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ミサイルシェルターが必要な時代になったのか?核ミサイルから身を守るシェルターの需要が高まっている

栗栖成之防災士ライター
AC写真

12月1日にも北朝鮮が衛星打ち上げを目的として、弾道ミサイルを発射しています。ロシアとウクライナ、イスラエルとハマスなどでは、戦争が現実に行われていて、ミサイルによって多くの命が犠牲になっています。

私達はテレビやSNSを通じて情報を共有していますが、まだまだ実感が湧かないのが現実です。

それでも度重なる北朝鮮のミサイル発射や、台湾有事など日本が戦争に巻き込まれる可能性は高くなっていると感じています。

そんな現実を裏付けるかのように、核シェルターの需要は高まっているようです。

お国柄の違い?日本のシェルターは地下街や地下鉄の駅

AC写真 地下鉄の駅
AC写真 地下鉄の駅

2022年の産経新聞の記事をみると、2002年(平成14)年の調査では核シェルターの人口あたりの普及率は次のようになっています。

  • スイス:100%
  • イスラエル:100%
  • アメリカ:82%
  • イギリス:67%
  • 日本:0.02%

これを見て、日本国内でも0.02%つまり100人に2名は核シェルターを保有していることに驚いています。

実際に2023年12月現在の日本では、核ミサイルによる避難施設は地下街や地下鉄の駅が指定されています。

ただし、これらの施設はミサイルからの攻撃を防ぐ目的で作られておらず、あくまでも一時的な避難場所です。ましてや、核の放射能汚染から守れる扉も、空気清浄機もありません。

日本政府の弾道ミサイル落下時の行動について

内閣官房 国民保護ポータルサイト 弾道ミサイル落下時の行動について
内閣官房 国民保護ポータルサイト 弾道ミサイル落下時の行動について

12月1日の北朝鮮の弾道ミサイル発射時にはJアラートが鳴り、テレビも一瞬で情報伝達画面に切り替わりました。

1:速やかな避難行動
2:正確かつ迅速な情報収集

が必要とされていますが、防災訓練は地域で行っていても核ミサイルへの訓練はほとんどありません。そのため「速やかな避難行動」といわれてもピンときません。

Jアラートが発表されると、次のような行動を取るように指示されます。

  • 屋外にいる場合は、近くの頑丈な建物の中か地下に避難
  • 建物がない場合は、物陰に身を隠すか地面に伏せて頭部を守る
  • 屋内にいる場合は、窓から離れるか窓のない部屋に移動する

これらはどうしても、首都圏を中心に考えられているように思えてなりません。

もちろん、否定する訳ではありませんが、地下鉄もない地下街もない頑丈なビルもない田舎では、どうすればいいのでしょう?

国会でも「核シェルターの普及状況に関する質問」が成されていた!

AC写真
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令和元年12月4日の臨時国会では、核シェルターの普及状況に関する質問主意書が提出され、日本でも外国のように核シェルターの普及を進めるべきとされています。

これに対する当時の安倍晋三内閣総理大臣の回答は、次のように述べています。

コンクリート造り等の堅ろうな施設や建築物の地階、地下街、地下駅舎等の地下施設への避難が有効であると認識している。(中略)
内閣官房を中心とした関係省庁においては、現在、避難施設の在り方に関し、一定期間滞在可能な施設とする場合における必要な機能や課題等について、諸外国の調査も行うなどして、検討を進めているところである。

と回答しています。

つまり現状での日本政府が推奨する核シェルターは「コンクリート造り等の堅ろうな施設や建築物の地階、地下街、地下駅舎等の地下施設」ということになります。

個人で核シェルターが用意できるのは富裕層の一握り

冒頭に近年は、核シェルターの需要が高まっていると伝えていますが、放射能を除去する空気清浄機を搭載した核シェルターは1,000万円以上と高額で、埋設型になるとそれなりの土地も必要です。

例えば、30坪の庭なしの戸建住宅への設置は無理ですし、マンションなどでも部屋への設置はできないでしょう。

そう考えると、需要を高めているのは埋設できる土地を持っていて、いつ使うか分からない施設に1,000万円以上の投資ができる富裕層といえるでしょう。

行政も周知はしているものの知名度は低い

実は政府もミサイルからの避難方法を、さまざまな手段で呼びかけています。また、政府だけでなく各自治体も分かりやすいマンガを作って広報していますが、どれも知名度は低く、周囲に聞いてもほとんどが存在を知っていませんでした。

そこでこの機会を使って、動画やマンガを紹介しておきましょう。

Jアラート概要、避難行動の必要性及び避難行動の原則について(2:58)

神奈川県庁が作成した動画を活用した資料(神奈川県庁のページ 3:11)

防災士ライター

これまで、洪水・土砂災害・地震・津波・高潮など、あらゆるハザードマップを作成。2017年に防災士とひょうご防災リーダーの資格を取得。2014年からWEBライターとして活躍し、現在では経験と資格を活かしてさまざまなメディアに多ジャンルにて記事を投稿中!

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