Yahoo!ニュース

【札幌市東区】「もう40年以上もやっているの」 「余舎」、これで「よしや」と読む喫茶店で癒される

吉川雅子野菜ソムリエ上級プロ&フードツーリズムマイスター(札幌市)

12時ちょっと前、以前から気になっていたお店に入ってみました。雑居ビルの1階。建物の入口、そして店内が木造で、ビルにいるとは思えない不思議な空間です。もう40年以上ここで“喫茶店”として営業している「余舎(よしや)」をご紹介します。

入っていいのかしら?

12時ちょっと前ですが、外から見ると店内はそう明るくもなく、営業しているのかしら?と思いながら、ドアを開けてみました。「営業していますか?」

「MISUZU」の看板から、昔からやっている喫茶店だということがわかる外観
「MISUZU」の看板から、昔からやっている喫茶店だということがわかる外観

入店してみると、小さな高齢の女性がカウンターの椅子に座って新聞を読んでいました。「はい、やっていますよ!」と言いながら、新聞を片付け、カウンター奥に入ってお冷を取りに行きました。

置かれている家電や椅子など年季がいい感じに入っています
置かれている家電や椅子など年季がいい感じに入っています

年季の入った喫茶店! 味のあるメニューの前の席を陣取り、メニューを凝視!

いい感じに古ぼけたメニュー。メニュー名や価格の訂正シールから古いものだと想像できます
いい感じに古ぼけたメニュー。メニュー名や価格の訂正シールから古いものだと想像できます

ちょっと野菜不足だったので、「野菜炒め定食」をお願いしました。

「ちょっと時間がかかるけど、大丈夫かい?」「ええ、まー」。

オーダーが入ってから、カウンター端の冷蔵庫を何度も空けながら食材を出す音、フライパンで何かを焼いている音などが聞こえます。

お客さんは私一人だったので、その間に店内を少し見せてもらいました。カウンター4席のほかにはテーブル席が4卓。

茶色に塗られた壁や天井、床の木や、積まれたレンガ、茶色い椅子がレトロです
茶色に塗られた壁や天井、床の木や、積まれたレンガ、茶色い椅子がレトロです

店内には印象的な絵が飾られていたり、渋い感じものたちがいっぱい!
店内には印象的な絵が飾られていたり、渋い感じものたちがいっぱい!

これも渋い! コーヒーのお湯もここで沸かしています
これも渋い! コーヒーのお湯もここで沸かしています

25分くらいかかって、やっと野菜炒め定食が運ばれてきました。ワンオペだから仕方がないね。

冷蔵庫に行くたびに取ってきたと思われるいろいろな野菜。ハクサイ、キャベツ、タマネギ、ネギ、ホウレンソウ、シイタケ、豚肉、それに目玉焼き。お味噌汁と漬物
冷蔵庫に行くたびに取ってきたと思われるいろいろな野菜。ハクサイ、キャベツ、タマネギ、ネギ、ホウレンソウ、シイタケ、豚肉、それに目玉焼き。お味噌汁と漬物

ちょっと焦げた目玉焼きがご愛敬。

お皿がレトロ。昭和30~40年代に流行っていた柄なのじゃないかな?
お皿がレトロ。昭和30~40年代に流行っていた柄なのじゃないかな?

店内にはNHKFMラジオが流れているのも、お店に合っていて妙にリラックスします。

ほかにお客さんがいなかったので、ご飯をいただきながらちょっとずつ会話。コーヒーを追加オーダーしてカウンターに移動しました。

ホーローのポットにストーブに置かれたポットのお湯を足し、カップを温めて、コーヒーを落とす。

コーヒーと店主。何年とこんなカウンターでコーヒーを飲んでいなかったなー
コーヒーと店主。何年とこんなカウンターでコーヒーを飲んでいなかったなー

(店名にしてはあまりピンとこなかったので)「どうして余舎」というのですか?

「どういう意味だと思う?」「えっ」、まさかこちらが問われると思わなかったからビックリ。戸惑っていると、「私は、余っている時間をここで過ごしてほしいということだと思うの。この店名を決めた人、お店ができてからいなくなってしまってね」。

居抜きの店内のデザインと店名は、その当時、絵描きの知人が考えてくれたものだそうです。他人事のように店名を説明する店主は「もう85才」だという。「もうここで、一人で40年以上やっているのよね」と。腰が曲がってきたほかは健康だと。

お店は休みがなく、毎日9:00から営業。今はお客さんの入り具合で19時とか20時には閉店。

「へー、お休みがないのですか?」「もう何年も休んでいない。ここでぼーっとしたりウトウトできるしね」と。などなど、さらに30分ほど会話。

なんだかお母さんと話しているような感じでとても居心地が良かったです。

ちょうどお客さんが来店したので、ここで終了。

次に行った時は、「スパゲティナポリ焼きそば風」にしようかな? きっと昔のお母さんが作ったようなナポリタンみたいなのでしょう。

<余舎(よしや)>

*住所:札幌市東区北25条東1丁目3-17

*TEL:011-742-4996

*営業時間:9:00~20:00くらい

*定休日:なし(と店主は言っていましたが、一応、不定休にしておきます)

野菜ソムリエ上級プロ&フードツーリズムマイスター(札幌市)

札幌市在住。「野菜ソムリエ上級プロ」。ほかにも生産者のブランディングをする「青果物ブランディングマイスター」、地域の食をツーリズムに生かす「フードツーリズムマイスター」などの資格を有する。「簡単におうちで野菜たっぷりな料理をしよう!」をモットーに料理教室やワークショップなど食に関する話題提供や、野菜や果物を使った商品開発やメニュー開発、アグリツーリズム企画なども行っている。また、原田知世・大泉洋主演の映画『しあわせのパン』では、フードスタイリストとして映画作りに参加。著書:『北海道チーズ工房めぐり』『野菜ソムリエがおすすめする野菜のおいしいお店』など。

吉川雅子の最近の記事