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今季最強のシベリア寒気団

三ヶ尻知子気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
北半球の上空の寒気(ヨーロッパ中期予報センターHPより)

このところ、暖気と寒気の空気の入れ替わりが、ダイナミックになっています。気温が乱高下して、季節が春に向かう時の現象ですが…今年は、ちょっと違います。

もう一回、真冬をやり直すことになりそうなんです。しかも、立春以降。この時期としては長期戦になるかもしれません。

【立春寒波がやってくる】

来週の立春(2月4日)前後から平年を下回る寒さになる予想で、東京都心でも氷点下になる日があるなど、今季一番の寒さになりそうです。特に、北海道から関東で、低温が顕著になる予想です。

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週間予報(ウェザーマップ)
週間予報(ウェザーマップ)

寒さの原因は、シベリア寒気団。

シベリア寒気団は、毎冬、必ず、出現するものですが、今回の寒気団は強烈。今シーズン最強の寒気団に成長しています。

【今年の寒気は2波型】

一番上の図の北極を中心にした寒気の状況をご覧ください。北極の寒気は、現在、北米大陸北東部とシベリア方面に、大きく見ると、2つの方向に流れ込む「2波型の寒気」。この冬はこの2波型が出現しやすい偏西風の流れになっています。

北極の寒気が、四方八方に流れ出すときは、寒気が分散されるので、一つの地域が長期間に強烈寒波に襲われことはあまりありません。でも、この冬のように、寒気が「2波型」になると、それぞれが大きく強力で、かつ同じ場所に長期間居座る傾向があります。

1月前半は北米の寒気団が特に強力でしたが、現在は、シベリア寒気団が、北半球で最も強力です。

このシベリア寒気団が、来週の立春(2月4日)頃、季節風に乗って、どばっと大量に日本に流れ込んできそうです。勿論、寒気団が日本海を渡ってくるときに、多少温められて、寒気の強さは大陸にあるときに比べるとレベルダウンします。でも、その代わりに、海から水蒸気を補給され、雪雲として成長し、来週は日本海側に大雪をもたらすおそれがありそうです。

【少雪から一転大雪か】

ところで、意外かもしれませんが、今季は、平年より雪が少ない所が多く、北陸の平野部は「積雪なし」の所もあるほどです(但し、秋田や山形、新潟の山沿いと北海道は多い)。

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風向きと、上層の寒気が、それほど強くなかったことが少雪の原因の一つだと思います。でも、来週は記録的な強さではないものの、今季最強のシベリア寒気団が到来。しかも1週間程、強弱を繰り返しながら居座りそうなので、雪の量がじわじわと増え、結果的に大雪になる可能性がありそうです。

【来週後半は東京で雪の可能性】

また、来週後半は、シベリア寒気団が到来する中、南岸低気圧も到来する予想。「寒気+南岸低気圧=東京 雪」のパターンです。現時点では、低気圧の位置や発達度合いなど、予想がバラバラで不確定要素が大きいので、雪になるかはわかりません。でも寒波が到来する確率はかなり高いので、雪かも?ということを頭の片隅において、細目に予報をチェックして頂ければと思います。

最後に、余談ですが、来週は、いよいよソチオリンピックが開幕。ソチに行かれる方は、ソチの空港に着いた途端、「日本より暖かいわ」と思うかもしれません。ロシアの気象センターによると、開幕式2月7日の前日のソチの予想気温は、〈最低4度、最高11度〉。ちなみにその日の東京の予想は〈最低氷点下1度、最高7度〉です。。。

(ソチってどんな所?→http://bylines.news.yahoo.co.jp/mikajiritomoko/20131226-00031016/

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

1996年に気象予報士の資格取得。大分県出身。日本テレビ、NHKを経て、現在は、TBSテレビ気象キャスター。南国から雪国まで住んだ経験を活かし、主婦目線、母目線で天気を解説。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など

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