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都知事の沙汰もカネ次第? お金から自由になるためにはお金が必要だ

大宮冬洋フリーライター

●今朝の100円ニュース:新成人に聞く三つの質問(朝日新聞)

今朝の朝日新聞。新成人へのインタビュー記事で笑わせてもらった。東京都小金井市で主婦をしている女性(すでに子持ち!)が新都知事への要望を聞かれ、「お金を借りないこと!」と即答したらしい。賢くてユーモアセンスもある人なのだな、と感じた。

ただし、お金の心配をしなくちゃいけないのは猪瀬前知事だけではない。政治家ではない僕たちも日々の生活のためにお金に向き合わざるを得ない。たまには遠出もしたい。そのためにはお金のやりくりが必要なのだ。 

僕は社会人になってからずっと家計簿を付けている。といっても、日々の出費を手帳の空欄に500円単位で書き留めておき、銀行引き落としの税金や保険料などと合算して月々の支出額を出し、同じく月々の収入と比べている程度だ。それだけでも支出の引き締めには役立っている気がする。赤字の月が続いたりすると気持ちが萎縮して外出を控えるようになる。

お金を使えばお金が入ってくる、借金をするのは男の甲斐性だ、といった勇ましい意見を聞くことがある。本人にとっては真実で、成功体験に基づいた発言なのだと思う。しかし、小心者の僕には当てはまらない。以前、「みずほ銀行カードローン」などから100万円ほどの借金をしていた時期がある。返済するのに1年半ほどかかり、その間は心の中にずっと負い目があった。高い利子も辛かった。

ようやくカードローンの借金を返し終えたのは2年前。学生の頃に借りていた無利子の借金(旧日本育英会)の返済も昨年に終わり、残す課題は国民年金の滞納分を支払うこと。これも4月中には完納できる見通しが立った。

久しぶりに借金や滞納から解放されることになり、歓喜にも似た感情が湧き上がってくるのを感じる。貯金もないけれど借金もない。僕は自由なのだ。その昔、GHQによる農地改革で小作人から脱した農家の気持ちが少しわかる気がする。

もう少し貯金をして自転車操業の生活を脱したら、家計簿も卒業しようと思っている。浪費をしたいわけではないけれど、お金のことなんて気にせずにのんびり暮らしたいのだ。3か月分ぐらいの生活費を貯めておけば、不測の事態が起きてもカードローンには二度と関わらないで済むだろう。

お金は人間を幸せにはしない。でも、お金(借金)は小心な人間を不幸かつ不自由にする。多くの人が利用しがちな住宅ローンにも安易に手を出さないほうがいいと僕は思う。ローンや家族のせいにして嫌な会社から転職や独立できずにいる知人が何人もいるからだ。35年ローンを繰り上げ返済して20年で終えたけどそのときには人生の旬も終わっていた、なんてシャレにもならない。

政治は素人だったと語った猪瀬氏には、ノンフィクション作家としての輝かしいキャリアがある。徳洲会への借金を返し、お金のかかる政治家も辞めた彼は、意外と晴れやかな気持ちで過ごしている気がする。身軽な生活に戻り、選挙とカネについて鋭く書いた作品を発表してほしい。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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