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JFE西日本との練習試合は1対1の引き分け《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
先制ソロを放った藤谷選手(背中)を迎えるベンチ。横山投手(右奥)も笑顔です。

 久しぶりに阪神ファームの試合を見ました。鳴尾浜球場も約1か月ぶりで、すっかり秋らしく…と言いたいところですが、とんでもなかったですね。倒れそうな暑さに意識が朦朧とするほどでした。少し前は空に秋の雲も見え、朝晩はひんやり感じた日もあったのに、何でしょうか?この猛暑は。

 そんな鳴尾浜で、きのう10日は社会人のJFE西日本を迎えて練習試合が行われました。先発したJFE西日本の河野竜生(かわのりゅうせい)投手は今秋のドラフト候補とあり、スタンドにはプロのスカウト陣がずらり!全部で11球団が集結していたそうですね。もちろん阪神の矢野監督も視察しています。

きょう11日の鳴尾浜。この1時間後に雷雨となりました。こうやって入道雲があちこちで立ちあがっている毎日です。
きょう11日の鳴尾浜。この1時間後に雷雨となりました。こうやって入道雲があちこちで立ちあがっている毎日です。

 なおJFE西日本とは4月4日にも鳴尾浜で対戦していて、やはり先発だった河野投手は4回を投げ4安打2失点。ヒットや2四球で満塁となった1回に山崎選手の犠飛と片山選手のタイムリーで失点したものです。今回は4回3安打無失点でした。最速145キロの真っすぐも変化球も空振りしたりファウルになったりと、なかなか打ちにくそうな感じですね。

 まだ21歳の左腕。間違いなく上位で指名されるでしょう。そのあと『第45回社会人野球日本選手権大会』で有終の美を飾ってプロへ、という段取り。勝手に決めていますけど(笑)。どこが指名するのか、楽しみになってきました。

阪神8安打、JFE6安打で1対1

 楽しみと言っている場合じゃないですかね。きのうの試合では阪神打線が1点取るのに苦労したので。藤谷選手が7回にソロホームランを放って先制したものの、直後の8回に横山投手が暴投で追いつかれ、1対1の引き分けでした。では結果と経過をどうぞ。

《練習試合》9月10日

阪神-JFE西日本 (鳴尾浜)

 JFE 000 000 010 = 1

 阪神 000 000 100 = 1

  ※9回引き分け

◆バッテリー

【阪神】呂‐歳内-横山-浜地 / 長坂-片山(6回~)

【JFE】河野(4回)-谷中(2回)-中川(2回)-佐治(1回) / 志賀-坂本(9回裏)

◆本塁打 神:藤谷ソロ(中川)

◆二塁打 神:小幡、森越 J:斉藤

◆打撃    (打-安-点/振-球/盗/失)

1]中:島田   (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

2]二:熊谷   (3-0-0 / 0-1 / 0 / 0)

3]指:高山   (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

〃打指:山崎  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

4]三:陽川   (2-0-0 / 0-0 / 0 / 1)

〃打左:伊藤隼 (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

5]右:板山   (3-0-0 / 2-1 / 0 / 0)

6]左:森越   (2-2-0 / 0-0 / 0 / 0)

〃左一:荒木  (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

7]一三:藤谷  (3-1-1 / 1-1 / 0 / 0)

8]捕:長坂   (2-1-0 / 1-0 / 0 / 0)

〃捕:片山   (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

9]遊:小幡   (4-2-0 / 0-0 / 0 / 0)

先発の呂投手。3回2安打無失点です。
先発の呂投手。3回2安打無失点です。

◆投手 (安-振-球/失-自) 最速キロ※

呂  3回 38球 (2-0-2 / 0-0) 143

歳内 2回 29球 (1-2-0 / 0-0) 147

横山 3回 45球 (3-3-1 / 1-1) 142

浜地 1回 21球 (0-0-1 / 0-0) 146

       ※チーム計測の数字

   

《試合経過》※敬称略

小幡選手は河野投手からの二塁打を含む2安打!
小幡選手は河野投手からの二塁打を含む2安打!
藤谷選手のホームランで7回に先制しました。
藤谷選手のホームランで7回に先制しました。

 先に攻撃からご紹介します。JFE西日本・河野に対して1回は三者凡退、2回は1死から板山が四球を選び、森越の右前打と藤谷の一ゴロで2死三塁とするも長坂は見逃し三振で還せず。3回は先頭の小幡が初球を打って左中間への二塁打を放ちましたが、後続をピシャリと断たれて無得点。4回は3死から森越が左中間二塁打、しかし藤谷の三振で0点に終わっています。

