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リオ・オリンピックは、史上初の真冬の夏季五輪 

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
(写真:アフロ)

現地時間5日(金)、待ちに待ったオリンピックが幕を開けます。

ブラジル・リオデジャネイロでの開催ということもあって、今年は史上3度目の、南半球で開かれる夏のオリンピックです。

過去2回はオーストラリアで行われていますが、どちらも南半球における春に開催されたため、今回は「史上初の真冬に開かれる夏季五輪」でもあります。

そして、この真冬開催というのは、天気の観点から見ると、なかなかよい選択と言えそうです。

リオデジャネイロの気候

日本から見て、ブラジルは地球の裏側にありますが、リオデジャネイロのちょうど真裏に当たるのが沖縄の東の、大東島付近です。

リオデジャネイロは南緯23度にあり、南回帰線のすぐ近くに位置しています。南回帰線とは、南半球における夏至の日に、太陽がちょうど真上(太陽高度90度)にくる場所です。夏(12~2月)は日射が強く、上昇気流が活発になり雲が作られるので雨季となり、連日のように雨が降ります。

一方、冬(6~8月)は日射が弱くなるので気温が下がり、上昇気流も抑えられるので、晴れの日が多くなります。この、よく晴れて、気温が低めの、一年で最も快適な季節が今なのです。

データ参考:ブラジル気象局
データ参考:ブラジル気象局

好天の8月

参考:ブラジル気象局より
参考:ブラジル気象局より

リオデジャネイロの8月の最高気温の平均は28.7度、湿度は71%です。

これはまるで、札幌の真夏、もしくは東京の初秋のような陽気で、日中は、比較的快適といったところです。一方、最低気温の平均は19度ですので、朝晩はやや涼しくなります。

スポーツに与える影響

こうした天気は、スポーツにどのような影響を与えるでしょうか。

まず、雨の日が少ないので、ゴルフ、サッカー、ラグビー、自転車競技などと言った、雨で地面のコンディションが影響を受けるようなスポーツには、朗報といえます。

では、気温はどうでしょう。

日中の気温も高すぎずと言った感じですし、長距離走などは、そのほとんどの試合が午前中に予定されています。1984年ロサンゼルス五輪や、2004年のアテネ五輪など、酷暑の中で行われ、熱中症などによって棄権した選手が多く出た大会に比べると、今回は高温に対するリスクは低いと思われます。

しかし、マラソンなどは元々冬のスポーツですから、選手にとってタフなコンディションであることには、間違いありません。

実際、湿度も考慮すると、体感気温は30℃台半ばにも上ることがあり、長時間に渡って屋外で競技をするテニスなどの選手は特に、熱中症などへの注意が必要となります。

開会式の天気

ブラジル気象局のHPより
ブラジル気象局のHPより

開会式の日、天気はどうなるでしょう。

5日(金)は高気圧に覆われ、よく晴れて日中気温が28℃まで上がる予想が出ています。式が行われる夜も雨は降らず、気温は20度前後まで下がる見込みです。

また、自転車競技などの試合が行われる6日(土)も晴天が続き、最高気温は29℃となるでしょう。

ところで、日本とブラジルの時差は12時間なので、ほとんどの試合が、日本時間の夕方から朝に行われることになります。日本から観戦される方は、夜更かし、そしてそれから来る、日中の疲労や熱中症等に、くれぐれもお気を付け下さい。

ブラジル気象局の天気予報

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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