台風21号は前線を巻き込みながら列島通過へ…「スーパー台風」の暖湿気で1か月分の雨も:気象予報士解説
台風21号は一時いわゆる「スーパー台風」と呼ばれる強さまで発達し、31日に通過した台湾各地に被害をもたらしました。
今後は1日(金)夜までに温帯低気圧に変わり、日本の南に停滞する前線を巻き込むような形で一体化しながら東へ進む予想で、週末の3連休にかけて列島を通過していく見通し。
多いところでは平年の1か月分を超えるような雨を降らせるおそれがあるほか、通過後の連休明けには一気に冷え込む予想です。気象予報士が解説します。
雨の範囲拡大、激しい雷雨も
1日は台風と一体化しつつある前線が九州付近まで北上し、西から雨の範囲が広がるでしょう。特に九州や四国では朝から雨で、夕方以降を中心に雷を伴って激しく降るおそれがあります。
東海は昼過ぎ以降、昼ごろまで晴れる関東・北陸も夜には雨が降り出すでしょう。
また別の北海道が北海道に近づき、北海道内も午後は雨のところがある予想です。
一方、沖縄や奄美では、次第に雨が小康状態となっていきますが、風が強い状態は続くでしょう。
連休初日にかけ広範囲で大雨に
「スーパー台風」というのはアメリカで中心付近の最大瞬間風速が80m/s以上(日本の風速の出し方だと約67m/s以上)に達した台風のことで、今回の台風21号も一時その基準を満たしていました。すでに勢力のピークを過ぎていますが、暖かく湿った空気を日本付近に持ち込んで雨を降らせそうです。
このさき台風21号は2日(土)には温帯低気圧に変わり、前線と一体化しながら西日本付近を進む見通し。九州~東北にかけて広く雨になる予想で、「大雨警報の可能性」が各地に発表されています。
特に九州北部では、1日(金)~2日(土)の降水量が合計250~300mmほどと予想されている地点が多く、平年の11月一か月分を超えるようなところも出てきそうです。
台風は低気圧に変わるとともにかなりスピードアップして移動するため、2日のうちに雨がやむところが多く、関東でも3日(日・祝)の朝には雨が上がる見込み。連休最終日にかけて晴れるでしょう。
なお、北海道には別の低気圧が近づき、この低気圧がかなり発達するため、4日(月・振休)は雨・風が強まり、通過後の週明け5日(火)には「冬型」の気圧配置に。
寒気が流れ込んで、北海道では平地でも雪でふぶくおそれがあるほか、東北でも初雪の可能性があります。富士山では観測史上もっとも遅い初冠雪の可能性があり、全国的に連休明けは一気に冷え込みそうです。
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