サントリー、2連覇へ。沢木敬介監督、対するパナソニックの脅威をどう見るか。【ラグビー旬な一問一答】
ラグビーの日本選手権を兼ねる国内最高峰トップリーグの準決勝は、1月6日、大阪・ヤンマースタジアムであり、昨季2冠のサントリーがヤマハを49―7で撃破。前半に4トライを奪うなど、立ち上がりから試合を支配した。13日、東京・秩父宮ラグビー場でパナソニックと決勝戦をおこなう。
試合後、沢木敬介監督と流大キャプテンが会見。シャープな談話で知られる沢木監督と昨季入社2年目にして現職に就いた流キャプテンには、好調なパナソニックに関する質問が集中した。
以下、公式会見中の一問一答の一部(編集箇所あり)。
沢木監督
「はい、皆さんお疲れさまでした。きょうは本当に、今季一番くらいのいい入りができて、ヤマハさんに対して準備してきたことをいい形でコントロールできたと思います。来週に向けてですが、パナソニックさんの好調ぶりを見ていると、簡単な試合には絶対にならない。勝つためのいい準備をしていきたいです」
流
「監督も言われましたけど、きょうはいい前半になりました。試合を通しても、選手同士で高いスタンダードでプレーしようと言い続けていて、このような試合ができてよかったと思います。パナソニック戦、リーグ戦では負けているのでリベンジしたいです」
――狙い通りにいった点。
沢木監督
「まずセットピース(スクラム、ラインアウトなどのプレーの起点。ヤマハの強みとされる)は、ヤマハ戦に向けて準備したことで対応できた。あとはボールの動かし方、キックを蹴るタイミング、蹴った後のボールを取り戻すまでの過程…そういったところです。選手たちが理解して、しっかりとコミュニケーションを取りながらできたと思います。ラグビーなので、状況は変わってくる。正解はない。そのなかをいいコミュニケーション、いいディシジョンメイキングで対応ができたと思います」
――1週間、どんな準備をするか。
沢木監督
「サントリーは自分たちのスタイル、自分たちのやり方(を徹底する)。そしてパナソニックさんの穴を見つけ、パナソニックさんの弱みをしっかりと突いていきたいです」
流
「戦術的な分析はこれからしますが、まずは必ずチャンピオンになるという気持ちを確認する。去年チャンピオンになった嬉しさをもう1回、味わうため、10月21日(リーグ戦の直接対決時、10-21で星を落とした)に負けた悔しさをもう1回、思い出す。その辺のメンタリティーを、植え付けていきたいです」
――パナソニック戦に向けての鍵になる部分は。
沢木監督
「教えません。…嘘です。さっき流も言っていましたけど、一番は、ハングリーにチャレンジすることです。そこは自分たちのカルチャーなので、去年チャンピオンだったとかは関係なく、ハングリーにチャレンジする」
流
「自分たちのラグビーをどれだけ貫けるか。そこにどれだけチャレンジできるか。そのチャレンジが本当にできた時は、勝てると思います」
会見場にはテレビカメラが多数、並んでいる。やはり決戦前とあって、ボスもリーダーも相手の強みをどう消すかなどの具体例は明かすまい。
質問を具体化したら、どうなるか。
――相手の脅威となるのは、フランカーのデーヴィッド・ポーコック選手の接点(ブレイクダウン)でのターンオーバー、日本代表のウイングである山田章仁、福岡堅樹両選手の決定力かと。どうご覧になっていますか。
沢木監督
「前回やられているんで、あそこで自分たちが成長したということを証明したい」
――例えば、ポーコック選手のジャッカル(ブレイクダウンで球を奪うプレー)はどう警戒しますか。
沢木監督
「ポーコックには、仕事をさせない。まず」
ここでの「仕事をさせない」は、サントリーのサポート役が素早くラック(ランナーが寝たブレイクダウン)へ入り、ポーコックにボールへ働きかける隙を与えないことだろうか。
さらに突っ込むほかない。
――それは、ブレイク…。
「仕事をさせない」
クールな指揮官が笑った。