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アルゼンチン人コーチが語った「森保ジャパンvs.トルクメニスタン」

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
「トルクメニスタンの先制点は権田のミス」。エスクデロはそう語った。(写真:松尾/アフロスポーツ)

 元アルゼンチンユース代表、ビーチサッカーアルゼンチン代表で、現在は埼玉県に発足したクラブチームFC Futureで指揮を執っているセルヒオ・エスクデロ。

 実兄のピチはあのディエゴ・マラドーナと共に1979年ワールドユース東京大会で、世界一となった右ウイング。息子であるエスクデロ競飛王は昨シーズン、韓国・Kリーグの蔚山現代で背番号9を付けて活躍し、昨日、京都サンガに戻ったばかり。

 そのエスクデロに、日本vs.トルクメニスタン戦について語ってもらった。

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撮影:著者
撮影:著者

 森保ジャパンになってから若手が台頭し、生き生きしたサッカーを見せていたのですが、トルクメニスタン戦の前半は酷かったですね。特に柴崎岳と原口元気が簡単にボールを失い、更にミスパスを繰り返していました。柴崎はロングボールをフィードすることばかり考えていたように見えました。どうしちゃったんだろう? って心配になりましたよ。

 17分にコーナーキックからフリーでヘディングシュートを放たれましたね。あのシーンはGKが前に出て勝負しなければいけない。枠に飛ばなかったから良かったですが、失点ものでした。権田修一に不安を覚えていたんですが、その後ミドルシュートを決められて0-1にされてしまった。いいシュートでしたが、距離もありましたし、東口順昭やシュミット・ダニエルなら防げたボールだと思います。権田では、物足りないですね。反応が遅い。打たれる前にDFも体を寄せるべきでしたが。

 前半の日本の攻撃は前に蹴り出すことが多く、緊張している様子が伝わって来ました。おそらく森保一監督はハーフタイムで「もっと落ち着いて、自分たちのサッカーをやろう」と言ったでしょう。

 でも、後半は細かいパスを繋ぎ、見違えるようにテンポが良くなりました。原口も自分らしさを取り戻しました。3人目の動きが良くできていて、攻撃にバリエーションが生まれましたよ。長友佑都、酒井宏樹の両サイドバックが効果的にオーバーラップを仕掛け、リズムに乗っていきましたね。

 日本人は身体が大きくありませんから、パワープレーを要求してロングボールを蹴るよりも、細かいパスをポンポン繋いでいく戦い方をするべきです。

 今回、乾貴士が代表に選ばれましたね。僕は個人的に彼にとても期待しています。海外で揉まれていますし、W杯でもいい仕事をしました。大舞台に強いです。今日は辛勝でしたが、乾が今大会のカギを握っているように感じます。

 問題点を反省し克服することは大事ですが、頭を切り替えて、フレッシュな気持ちで第2戦を迎えてほしいですね。

 

 

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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