ノート(20) 検察は勾留質問調書をどう使い、被疑者側は勾留にどう対抗するか
~逡巡編(5)
勾留初日(続)
【勾留質問後の検察の対応】
――裁判官に妻との間だけでも接禁を付けないでほしいと述べ、勾留質問調書にその旨の記載をされてしまったのは失敗だった。
仮監で昼食に出された皮付きのナシ丸ごと1個にかぶりつきながら、そう考えていた。そうした泣き言が通る世界ではなかったし、最高検に“弱み”を握られる結果にもなったからだ。
というのも、勾留質問後、検察は直ちに勾留質問調書のコピーを裁判所から手に入れ、その日から始まる本格的な取調べに備えている。対応は、おおむね以下の4パターンで異なる。
(1) 被疑事実を弁解録取書(弁録)で認め、勾留質問調書(勾質)でも認めている場合
(2) 弁録で否認し、勾質では認めている場合
(3) 弁録で否認し、勾質でも否認している場合
(4) 弁録で認め、勾質では否認している場合
実際には否認ではないものの、少なくとも明確に認めていないという意味で、検察では認否留保や黙秘、署名拒否も否認のカテゴリーに含めている。
この記事は有料です。
元特捜部主任検事の被疑者ノートのバックナンバーをお申し込みください。
元特捜部主任検事の被疑者ノートのバックナンバー 2016年6月
税込1,100円(記事3本)
2016年6月号の有料記事一覧
※すでに購入済みの方はログインしてください。