衝撃!「相続人いない財産」過去最多768億円が国庫へ~どうなる!?相続人がいない相続
昨年度の相続人がいないために遺産が国に納められた総額が768億円に上ることが報道されました。
引用:NHK「相続人いない財産」過去最多768億円が国庫へ 昨年度
そこで、相続人がいない場合の相続がどうなるのか考えてみたいと思います。
「ご臨終です」の瞬間に財産は相続人の元へ
死亡した人(死者のことを「被相続人」といいます)の財産は、死の瞬間に原則として法律で決められた範囲の人(「相続人」といいます)へ移転します。
被相続人の配偶者は常に相続人になります。そして、その他の相続人は第1順位から第3順位まで決められていて、先順位の者がいれば後順位の者は相続人になれません。
相続人がいないケースとは
したがって、被相続人に配偶者がなく、相続人となる第1順位の実子も養子もなく、第2順位の実父母・養父母もなく、そして第3順位の兄弟姉妹もいなければ、その被相続人には相続人がいないということになります。相続人がいない被相続人で多いケースは、両親が既に死亡している独身で子どもがいない一人っ子です。
なお、配偶者とは法律婚(役所に婚姻届を届け出て結婚すること)をした者をいいます。事実婚や内縁関係では相続人にはなれません。
相続人がいないと相続財産どうなる?
被相続人に相続人がいない場合、遺言書を残していなければ、相続財産は引き継がせる人がいなくて宙に浮いてしまいます。この場合、家庭裁判所は、被相続人の利害関係人等が請求することによって、被相続人の財産を管理したり負債の清算を行ったりする相続財産管理人を選任します。最高裁判所事務総局が実施した家庭局実情調査によると2022(令和4)年12月31日時点の管理継続中の相続財産管理人選任事件の件数は1万3619件にも登ります。
相続財産管理人が選任されたら、家庭裁判所はまず相続人捜索の公告を行います。それでも相続人の存在が明らかでない場合、被相続人と生計を同じくしていた人・被相続人の療養看護に努めた人・被相続人と特別の縁故のあった人(以上「特別縁故者」といいます)の請求によって、家庭裁判所が相当と認めるときは、相続債権者等への清算後に残った相続財産の全部または一部を分与する制度があります。なお、特別縁故者の請求は、相続人を捜索するための公告で定められた期間の満了後3か月以内にしなければなりません。
そして、特別縁故者に対する財産分与がされなかった場合、相続財産は国庫に帰属し、国のものになります。
遺産を「国のものにしたくない」ならどうする?
冒頭で、「被相続人の財産は、死の瞬間に原則として相続人へ移転する」と書きました。原則があるということは例外があります。
その例外とは、相続人がいない人が「遺言書」を残すということです。被相続人が遺言書を残していれば、国庫に帰属せず、遺言に残したとおりに財産を引き継がせることができるということです。
ご覧いただいたとおり、相続人が存在しないで家庭裁判所が特別縁故者からの請求を認めなければ、最終的に遺産は国庫に帰属してしまいます。相続人がいない人で「遺産を国のものにしたくない!」という人は、遺言書を残しましょう。遺言書を残せば自分の遺産を思うように残すことができるので当然に国のものにはなりません。