出港したり、同地域を経由したりしたクルーズ船について、乗員乗客のうち1人でも発熱などの症状があれば、搭乗者全員を下船させない。11日に釜山に入港する予定だった香港発の大型クルーズ船「ウエステルダム号」は検疫基準強化のために釜山寄港を断念。

 ※釜山には2月に4隻、3月に8隻、4月に22隻が入る予定。新型コロナウイルスの感染者が出ていない米アラスカ州から出発するクルーズ船1隻が3月19日に寄港する予定。今のところ、クルーズ船の入港自体は禁じてはないが、乗客の下船の許可については不明。

 ▲東南アジア旅行の自粛

 韓国:拡大を防ぐため中国からの入国制限と中国以外の感染拡大地域からの入国者の検疫強化及びアジア諸国への海外旅行の自粛を検討。国内患者の3分の2が外国で感染していることや中国だけでなく、日本、タイ、シンガポールを訪れた人の中で患者が増えていることにもあって、自粛を検討中。

 ▲休校・休店措置

 韓国:7日午前10時時点で、幼稚園459園、小学校106校、中学校33校、高校44校、特別支援学校5校の合計647カ所が休園・休校。3日時点で336カ所だったが、教育部が集計を始めてから5日で約2倍に増えた。

 ソウルでは7日、休園・休校が前日より41カ所増えた。ソウル教育庁がこの日、松坡区や江南区などの幼稚園・小学校32カ所に対し、10日から19日まで休園・休校するよう指示したため、休校数はさらに増える見通し。

 地域別に見ると、京畿道が236カ所で最も多く、光州市159カ所、全羅北道135カ所、ソウル市98カ所、仁川市12カ所、忠清南道5カ所、釜山市と忠清北道がそれぞれ1カ所となっている。

 ※感染者が立ち寄ったデパートや店などは臨時休業するところが相次ぎ、ロッテ百貨店(本店)は1月23日に武漢から観光目的で韓国入りし、2月6日に感染が確認された57歳の中国人女性(23人目の感染者)が同店を訪れていたことが判明したため7日から3日間臨時休店した。休店は1979年にオープン以来初めて。同店の一日の売り上げが200億ウォンであることから週末の「連休」が同店にとって大きな損失となった。

(参考資料:「新型コロナウイルス」が韓国の「No!ジャパン運動」を直撃

 

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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