PTAクラス役員決めの悲劇はなぜ起きる 「委員会制」を見直すべき3つの理由
これまでもお伝えしてきたとおり、PTAには「加入の強制」「会費の強制」「活動の強制」などといった問題がありますが、このうち「活動の強制」は、PTAによくある「委員会制」によって引き起こされる部分が少なくありません。
現在多くのPTAは委員会制を採用しています。委員会の数や種類、内容はPTAによってさまざまです。たとえば「学級委員」「校外委員」「広報委員」「推薦委員」などがあり、それぞれの委員を各クラスから何名かずつ選出する、という決まりになっています。
なぜこの委員会制に問題があるのか? 以下、3つの理由をお伝えします。
*理由1*ボランティアを前提としていない
委員会制はそもそも、ボランティア(自主的な活動)を前提としていません。最初から「各クラスから〇名の委員を選ぶ」と決まっているため、やりたい人がいなければ、無理やり委員を選ぶことにならざるを得ないのです。
PTAと聞くと、じゃんけん、くじびき、不在者投票による強引なクラス役員の押し付け(そして泣き出す母親)を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
「だから強制はよくないね」という話で終わりがちですが、これはそもそも仕組みに問題があります。「必ず〇人選ぶ」という制度なのですから、〇人出てこなければ、強制にならざるを得ません。
最近は「各クラスから◯人」ではなく、「学年から◯人選ぶ」というルールに変えるPTAも増えているようです。そのほうがまだいいとは思いますが、本当は一般的なボランティア組織のように「やりたい人がやる形」にする必要があるでしょう。
*理由2*いつ活動するかわからない
大抵の場合、委員会の活動がいつ行われるのかは、委員を決める時点ではわかりません。委員会の活動日時を決めるのは大体委員長さんですが、委員長さんが決まるのは、委員が選ばれたあとだからです。
委員に決まったあとで、委員長さんの都合で「いついつ集まります」と決まるのですから、それは都合が合わない人が出るのが当たり前です。
「だったら自分が委員長になって、自分の都合のいい日時に活動すればいい」という意見もありますが、それでは結局、他の誰かが来られないことになります。また委員長さんは仕事が多い傾向があるので、誰もが引き受けられるわけでもないでしょう。
であれば、やり方を変え、最初に「いつ活動をします」と提示したうえで参加者を募るほうが、無駄がないのではないでしょうか。
*理由3*委員長さん次第になる
理由2で、委員会の活動日時は大抵、委員長さん次第の都合で決まることを書きましたが、活動日時以外でも、委員長さん次第になることは多くあります。
たとえば運悪く「必ず来てください!」というタイプの人が委員長さんになってしまうこともあります。すると委員の人たちは、本当は下の子が病気になったときのためにとっておきたい有休を使ったり、パートを休んで給料=生活費を減らしたりせざるを得なくなります。
会長さんや副会長さんなど本部役員の人たちが「うちのPTAでは、活動の強制などない」と思っていても、残念ながら、委員会のなかでは悲惨なことが起きている場合もあります。
もちろん、ちゃんとした委員長さんのほうが多いので、全部のPTAの全委員会でそんなことが起きているわけではないですが、運が悪いとそういうこともあるのが事実です。
*先に活動日時を提示する
以上のような問題点から、委員会制はやめた方がいいのではないかと筆者は感じています。
最近は委員会制をやめ、すべて係で活動するPTAもちらほらあります。そうすると「何月何日に、何をします、できる方はお願いします」と活動日時を提示したうえで人を募集できるので、みんな参加しやすくなりますし、「やらされ感」も少なくなるのです。
4月の保護者会で行われるクラス役員決めの悲劇もなくなるので、保護者会の出生率も上がりますし、保護者にも先生にも大変喜ばれます。
ただし、委員会から係活動に切り替えるときは、それなりに手間がかかるでしょう。また、強制をやめてボランティアにすれば、「みんなが自分から参加したくなるくふう」と「くふうの継続」が必要となります。
それはそれで面倒かもしれません。でも、それがボランティアのあり方でしょう。
もし委員会制のままでも上記の問題点をクリアできるやり方があるなら、もちろんそれもいいでしょう(それを委員会制と呼ぼうが呼ぶまいが)。あるいは、もし委員会制をやめて係にしたとしても、強制の係にしてしまったら意味がないのですが。
いまのPTAの問題について、ただ文句を言っていても事態は変わりません。みんなで具体的に対応を考え、問題を改善していく必要があります。