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【W杯現地報告】セネガル戦に勝機あり 中盤のパス回しに活路を見出せ!

木村正人在英国際ジャーナリスト
1戦目のコロンビア戦で決勝点をヘディングで決める大迫選手(写真:ロイター/アフロ)

[ロシア・エカテリンブルク発]サッカーのワールドカップ(W杯)1次リーグH組の日本代表は24日午後8時(日本時間25日午前零時)からエカテリンブルクで行われる第2戦で、脅威のスピードを武器にするアフリカのセネガル代表と対戦します。

日本代表が2連勝を飾れば、2大会ぶりの決勝トーナメント進出がかなう可能性もあります。2-1で大金星をあげた19日のコロンビア戦と同じ先発メンバーが予想されています。

エカテリンブルクのパブではサポータの前夜祭が開かれ、筆者も飛び入り参加。サッカーや日本代表、ロシア大会の観戦ツアー談義で大いに盛り上がりました。現地は半袖、半ズボンでも暑いぐらいの感じで、ボランティアの若者たちが親切にサポートしてくれています。

セネガル戦について予想する竹山友陽氏(右、筆者撮影)
セネガル戦について予想する竹山友陽氏(右、筆者撮影)

英イングランド・プレミアリーグで活躍するDF吉田(サウサンプトン)やFW岡崎(レスター・シティ)と親しいサッカークラブ「フットボール・サムライ・アカデミー」(ロンドン)共同運営者、竹山友陽氏とモスクワからエカテリンブルクに向かう機中、偶然、会ったのでお話をうかがいました。

――吉田麻也選手とはどんなお付き合いですか

「麻也選手とは、かれこれ5~6年の付き合いです。サウサンプトンにいた李忠成選手からいろいろとサッカー関係者を紹介された中に麻也選手もいました」

「僕たちは6年前に西ロンドンで日系のサッカーチーム、サムライを作りました。2年ほど前から麻也選手に協力してもらっています。1年前からどういうクラブにしていこうかというミーティングもしていて、今はアンバサダー(校長)をしてもらっています」

「サウサンプトンの試合に子供たちを連れて観戦に行ったり、個人的にも世界最高峰のプレミアリーグで戦うということについて話を聞いたりしています。日本の選手を欧州のクラブに移籍させる仲介人のようなこともやっています」

「日本の選手がどうやったら海外で通用するかというような話を麻也選手とはよくしています。4年前のW杯にはそれほど深い関わりはありませんでしたが、今回は友人が頑張る姿を生で見たいなと思ってエカテリンブルクに来ました」

――麻也選手が普段、プレミアリーグでプレーしているセネガルの点取り屋マネ(リバプール)をはじめセネガルの選手は日本選手が体験したことがないようなスピードで攻めて来ると思うのですが

「マネがサウサンプトンにいた時もよく試合を見に行きましたが、サウサンプトンの時はもっとスピード頼りというか、アフリカ選手特有の俊敏性とか、身体能力だけでやっていたところがあると思います。しかしリバプールに移籍してからは戦術的な動きも含まれているし、得点力はすごく上がっています。だから止めるのは大変だと思います」

「マネは使われるタイプの選手。裏に抜けて使われると嫌かな、みたいな感じです。でも自分で下がってきてボールをもらい始めたら、そんなに怖くないと思います。裏に抜けられるのがやっぱ一番嫌かなと思いますね」

――岡崎慎司選手は負傷中と言われています。心配ですね

「岡崎選手とも仲良くしていますが、他の選手ならケガなんでしょうが、岡崎選手だからこそ自分の意思の力で動かしているのかなと思います。たぶん無理はしているはずです」

――イングランド・プレミアリーグで活躍している多くの選手がW杯に出場しています。吉田選手や岡崎選手が持っている情報は生かされるでしょうか

「ビデオ分析はきっとやっていますが、選手からすると、やってみてどう出るかというところがあると思います。今までならアフリカ勢とやるのは初めてというようなことがあったと思いますが、普段、こっち(欧州)でやっている選手も多いので、そうした経験は生かされるんじゃないでしょうか」

――セネガルには足の速い選手がたくさんいるので、ディフェンスラインを上げるのは難しいのではないでしょうか

「たぶん前で時間を作ってくれないと、ずっと下がっていたら絶対にやられると思います。ロングシュートやミドルシュートを打たれて、そうすると前に出ないとならなくなります」

