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夏休みの宿題に『メルカリ体験』をすすめる理由〜学校が絶対に教えてくれない8つのチカラ〜

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
『メルカリ体験』で得られる8つの力

KNNポール神田です。

夏休みも残すところあと半月。宿題に困っているご家庭も多いことでしょう。

そこで夏休みの課題提案として、かわいいご子息に親子での『メルカリ体験』をおススメしたいと考えている。

『ヤフオク』は残念ながら3年前から、高校就学が可能となる年齢に達している満15歳以上(中学生を除く)に変更とされている。さらに18歳未満の利用は制限がある。

一方、メルカリには保護者の許可があれば基本的に赤ちゃんでも利用が可能なのだ。そのうち何らかの年齢制限がかけられるかもしれないが、現在は、保護者が許可すれば誰でも、スマートフォンさえ持っていれば『メルカリ体験』は今からでもスタートできる。

メルカリという会社のパフォーマンス

売上   赤字  出典:メルカリ決算情報
売上 赤字 出典:メルカリ決算情報

フリマアプリの実質的リーディングカンパニーである『メルカリ』は上場したばかりの70億円の赤字企業である。売上は357億円

しかし、取扱い流通総額は3468億円で、利用者はMAU(Monthly Active Users)で1075万人もいる。

流通額は3468億円 利用者は1075万人 出典:メルカリ決算情報
流通額は3468億円 利用者は1075万人 出典:メルカリ決算情報

これはメルカリの手数料が10%が、メルカリの売上であることと、月間利用者が日本人口の1割に達していることを物語っている。また、この4年間で「エンタメ・ホビー分野」の取引が伸びている。もはや女性用のメルカリとは言えなくなっている。

女性関連以外が伸びているエンタメ・ホビーなど 出展:メルカリ決算情報
女性関連以外が伸びているエンタメ・ホビーなど 出展:メルカリ決算情報

生きた経済を学べるツールとしての『メルカリ』

大多数のオトナのオークションやフリマはの印象はおそらく『面倒くさい』だろう。しかし、この面倒くさいも小中学生にとっては貴重なひと夏の経験になることだろう。むしろ、早くこの『メルカリ体験』を通じて、生きた経済である「シェアリングエコノミー」を経験しておくべきだと筆者は考えている。

フリマにおける商品のやり取りに関する『面倒くさい』出来事は学校では教えてくれないこれからの人生の大事なことをいくつも経験させてくれるのだ。シェアリングエコノミー社会を体感できるはずだ。むしろ、むずかしい経済学ではなく、すぐに役立つ、経済教育ツールとしての『メルカリ体験』をおすすめしたい。

メルカリで学べる8つのチカラ

メルカリで学べる8つのチカラ
メルカリで学べる8つのチカラ

メルカリを通じて物を売買しようとするといくつもの思考が生まれる。

今までの最終消費者は買って使って捨てて終わりの繰り返しだが、現在は消費者はいなくなりつつある。商品の二次流通がさかんになり、地球にもやさしくなりつつある。商品には「新品」と「ユーズド」の二種類が生まれることとなる。そして商品は「ワンユーザー」から、「マルチユーザー」に使われる使命を持ち始めた。そして、価格には、「新品価格」と「ユーズド価格」が流通しはじめた。メルカリはその取引のプラットフォーマーとして価格から10%の利益を得る。出品者は、メルカリ手数料と発送料と梱包費用と自分のかける時間コストと商品の残存価値の相場を考え出品価格を決定する。この時点で、価格決定力を自ら算出することができる。ただ、そこにはいろいろなパラメータによる需要と供給のルールが働く。

1.価格戦略力

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なんといっても重要なのが、値段の『価格戦略』だ。

この値段ひとつとっても決めるにはさまざまな要素の検討が必要だ。実際に商品が売れる条件で『価格戦略』を考える。確定したい利益、値下げ要望を考慮したアドバンスをとった価格設定などだ。

2.市場リサーチ力

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価格戦略を一番裏付ける情報は、市場価格のリサーチ力だ。同類の商品が過去にいくらで落札されており、競合商品が現在いくらで販売されているのか? ヤフオクではいくらなのか? 他のオークションでは? いくらで仕入れると利益が確定できるのか? メルカリは今すぐ売らなくても長期で販売できる。今は売る気がなくても、高値で売れるなら売ってもよい価格なども設定できる。

3.セルライティング力

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製品価格が決定し、市場価値も見えた。ここで重要なのは、売るためのコピーライティング力だ。メルカリはフリーマーケットだが、コミュニケーションの場でもある。商品の物語を語る必要がある。この商品を手に入れ、手放す理由もあれば、次に使う人が欲しくなるようなバイヤー視点の物語が必要だ。そして、不具合のある部分は、正直にだすことによってトラブルが防げる。この商品を手にするとどんな気分になるのか…。

これはオトナになってからも必要な生涯的なマーケティングのセンスが磨かれるのだ。いろんな商品を売れなくても自分の言葉で表現するチカラは重要だ。個性やオリジナリティがあるほうがメルカリでは有効だ。

