サイクロン「タウテ」1998年以来の強さでインド北西部に上陸か
サイクロン「タウテ」がインドに接近しています。17日(月)夜に北西部グジャラート州に上陸する見込みです。1998年に同州を直撃し、4,000人超の犠牲者を出したサイクロンに匹敵する強さとなる恐れが出ています。
コロナウイルスの感染が深刻なインドですが、週末からはサイクロンも猛威を振るっています。サイクロンの名前は「タウテ(Tauktae)」、ミャンマーの言葉でヤモリを意味するそうです。
この嵐のヤモリは「極めてシビア(Extremely Severe)」なサイクロンで、インドの気象局によると、現地時間17日(月)昼の時点で最大風速は53メートルとなっています。
サイクロンのランク分け
サイクロンの階級には5つのカテゴリーがあります。最強が「スーパー」、次は「極めてシビア」「非常にシビア」「シビア」で、何も冠のつかない「サイクロン」と続きます。
すでに大雨被害
タウテはインド西部の海岸線を北に進んでいます。中心はまだ海上にありますが、すでに洪水や強風によって多くの家屋に被害が出ています。
ロイターによると、これまでに6人の死亡が報告されているようです。
コーチという南西部の都市では、48時間で501ミリ、5日間では955ミリの大雨が観測されています。5月の月間平均降水量は280ミリですから、とんでもない量の雨が降ったことがわかります。
インド北西部に上陸へ
このサイクロンは現地時間17日(月)夜中にも、インド北西部のグジャラート州に上陸する可能性が高まっています。グジャラート州はインドでもっとも長い海岸線を持つ州ですが、その地理的な位置から、強いサイクロンの直撃を受けることはまれです。
インド気象局の予想では、タウテは上陸前にやや弱まって、今より一ランク下の「非常にシビア」の勢力で上陸する見込みとなっています。ただ階級は下がるとは言っても、予想される最大風速は46メートルですから、今よりも大幅に弱まるわけではなさそうです。
1998年以来の強さか
この強さのサイクロンがグジャラート州を直撃するのは、1998年以来初めてといわれています。
今から23年前に上陸したこのサイクロンは、4,000人超の死者・行方不明者を出しました。被害が広がったのは、州政府が気象局の呼びかけを軽視して、住民の避難を熱心に行わなかったこと、塩田施設の雇い主が作業の中断を恐れて、作業員にサイクロンの接近を伝えなかったことなどが理由だと言われています。
カンドルという港町では、高潮がどっと押し寄せたため、6時間で1,500人が命を落としたそうです。この当時はテレビの普及率も低く、今のように情報が簡単に手に入る時代ではなかったのです。
教訓を活かせるか
タウテの上陸時の強さは、この1998年のサイクロンとほぼ匹敵するという予想が出ています。
今回、州政府は声明で「影響が見込まれる地域の人々を避難させ、死者をゼロにするためにすべての措置を講じる」と述べ、サイクロン対策への強い意欲を表明しています。すでに数万人を避難させたもようです。
23年前の教訓が生かされ、被害が最小限にとどまることを願う気持ちです。
**追記(5/18)**
タウテは17日夜にグジャラート州に上陸、上陸時の勢力は「非常にシビア」で、インド気象局の予想が的中した。アメリカ軍による解析では、中心付近の最大風速が55メートル(こちらは1分平均。インド気象局は10分平均で解析)で、1998年のサイクロンと同じ強さとなった。これはアラビア海で発生し上陸したサイクロンの中で最強の勢力である。