「前で時間を作るのは、FWの大迫(独ブレーメン)がキープしてMF香川(独ドルトムント)につなげて、もう一回、原口(独ハノーバー)か、乾(スペイン・ベティス)が持ち出すみたいな感じです」

「最近DFが5枚のチームが多いじゃないですか。5人で守ってフォーメーション5:4:1みたいな。それを長い時間やっていると、たぶんしんどいと思います。だからどっかで攻める時間が必要です。メンタル的にも」

――1戦目で決勝点をヘディングで決めた大迫選手。少し足にボールがついていないような印象を受けましたが

「1発目のシュートはしっかり打てていました。それより相手のコロンビアのサンチェス選手は本当にすごいんですよ。トッテナムの今、レギュラーですが、この前の試合はそこが穴になりました」

「開始3分に大迫が身を入れ替えてシュートを打ったのが、香川のPKにつながりました。大迫はいま良いと思います。絶対に。来季はブレーメンでプレーすることが決まっています」

「来季が決まっている選手のパフォーマンスは期待できます。契約が新たに決まってW杯でプレーできるって言うのはすごく良いと思います。来季ベティスに決まっている乾選手も同じです」

「安心して一番良いパフォーマンスを発揮できると思います。来季どうしようかという選手よりは絶対に気持ち的にも良いでしょう」

――1戦目を見ると、香川選手の調子が良いように感じましたが

「良いと思います。最近、ああいう感じの香川選手を見なくなっていたので。今は本田(メキシコ・パチューカ)か、香川かどっちかじゃないですか。本田よりは調子は良いんじゃないですか」

――本田選手のフリーキックやコーナーキックにも大きな期待がかかります

「フリーキック、今大会、結構入っているので、ボールが良いんでしょうかね。選手が思ったように蹴れている感じですね。クリスティアーノ・ロナウドのフリーキックもきれいに入りましたしね」

「本田選手のコーナーキックもすごく良いところに蹴れていました。そういうのは相手に結構プレッシャーを与えると思います。気持ち的にもコーナーキックになったらチャンスとかプラスに働きます。1戦目もコーナーキックから何度かチャンスがありました」

「コーナーキックから麻也選手というのも、すごいチャンスになるのかなと思います」

――日本代表の西野朗監督の株が急上昇中ですが

「たぶん選手はいろいろと思うことはあると思います。今まで選ばれていた選手と選ばれていなかった選手がいて、けれど今は言わないようにしているんじゃないですか。いったんフタを閉じて」

「でも引退したあと『あの時、実際はこうだった』としゃべる選手はいるかもしれません。今はしゃべらないというか、それが良い方向に向いているから、そこは今さら、しゃべってもしょうがないでしょうね、という感じでしょうね」

「手倉森誠コーチが今、監督と選手の間を繋いでいるような感じですね」

――2戦目は勝ちに行きますか。それとも負けないような戦い方になりますか

「1戦目に勝つと絶対、1点入れられても、もう1点ぐらい大丈夫という感じになると思います。2点入れられても2-1にしたらまだ行けるという感じになるでしょう。気持ちの面では1戦目を勝った意味は大きいでしょう」

「僕の感覚では、日本は何となく南米のチームを苦手にしています。南米勢はいくら自分たちが組織的にやっても個で行かれるというところがあると思います」

「しかしアフリカ勢のセネガルにパスで崩されるかなというイメージはあまりないと思います。セネガルにパン、パン、パンとパスを通されてやられるというイメージはあまりしません。自分たちのミスでカウンター攻撃をくらうというのはあると思いますが」

――中盤のボール回しでどれだけセネガルを圧倒できるかというのがカギになりそうですね

「やはり柴崎(スペイン・ヘタフェ)、長谷部(独フランクフルト)とかが真ん中でどれだけつなげるかが大事なんじゃないですか。柴崎は1戦目良かったですからね。そこからどういうパスが出るかが非常に大事だと思います」

――ロンドンのサッカークラブ、サムライの方はどうですか

「7歳から17歳までいて、昨年、大人のチームを作って、英国の12部にいます。2個リーグが上がって10部になるとFA杯に出ることができます。今年9月の開幕に向けてチームを作っているところです」

「FA杯に出られるというのは結構、夢があるなと思っています。あと7回ぐらい勝つとイングランド・プレミアリーグのクラブと試合ができるんですから」

エカテリンブルクの市街地(筆者撮影)
エカテリンブルクの市街地(筆者撮影)

(おわり)

在英国際ジャーナリスト

在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。masakimu50@gmail.com

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