4.写真クオリティ力

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メルカリの写真掲載数はたったの4点だ。写真の画質よりも、商品全体がわかる写真を撮影することが重要だ。画質よりも、商品がよくわからないと意味がない。一眼レフ写真のようなボケ足がキレイとかは関係ない。どんな商品であるかということのほうが重要だ。商品の部分、とくにキズがあるなどの部分は特にていねいにわかるように撮影する。商品と関係のないものが写り込まないようになどと、単なる写真撮影ではなく、売るための写真撮影を考える。その思考は趣味のカメラではなく、プロフェッショナルなカメラマンとしての意図のある写真撮影の思考になっているはずだ。

5.顧客対応力

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メルカリの醍醐味は、出品した瞬間から、質問が飛んでくることだ。LINEやFacebook、Twitterのようなお気軽ないいね!やどうでもよい話ではなく、ここでの質問はあなたのビジネスに直結している。しかも、そのやり取りが公開されている。いわば、店頭で決済権を持つ店主の役割だ。「値下げお願いします」という声が女性なのか男性なのか子供なのか? メルカリでは言葉や絵文字やアイコンで判断するしかない。それに応じた真摯な対応が求められる。理不尽で無知な客はもちろんいる。それが実際の世の中だ。メルカリで見事に対応できる人は社会でも対応できるはずだ。

6.ロジスティクス配送力

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「面倒くさい」の一番の部分がこのロジスティクスの梱包と手配だ。実際に自分が配送するわけではないのだが、商品を出品した瞬間からこのロジスティクスに対応しておく必要がある。まずは、出品した商品の管理が重要。出品した商品をすぐに梱包できるよう、ガムテープや緩衝材、ダンボールなどをまとめて「メルカリ箱」で管理する。メルカリを管理する時間と出庫する時間。コンビニや営業所への持ち込み。引取りの予約などの、ビジネスに重要なルーティーン力が備わる。時々だと面倒くさいが、頻繁に行うとそれはルーティーンとして、マメに処理できるようになる。ネットで商品が売れたことを実感する瞬間でもある。

7.カスタマーサポート力

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顧客対応力とも似ているが、ここは見込み客が決定してからだ。メルカリは価格設定をした値段で購買するフリマアプリだったのだが、交渉して値下げが可能なので、その人のために『○○様専用』という独自ルールがユーザーが生み出した。○○専用となっていても、横からいきなり買おうと思っても買えてしまうのだが、それはトラブルの元となる。メルカリは『リアル店舗ごっこ』の場なので、その生まれた文化を理解することが必要だ。なかにはクレームをおもしろがるユーザーもいる。しかし、自分のお店は自分でしっかりと守る必要がある。それは、自分のブランドを構築するというチカラが育まれるのだ。発送した商品が到着し、確認されようやく取引が成立する。その確認の時間を自分の1週間のスケジュールの中でマネージメントする必要がある。

8.金銭マネージメント力

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そして、いよいよ、最後の金銭マネージメントだ。

メルカリは、いわば、いくら自分の手元にキャッシュが残り、いつメルカリに請求し、いつ自分の銀行に振り込まれるのか?をマネージメントするゲームだとも言える。チャージのままでメルカリで購入するのもありだ。

この8つのチカラというのは、最終的に、経営マネージメントにつながるチカラなのだ。

日々のメルカリで学べる、コミュニケーションや物流、クリエイティブ、サポートにおけるすべてのマネージメントこそ、現在の学校、いや大学でも教えてくれない、実質のビジネスに必要な要素だ。

メルカリで培われる個人のチカラ

8つのメルカリで学べるチカラを紹介してきたが、これらには法則性もあり、需要と供給の基本的な原則論が生きている。商品に対してのきびしい審美眼も求められる。さらに、理不尽なユーザーとの戦い方も学べる。安いから買おうという発想から、これは価値が目減りしないから買おうという発想へと変わる。価値のすぐになくなるものは買わないという商売人の視点になれるのだ。

顧客視点に立つということは、消費者側にいると見えにくい。商人になることによって、社会の構造が見えてくる。同時に経済と次世代ビジネスの最先端を学べるのだ。

小学生や中学生で多感で可能性の広がる夏休み、どこかで仕入れてメルカリで売るという『メルカリ体験』を親子で参戦し、家族で相談し、その体験をわかちあって欲しい。きっと今までの経済ではみえなかった二次流通の極意がみえてくるはずだ。

メルカリにも『親子アカウント』のようなアカウント機能があれば、思わず、セラーはおまけして値引きしてくれるはずだ。バイヤーもあまり値引きというよりも学習の機会を与えてくれることだろう。親子アカウントで未成年アカウントとわかれば、社会も少しくらいは優しくなれることだろう。

むしろ、想定外のトラブルや詐欺行為が蔓延する世の中だからこそ、個人で生き抜くチカラを小さな頃から身につけさせることが重要だ。 その機会を与えられるのも親の力量次第だ。自分がわからないで逃げるのではなく、子供の未来の為に少し、時間を割いてみるのはどうだろうか?

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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