グーグルが「Pixel」ハードウェア製品を一挙公開。その狙いは?
グーグルの開発者向けイベント「Google I/O」では、Pixelシリーズのスマートフォンやスマートウォッチ、タブレット製品の情報が一挙公開されました。実際の発売はずいぶん先になりそうな製品も含まれますが、グーグルの狙いはどこにあるのでしょうか。
スマホ、スマートウォッチ、タブレットまで登場
まずはグーグルが発表した製品を駆け足で見ていきましょう。スマートフォンとしては、ミッドレンジの「Pixel 6a」を発表。日本ではソフトバンクとKDDIが7月28日に発売します。
プロセッサーには、ハイエンドの「Pixel 6 Pro」と同じ自社製の「Tensor」を搭載。他の端末メーカーは安価なスマホには安価なプロセッサーを搭載せざるを得ないのに対し、差別化を図っています。
さらに、今秋発表予定のハイエンド「Pixel 7」と「Pixel 7 Pro」を先行公開しました。基本的なデザインは踏襲し、プロセッサーやカメラを強化したモデルになりそうです。
これは秘密主義でリークを嫌うアップルとは対照的な動きです。「噂サイトなどの不正確な情報がユーザーを惑わすくらいなら、先に出してしまう」という、グーグルの現実主義的な考え方を感じます。
グーグルのWear OSを搭載したスマートウォッチ製品「Pixel Watch」の概要も発表されました。グーグルは2021年1月にフィットネスバンドで知られる「Fitbit」の買収を完了しており、Pixelブランドで製品を投入するのは自然な流れと言えるでしょう。
2023年の製品として、PixelシリーズのAndroidタブレットを開発していることも明かしました。これほど先の製品を公開してしまうのは他社との競争を考えると心配になるところですが、グーグルの狙いは開発者向けのアピールにあるようです。
Google I/Oは開発者向けのイベントであり、参加者はこれからどのプラットフォームでの開発に注力すべきか、判断しようとしています。そこでグーグルは、これから注力したいウォッチやタブレット向けアプリの開発を呼びかけた形です。
ただ、いくらグーグルが口先でやると言ってもなかなか信じてもらえないので、将来的に発売する予定のハードウェアをあえて見せることで、現実味を出そうとしたと考えられます。
グーグル日本法人によれば、Pixel 7やPixel Watch、タブレットの発売地域は日本を含めて未定とのこと。しかしPixelシリーズはソフトバンクとKDDIが取り扱っており、日本での売上が比較的大きな割合を占めているとみられることから、Pixel 7の発売はほぼ間違いないでしょう。
また、Pixel Watchについても日本語のWebサイトが作られています。過去の事例から、これも日本での発売を期待してよさそうです。
製品投入を継続できるか
Google I/Oの基調講演から、グーグルがハードウェアにやる気を出していることは分かりました。ただ、グーグルのタブレット製品はしばらく途絶えていたように、そのやる気がいつまで続くのか、懐疑的な見方もあります。
タブレットやスマートウォッチの市場を支配するアップルは、iPadやApple Watchが製品として優れているのはもちろんですが、それと同じくらい「定期的に新製品を出し続けている」ことが強みになっています。
縦割りとの批判もありますが、アップルは製品カテゴリーごとの市場と真剣に向き合っているという信頼があります。だからこそアプリ開発者やアクセサリーを作る会社も本腰を入れて取り組む気になり、エコシステムが回っているといえます。
グーグルは自社製のAIとプロセッサーを中心に、Pixelシリーズを展開していくというビジョンを打ち出しています。この勢いで、開発者や市場からの信頼を得るまで製品投入を継続できるか注目しています。