 5回はJFE西日本2人目の谷中から長坂と小幡が連打したものの、相手の好守と併殺で残塁。6回は代打・伊藤隼の中前打のみ。0対0のまま迎えた7回、3人目・中川に対し1死となったあと藤谷がレフトへソロホームラン!カウント2-2からの7球目、133キロの球でした。同点に追いつかれた直後の8回は、1死から熊谷が四球を選び暴投と内野ゴロで三塁へ行きますが追加点はなし。9回は4人目の佐治から森越がセカンド内野安打、藤谷が四球で1死一、二塁とするも、やはり得点はありません。

2人目は歳内投手で1安打無失点。
2人目は歳内投手で1安打無失点。
9回は浜地投手、1回無失点です。
9回は浜地投手、1回無失点です。

 続いて投手陣です。先発の呂は1回に1死から連打を許しますが後続を断ち、2回は1四球のみ、3人で片づけました。3回も先頭に四球を与えながら無失点で呂は交代。ついで歳内が登板して4回は三者凡退、5回は先頭の二塁打と犠打で1死三塁とするも無失点です。後半は横山と片山の、おなじみ“ダブル雄哉”バッテリーに代わり、6回は先頭のヒットと味方エラーなどで2死一、三塁というピンチを三振で切り抜け、7回も先頭のヒットから犠打などで2死三塁としますが、やはり三振で無失点。

 しかし1点先制してもらった直後の8回、先頭に四球を与え、次はヒット、犠打で1死二、三塁となったところで暴投。最後はやはり三振を奪った横山ですが、同点となりました。9回は浜地が登板。1死後に四球を与えただけで0点に抑え、試合終了です。

「悔しい、もどかしい、情けない」

 試合後の話は2人だけ聞けました。まず横山投手ですが…「いつも通りです。反省はいつもと同じ」と浮かない表情。でも、これはいけるという球もあったのでは?「オリックス戦(8月25日)の時はあったけど、きょうは0球」。よかったところを聞いたら「きょうはセットしたから長く持たないようにして、間を意識して投げました。結果?ぼちぼち」とのこと。

本来の感覚がまだ戻ってこないという横山投手。これからです。
本来の感覚がまだ戻ってこないという横山投手。これからです。

 とても丁寧に投げようとしている感じを受けますね。「力んだらスコーンといかれるので、どんな相手であろうと緩急を使って、丁寧に低く投げるようにしています。本当はそんなこと、やりたくないんですけど。丁寧にやって2年目は2勝したけど、もともとはそうじゃなくて、飛び跳ねるような躍動感を出したりしていたので。怪我をしてから丁寧になっていますね」

 ボールを離す指先の感覚がまだ取り戻せない、手袋をして投げているみたいだと言っていたのは?「きょうもそうです。さらに厚めの手袋でしたね」と少し笑ってみせながら、最後は「悔しい。マジで悔しい。もどかしい。情けない」と繰り返す横山投手。さらに「野球がやりたい」とも。今のうちに、できるだけ多く実戦を積んでおきたいでしょう。焦るなとは言えませんが、1つずつクリアしていってください。

確信してゆっくり走ったホームラン

 次は先制のソロホームランを放った藤谷選手です。0対0でのホームランについて「でかいのは意識していなかった。1、2打席とも内容がよくなかったので、3打席目は何とかと思っていました。先頭が倒れて1アウトランナーなしになって、何とか塁に出ようと。結果的に打球が上がってくれたのでよかったです」と言っていました。

2打席目までを反省する藤谷選手。写真は4回2死二塁で三振したところ(左奥は河野投手)。
2打席目までを反省する藤谷選手。写真は4回2死二塁で三振したところ(左奥は河野投手)。

 でも文句なしの一発だったのでは?「はい、感触はよかったですよ。打った瞬間!でした。きょうは(入ると)わかりましたもん。いつもはわからないので全力で走っていたけど、きょうは」。ゆっくり回った?「はい(笑)」。公式戦で4本、練習試合でも4本目のホームラン。らしさが出てきたようです。

 「きょうの1、2打席は本当によくなかった。やろうとしていることができていないし。でも3、4打席はできました。今の打ち方がしっくりきていますね。練習では(体が)開かないように、ということを意識しています。ゲームに入ったら、もう自分のことではなくピッチャーとの勝負なので、そのための準備をしっかりやることだけ考えています」

ホームランを打って三塁の中村コーチ(左)とタッチ。
ホームランを打って三塁の中村コーチ(左)とタッチ。

 ウエスタン公式戦はもう4チームそれぞれとの3連戦のみで、計12試合を残すのみになりました。そこでのアピールはもちろんですが、藤谷選手は「フェニックス・リーグでしこたま打つ!しこたま打って秋季キャンプに呼んでもらえるように!それだけです」と力を込めて宣言しています。

 真夏並みの強烈な日差しに汗を滴らせて取材に応じてくれる選手たちの口から、“フェニックス”や“秋季キャンプ”という単語が聞かれる時期になりました。実りの秋は、育成選手にとって勝負の秋。早期の支配下登録を手にするため、自分との闘い、ライバルとの戦いです。

    <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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