東京・お台場にある「地図から消えた橋」でプチ廃墟体験
お台場には「青海橋」という橋がありました。いや……今も「ある」のですが、地図からは存在が消えているので道として、橋として、誰にも認識されないまま、廃墟と化しています。
「このインターネット時代、東京のど真ん中で、地図にない場所があるなんて嘘でしょ?」と、最初は私も疑ったんですが……。
みなさんグーグルマップで「青海橋」と検索してみてください。
出てきませんよね??
ほんとうに、こんな時代に「地図にないもの」があるなんて。
本日はそんな幻の廃橋、青海橋を紹介します。
青海橋とは
青海橋は1987年に開通したお台場エリアにかかる橋です。一般道として使われるようになったのは1991年。その後、1994年には利用中止となったため、まともに使われたのはわずか3年のみという、数奇な運命にあった橋でした。
もともとは横を通る湾岸道路の迂回路だったようですが、お台場の交通が発展していくなかで、青海橋に平行する橋が数多く建設されたため需要がなくなり、その役割を終えてしまったそう。
1994年、つまり29年前から廃橋になっていたわけですが、撤去するにも莫大な費用がかかることから、2023年のいま現在まで放置されています。
しかし、2021年の東京都予算案では撤去に向けた予算が固まったそうで、近いうちに撤去されるであろうこの橋。見に行くなら今しかありません。
青海橋に向かう
青海橋の最寄りはりんかい線「東京テレポート駅」です。
普通だったらグーグルマップで検索してすぐ分かるものですが、そもそも地図に載っていないので、個人ブログのレポート記事などを読んで、最寄りを探す必要がありました。地図に乗ってないって、不便なんだな。
東京テレポート駅に上陸。
右にフジテレビ、左に「TOKYO」の洒落たモニュメントがお出迎え。久々に降りましたが綺麗に開発されたお台場らしい駅です。
青海橋の隣にかかる橋、「夢の大橋」を渡りましょう。
夢の大橋のたもとには地図があります。
さて、青海橋はどこでしょう?
これは分かりやすいですね。もちろん「地図にない橋」なので、名前は書いてありません。書いてないからこそ、明らかに異質で、浮いている場所があります。
正解は……
ここ!ですね。
ただ細長い長方形が横たわっているだけの謎の地図、シュールです。
夢の大橋は最大横幅が60mもある非常に広々とした橋です。休憩スペースなんかもあります。
そんな夢いっぱいの観光地らしい橋、夢の大橋から海を覗けば見えるのが、青海橋。
「夢」という名の付く橋からいちばん近く見える橋が、3年で役目を終えた廃橋だなんて……。開発が盛んな臨海部らしい、無常観を感じます。
青海橋をたもとから観察する
夢の大橋を渡り切った先には、「水の広場公園」があります。青海橋を渡ることができなくても、この公園から近寄ることができそうなので、寄ってみました。
ちなみに、公園にあった地図……ここには青海橋が物体としても描かれていない!
地図によって書いてあったり書いてなかったりするなんて、普通の建築物ではあり得ないことが起きていて面白いです。
ちなみに、書くとしたらここです。
公園から青海橋を観察しましょう。
すごい……SFでよくある、文明が滅びたあとの、動植物が支配したディストピアのようです。ゾンビが走ってくるかもしれない。
そんなことを妄想してしまうくらい、静かな空間でした。だれも用事がない、だれも通らないからでしょうか。平行する湾岸道路や立体交差の高速道路は、トラックがビュンビュン通っているので、なおのこと、音量のギャップを強く感じます。
反対側からも見てみた
片側から橋の入口を観察したら、「反対側はどうなっているんだろう?」という好奇心が抑えられなくなりました。
ということで湾岸道路を通り、反対側へ向かってみます。
反対にもつつじの咲く遊歩道がありました。
すこし進むと……
!?!?
急に現れました。あまりにも雑木林で、通り過ぎそうになりました。
こっちのほうがなかなかディストピアですね……。
荒れ放題の反対側に、びっくりしてしまいました。
廃墟マニアの気持ちが少し、分かったような気がした1日でした。
そうは言っても、廃墟ツアーってなかなかハードルが高いもの。ここならだれでも簡単に覗きに来れるので、興味がある方はお台場観光のついでに、ぜひ見に行ってみてください。撤去される前に!
マニアックなスポットへの散歩や旅に興味のある方は、ぜひフォローしてくださると嬉しいです!ではまた次の旅で。