『#モンスターウルフ』に託される日本型AIロボットの未来
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KNNポール神田です。
クマなどの獣害対策で、『モンスターウルフ』が活躍中だという。
狩り場がなくなったりしたことによって、人里にクマが出没している。ハンターなども高齢化により、人的な対応が難しい。
それに対応しているのが、『モンスターウルフ』だ。
「モンスターウルフ」は2016年、北海道・奈井江町の『太田精器』によって開発された LEDや拡声器などを活用した鳥獣被害を減らす、野生動物撃退装置。なんとも、表情も目のLEDが赤いけど人間から見ると、単なるハリボテのオオカミにしか見えない。しかし、『お前だけは許さない!』などの人間の威嚇音声などは、エサ場を探す、野生動物にとっては、脅威でしかないのだ。
しかも、マスコミでの登場機会が増える共に、アーティストとのコラボなどと思わぬ、波及効果もあらわれているようだ。
MAN WITH A MISSION とのオオカミコラボ
■モンスターウルフ誕生秘話
太陽光発電、バッテリー充電で稼働する『モンスターウルフ』
当初は、LEDの点滅のみで、立ち入る野生動物はすぐにその光に慣れてしまい効果が薄れていた。野生動物は『知能が高く、直ぐ慣れる』ということで、野生動物の天敵であるオオカミの声を再現し、慣れないように、数十種類の威嚇音、着色したLEDが強い点滅光を発し、ランダムに変化する装置を開発し、約2年に渡り、検証試験を重ね、2012年に、LED鳥獣忌避装置『モンスタービーム』として製品化する。
■単なる『オオカミのかかし』で終わらなかった『モンスターウルフ』
そして、大学教授から多くの野生動物の天敵は、『オオカミ』との理論を聞いており、外観もオオカミの形にすることで、見た目で既製品のより威嚇効果が大いに見込めるのでは?と考え、『モンスタービーム』のグレードアップ製品となる新しい装置『モンスターウルフ』の開発に取り組み、2016年から販売を開始している。
一式基本価格は、 605,000円(税込)より
https://www.wolfkamuy.com/
3ヶ月プラン は 月額38,500円より (カウリル)
https://kauriru.com/wolfkamuy
見かけは単なる『こどもだまし』にもみえるスタイルだが、クマなどにも効果が現れているところに注目したい。
LEDの光り方、音声威嚇、オオカミのようないでたち。そして重要なのが価格設定だ。すでに250台もの『モンスターウルフ』が稼働しているようだ。
■移動する『ウルフムーバー』も実証実験
2023年10月29日、仁愛大学コミュニケーション学科安彦智史准教授の研究室と株式会社ウルフ・カムイ、スズキ株式会社をはじめとする複数の企業が、自走式遠隔操縦モンスターウルフ(ウルフムーバー)の実証検証実験を開始仁愛大学コミュニケーション学科安彦智史准教授の研究室と株式会社ウルフ・カムイ、スズキ株式会社をはじめとする複数の企業が、自走式遠隔操縦モンスターウルフ(ウルフムーバー)の実証検証実験を行った。
https://www.jindai.ac.jp/department/human/communication/topics/004971.html
そう、『モンスターウルフ』がLEDを光らせながら、雄叫びをあげて自走してきたら、野生動物としては、かなりの危険を察知することだろう。
人間にしてみればユーモラスであっても、夜行性の動物であれば得体のしれない恐怖でしかないようだ。
■1式 60万5000円という絶妙なプライス設定の『モンスターウルフ』
ボストン・ダイナミクスの自走式 AIロボットやヒト型ロボットのように、細やかな動きやアクロバットができるロボットも登場してはいるが、100万円以下で、野生動物を威嚇するという機能は全く備わっていない。
ある意味、『モンスターウルフ』は、60万円台での『かかし×AIロボット』機能という商品カテゴリーの市場の存在を明確に位置づけているのかもしれない。
『AI』というよりも『マイコンセンサー』稼働と言ってよいのかもしれない。
コンシューマ市場としては高めでも、産業機器市場としては格安である。さらに進化させるという意味では、リモコンやAIでの車輪による自走であれば、ある程度の大きさや音量や光量があれば、効果的に働き、ネットワークで個体だけでなく、集団で連携して動けば、山と人里の間に明確な隔たりを作ることが可能になるかもしれない。
ある意味、『ヒドゥンニーズ(隠れた需要)』を掘り起こし、自治体なども含めて、ランニングコストの発生しない、年度内予算である程度の『繰越しの投資効果』が得られる『AIロボット』は開発も含めて、地場産業の発展につながりそうだ。
『モンスターウルフ』には、日本型AIロボットの未来が託されているといえる。
■ふるさと納税対応の『モンスターウルフ』
すでに『モンスターウルフ』はふるさと納税にも対応している。
1. 赤外線センサーで野生動物が近づくと感知し起動します。
2. オオカミに模した声を基本に大音量で響き渡り広範囲に伝わります。
(半径約1km)
3. 生きているように首が左右に動き、目の部分が赤色LEDにて強烈に点滅し威嚇を与えます。
4. 下杖の部分から照射するLEDでオオカミのシルエットを浮かび上がらせます。
5. タイマーが内蔵しており、任意の一定時間に鳴らす事が可能です。
6. 音声ボリュームは自由に変えられ、(MAX90dB)音声データは慣れを防止するため、数十種類の音を入力することが出来、書換も自由で簡単です。
7. 電源はDC12V仕様で、バッテリー電源でも使用が可能で非常に省エネです。
8. 骨組み等は、単管パイプで設計されており、非常に丈夫に出来ています。
9. 設置、移動が簡単で、野生動物が出やすい場所に直ぐに設置できます。
https://item.rakuten.co.jp/f014249-naie/41138/
ふるさとチョイス
https://www.furusato-tax.jp/product/detail/01424/4905828
■2040年には1,100万人の人手不足にAIロボット需要
また、インターネット大手の『GMO』はAIロボットの販売レンタルの商社『GMO AIR』を開始するという。
16年後の2040年には、働き手が1,100万人も不足するという。
宅急便がこない、救急車がこない、道路や橋が壊れたまま、警察官の成り手がいない…。そんな時代に、鳥獣ハンターの確保はとても難しい。
人手不足は、鳥獣被害を増やし、人類にとっての都市機能だけでなく、郊外や僻地では、鳥獣に襲われる社会という社会構造も危惧しておかなければならないところだ。
『モンスターウルフ』開発は、いかに低コストで投資効果の高いロボットとして、人里を守れるかという大きな社会課題に取り組んでいるのだ。
AIロボット開発に残された時間は、あと10数年しかないと考えると、少子化対策同様に、少子化によって起こり得る未来対策として、AIロボットによる人手不足解消策は、日本の緊急課題となることだろう。