Yahoo!ニュース

強い寒の戻り 春はどこへ?

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
東京・靖国神社のさくら(3月10日、撮影:多胡安那さん)

東京、凍える雨に

昨夜から降り出した雨は予想に反してきょう(11日)日中まで続きました。東京の最高気温は深夜0時52分に記録された6.1度で、まさに季節はずれの寒い一日になりました。最近10年間では1、2を争うほどの強い寒の戻りです。

3月11日午前9時の地上天気図
3月11日午前9時の地上天気図

この時期、暖かい日になるのか、寒い日になるのか、気になります。

もちろん、天気予報をみればいいのですが、ちょっとマニアックな見方を紹介しましょう。

天気図をみて、東京より北側に高気圧があったら寒い日に、一方、東京より南側に高気圧があったら暖かい日になります。

きょう(11日)の天気図をみると(上図)、東北地方に気圧の尾根(気圧の高い所)があり、寒い日の天気図であることがわかります。

季節はずれの気温はどのくらい?

一年を通しての東京の気温は、春と秋に変化が大きく、冬と夏は小さくなります。月初と月終の最高気温の差を比べてみると、3月は4度くらいあるのに対して、8月はわずか1度です。

では、3月にはどのくらい季節はずれの気温があるのでしょう?

3月の最高気温ヒストグラム(2006-2015,東京)
3月の最高気温ヒストグラム(2006-2015,東京)

2006年から2015年までの10年間の最高気温を調べてみました(左図)。

すると、全体の半分が10度から14度の範囲に収まりました。

一方、きょうのような極端な寒の戻り(5度から9度)と季節を飛び越えた初夏の気温(20度から24度)はそれぞれ全体の約10%ありました。

ということは、極端に寒かったり、暑かったりする日は平均すると5日に一度の割合で起こることがわかります。

季節はずれというと、めったに起こらないように思ってしまいますが、3月に限ってみると、それほど珍しいことではないようです。

もうダウンコートは、と思っている方も多いでしょう。来週の月曜日(14日)も冷たい雨になる可能性があり、まだコートは手元にあったほうがよさそうです。しばらくは気温のアップダウンの大きい日が続きます。

【参考資料】

倉嶋厚,2002:第3章気温の季節,大学テキスト日本の気候,古今書院,59-91.

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

片山由紀子の最近の記事