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#メルカリ読書術 新刊本の『積ん読』をメルカリで解消する方法

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
メルカリ『バーコード』かざして出品 出典:メルカリ

KNNポール神田です。

夏休みの宿題の『メルカリ体験』をしながら、フリマのシェアリングエコノミーを実践中だ。

スマートフォンのアプリひとつで、めんどうくさい宛名書きをすることもなく、宅配便の営業所にいき、ダンボールごと購入すれば、梱包の緩衝材も分けてもらえる。ガムテープも使わせてくれるので、家の中にダンボールや緩衝材を常に置いておくこともない。発送用の上質な和紙やホコリ除去用のエアスプレー、お礼書き用の毛筆とか別のものに凝りだしたりする始末だ…。むしろ、家中の『モノ』の流動化が盛んになっている。

さらにメルカリのアプリでバーコードのある商品を読み取るだけで、家の中の資産価値が見える化することとなった。

急拡大する二次流通市場

潜在二次流通市場は7.6兆円 出典:メルカリ
潜在二次流通市場は7.6兆円 出典:メルカリ

メルカリユーザーは1050万人、流通総額(GMV:Gross Merchandise Value )は3500〜3800億円に及ぶ。売上は357億円だから手数料10%がそのまま売上利益に反映されていると考えられる。日本の人口の約1割がメルカリのアプリを月に最低一度は開いていることとなる。

まだまだ、潜在的なユーザーは多いので右肩上がりの市場である。

男女年代別ポテンシャルユーザー 出典:メルカリ
男女年代別ポテンシャルユーザー 出典:メルカリ
内閣府発表のシェアリングエコノミー市場規模 出典:毎日新聞
内閣府発表のシェアリングエコノミー市場規模 出典:毎日新聞

内閣府の発表した2016年度のシェアリングエコノミー市場は5250億円だった。メルカリ一社でシェアリングエコノミー市場の最低でも66%の占有率を持っている。もちろんこの市場は民泊はタクシー配車、クラウドソーシング、スキルシェアなども含まれるからCtoCのマーケットの巨大さに驚く。

メルカリでのバーコード出品は超絶に楽ちん!

バーコードをかざせば、販売推奨価格が見える!  出典:メルカリ
バーコードをかざせば、販売推奨価格が見える! 出典:メルカリ

それでも、通常のオークションやフリマアプリの最大の難関は、梱包と配送のロジスティクスだ。

しかし、メルカリのバーコード出品は、かなりその手前を超絶的に楽ちんにしてくれた。

販売価格から利益まで瞬時に表示される  出典:メルカリ
販売価格から利益まで瞬時に表示される 出典:メルカリ

バーコードで読み取るだけで、書籍名と販売価格をレコメンドしてくれる。

AIで分析された販売推奨価格も出るので、何も考えずそのまま。

文字入力は不要! 自動入力 出典:メルカリ
文字入力は不要! 自動入力 出典:メルカリ

出品するまでに、文字入力は不要。バーコードから読み取った書籍データがそのまま自動で入力される。

家で眠っている新刊の積ん読本(積まれているだけで未読書の書物)も、定価の半額くらいでメルカリのAIは判断してくれる。バーコードでかざすと、家の中の本の価値が再認識できるようになる。

ゆうゆうメルカリ便はローソンで受付 全国175円 出典:メルカリ
ゆうゆうメルカリ便はローソンで受付 全国175円 出典:メルカリ

日本の郵便局ほど、不便なものはない。いつ行っても行列で、すぐに閉まってしまう。しかし、『ゆうゆうメルカリ便』ならば、コンビニのローソンで受け付けてくれる。175円で3辺最大60cm(長辺34cm)で1kgまでだ。『ゆうパケット(250円〜)』という送り方なのにゆうゆうメルカリ便のほうが、75円も安い。

梱包は、新聞紙でグルグル巻きで問題なし!

一番、気を使う梱包だが、書籍の場合はとても簡単! 書籍をスーパーでもらえる生鮮用のポリ袋でくるみ、あとは新聞紙でぐるぐる巻きで緩衝材とする。

厚さは必ず3cm以下にすること。それだけで、175円で日本国内全国配送が、ローソンで可能となる。あとは、スマホで発送終了のボタンを押すだけ。こちらの住所を知られることもなく、商品が届いたかどうかもスマホで追跡できる。

新刊本を本屋で借りて、ローソンで返す感覚

この『バーコード出品』と『ゆうゆうメルカリ便』で、読書体験が大きく変わった…。

新刊の書籍が、定価から、販売価格の約2割減、メルカリ手数料1割、送料175円 …のパラメータなので、どんな新刊本も『購入』ではなく『レンタル』する感覚へと変わるのだ。実質レンタル代金は、約500円くらいの感覚となる。

そして、購入の時は、必ず書店の紙カバーをかけてもらうようになった…。それは発送する時に梱包の手間がなくなるからだ。また書店のビニール袋のまま透明ビニールテープで貼れば、発送資材へと変わる。

何よりも、購入する時に書店でバーコードで出品してしまうのだ。家に帰る頃には売れているのだ。

発送まで2日とすると48時間のレンタルだ。

一気に読んでしまい、ローソンへ返しにいく…。いや、発送しているのだが、ローソンでキレイに梱包して返しにいく感覚になった。

シェアリングエコノミーは、自分のものでないからとても大切に扱う。追ったり、落書きなどしない。一気に読み込み、必要な本は手元においておくというあらたな読書体験だ。

書籍の二次流通は誰が損をするのか?『1億総ブックオフ時代』

しかし、筆者は二次流通を手放しで礼賛しているわけではない。

新刊本が売れて、流動化すればするほど、全体的に新刊本のマーケットは小さくなる。出版不況で本屋さんが潰れている中で、さらに売れなくなるのだ。そう、『1億総ブックオフ時代』になったのだ。

日本の独自流通の『再販制度(再販売価格維持制度)』によって守られてきた書店が、買い取り制度と二次流通にまで参入しないと売上を維持できなくなってしまうのだ。

新品と中古の2本立てで販売する店舗が、日本の楽器店のように登場する時代は、遠くないと思う。

そして、二次流通の最大の問題は、著者と出版社の利益損失だ。メルカリで二次流通が進めば進むほど、書店だけでなく、著者と出版社も利益を失う。そこでここは音楽の二次利用の権利(ライツ)を考えてみてほしい。ある意味、プラットフォーマーは手数料の中から、包括使用権をJASRACに支払うようにすべきなのである。

たとえ1%でも価値が移動することによって、出版社と著者に印税が配給されるとすると、日本の出版文化は、パッケージメディアであればこそ維持できるはずだ。

これも早期に、市場がまだ小さななうちに審議されるべき日本の出版業界の課題でもある。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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