海外航空会社では犬を機内持ち込みできるケースもあるが、国内航空会社のルールは?熱中症にならない工夫も
3月12日にヒューストン発ニューヨーク行きのユナイテッド航空便で、ケースに入れて機内持ち込みされたフレンチブルドッグが、客室乗務員の指示によって座席上の荷物入れに収納され、約3時間後、ニューヨークに到着した際には息をしていなかったというニュースが伝えられた。
海外の航空会社では機内持ち込みが可能なことも。国内航空会社では不可
ユナイテッド航空をはじめ、海外の航空会社では専用ケースに入れ、ペットの運送料金を支払うことで、大きさなどの規定はあるが、条件を満たせば乗客と一緒に移動することが可能なケースも多い。その際には、足下のスペースに置くことがルールとなっている。座席の下であれば、飼い主が直接様子を確認できるほか、ケース内に十分な酸素を確保することが可能だ。
日本の航空会社においても、かつてはペットの機内持ち込みが可能だった時代もあったが、ANA(全日本空輸)では2005年7月31日を最後に機内持ち込みが不可となった。理由としては、アレルギーのお客様への配慮やシート電源の設置などによってペットを収納するスペースがなくなってしまったことなどがある。盲導犬などについては、ANA、JAL(日本航空)共に現在もお客様と共に機内に入ることができる。
国内航空会社ではグランドスタッフやグランドハンドリングスタッフが温度管理を徹底
日本の航空会社では、機内にペットを持ち込むことはできないが、預け手荷物として、貨物室で預かることができる。航空会社では、預かったペットが飛行機に搭載されるまでの温度管理を特に徹底している。預かってから飛行機に搭載するまでの時間は、他の荷物とは異なり、空調が効いた場所で保管されたのち、グランドハンドリングスタッフによって、丁寧に飛行機の貨物室に搭載される。貨物室でもコンテナに入れられるのではなく、空調が効いており、温度管理がされて酸素も確保できる場所に乗せられる。ANAでは夏場の期間(5月~10月)は、ペットゲージに保冷剤や給水器を取り付けるサービスも行っている。
空港で勤務経験のあるグランドスタッフに話を聞くと「特に、熱中症にならないようにチェックインカウンターで預けていただいてから機内に乗せるまでの温度管理に気を遣っている」と快適に移動できるように最大限のサポートをしている。日本の「おもてなし」がここでも生かされている。
また熱中症にならないように、夏の期間は日中時間帯を避けるように案内している。今回、アメリカではフレンチブルドッグを機内に持ち込んでいたが、国内線においては、フレンチブルドッグを含む短頭犬種はANAでは5月1日~10月31日まで、JALはフレンチブルドッグとブルドッグに限って年間を通じて預けることもできないルールとなっている。
ペットを預ける場合には、空港で同意書を提出した後、国内線では出発30分前までに預けることになる。ペットゲージは、飼い主が持っているものもそのまま使えるほか、空港で専用ゲージを借りることもできる。到着後は、係員から直接引き渡される。ペットを預ける料金は、ANA、JAL共に羽田発着路線では6000円(一部路線では異なる)となっている。
ペットと共に機内で過ごせる専用のチャーター便が大人気
日本ではペット共に飼い主と同じ座席で飛行機移動をすることができないが、ペットと機内でも一緒に過ごしたいという声を受けて、ANAとJALはチャーター便を使ってペットと一緒に飛行機移動できるツアーを企画・発売したところ、高額にも関わらず発売してすぐに満席となった。
ANAは2016年5月20日~22日までの2泊3日で、成田~釧路線でペットと共に移動できるチャーター便「ワンワンフライト」を運航し、宿泊先も阿寒湖畔にあるホテルを貸し切るという徹底ぶりで2泊3日のツアーで大人2名と犬1匹合計22万2000円にも関わらず、参加した人からは愛犬と一緒に機内でも過ごせて幸せだったという声が多く聞かれた。
JALは2017年1月27日~29日の日程で成田~鹿児島線のチャーター便を使った鹿児島2泊3日、今年3月8日~11日の日程で成田~那覇線のチャーター便を使った沖縄3泊4日と2回の「JALワンワンJET」を運航した。沖縄の3泊4日においては、那覇空港から車で2時間ほどの場所にある国頭村の「オクマ プライベートビーチ&リゾート」に宿泊で、大人2名と犬1匹で一人あたり27万8000円に設定された。大人2名での合計旅行金額は55万6000円となったが、発売初日に売り切れとなった。33匹のワンちゃんが飼い主などの乗客64人と共にフライトを楽しんだ。
窓側席がワンちゃんの専用席となっており、シートにはビニールがかけられているほか、動物アレルギー対策のためにシート、床をはじめ、機内を徹底して清掃を行っている。日本では諸外国に比べると、ペットアレルギーに対しての意見も多い。ペットが乗れるチャーターフライトのニュースが流れると、掃除を徹底しても当該機には乗りたくないという声もSNS上で書き込まれており、まだまだ課題があるのも事実だ。ペットを機内に乗せることはコストも多くかかる。だが、高額な料金設定でも参加者が殺到していることから考えても一定の需要があることは確かである。
今後、今回のような悲劇が起こらない為にも、世界的にペットと一緒に飛行機移動する場合のルール作りや航空会社社員への徹底がより求められるだろう。