フロリダ周辺の海水温38.4度に 世界記録も超す
世界の海水温の最高記録は37.6度といわれています。ところが今、フロリダ周辺の海水温は、その記録を上回る38.4度まで上がっています。
38度といえば、いわゆる低温浴に分類されるお風呂の水温で、体がとてもリラックスできる温度とされています。西洋人が好むお風呂の温度も、だいたいこのくらいと聞いたことがあります。
しかし残念なことに、サンゴ礁にとっては致死的レベルです。
CNNは、「ここ2週間でサンゴは完全に白化、または死滅した。この高温が続けば、より深い場所にあるサンゴ礁も同じ運命に直面する」と危機的な状況を伝えています。
サンゴは温度の変化に敏感で、長い間にわたって高温にさらされると白化してゆっくりと死んでいきます。生息に適する温度は25~28度で、30度以上が長く続くと白化するといわれています。
なぜ記録的高温に?
では一体、なぜ海が温まってしまったのでしょうか。
その一因が、陸の熱波です。
フロリダ州では今夏、前例のない暑さが続いていて、マイアミでは統計史上初めて「猛暑警報(Excessive Heat Warning)」が出されたほか、湿度と温度から計算した体感温度が38度を超える日が、ここ43日間連続で続いています。これは過去の記録を11日も上回ります。
その背景にあるのが、居座っている高気圧です。その証拠に今年は北大西洋で早くもハリケーンが複数発生していますが、どれもアメリカには接近していません。
さらに面白いのが、これは不幸中の幸いなのですが、低気圧が少なく風も弱く、海水がかき混ぜられなかったおかげで、海岸が目も眩むほど美しく変貌していることです。
下はサウスカロライナ州の写真ですが、いつもは茶色い水がカリブ海のように変わったわと、地元の人たちは胸弾ませているようです。
世界記録?
ところで冒頭で、海水温の世界記録は37.6度と述べました。
これは2020年に中東クウェート周辺で観測された水温です。海水温には公式な記録がないので非公式の記録とはなりますが、これが世界最高といわれています。
今回のフロリダの記録はそれよりも高いので、世界記録の更新となるでしょうか。そうはいかないだろうというのが、専門家の意見です。
その理由は、記録を計測した海上ブイの位置にあります。USA Todayによれば、そのブイは陸からすぐ近くのところに設置されており、海の深さも1.5メートルと非常に浅かったそうです。
陸から近いと陸の高温の影響を受けやすいうえに、風も弱くなって、水温が高くなりやすくなります。そのうえ海が浅いので、海水が温まりやすいというわけです。
おまけに、マナティベイの海水は濁っています。そのために透明な海よりも日光を吸収しやすいのです。
そういった理由から、世界記録にはならないだろうというのが多くの意見のようですが、それを差し置いてもこの記録はスゴイと、海の専門家も衝撃を受けています。