女性と相合傘すると誘拐される?ジブリ映画のモデルなど!阿波の狸伝説を4選紹介
徳島県は、日本童話「カチカチ山」発祥の地として知られ、数多くの狸伝説が語り継がれています。
今回は徳島県に出没したとされる狸についてみていきましょう。
・金長狸
徳島県に伝わる狸伝説のなかでも、とくに有名なのが「金長狸」です。
江戸末期、現在の徳島県小松島市の子供が、狸と枯葉を燃やして虐めていました。
不憫に思った染色屋の「茂右衛門」は狸を救出。助けられた狸の「金長」は、人間に変化して茂右衛門のもとで働き、店を繁盛させて恩を返したのです。
その後、恩返しを終えた金長は狸としての格をあげるため、狸の総大将である「六右衛門」のもとで修行に励みました。
優秀な金長は六右衛門に気に入られ、娘と結婚して婿養子になるように提案されます。しかし、残虐な性格の六右衛門を警戒していた金長は結婚の申し出を拒絶。
この態度が気に入らなかった六右衛門は、60匹の家来を引き連れて金長に夜襲を仕掛けました。
金長のもとを訪れていた同郷の親友狸「鷹」も巻き込まれ、二人は共闘しますが、遂には鷹が戦死。命からがら逃げ延びた金長は、鷹の仇を取るため同志を募って六右衛門の討伐隊を発足させます。
最終的に六右衛門を追い詰めた金長ですが、一騎打ちで致命傷の傷を負い、最後に救ってもらった命の恩を伝えるため染色屋の「茂右衛門」のもとへ行き生き絶えたのでした。
これは、ジブリ映画「平成狸合戦ぽんぽこ」のモデルともいわれる「阿波狸合戦」の物語です。
・赤殿中
赤殿中とは、江戸時代に好まれた木綿の袖なし羽織「殿中(殿中羽織)」を着用した狸のこと。赤い殿中を羽織った子供の姿に化け、夜中に出没しては「抱っこ抱っこ」とせがむのです。
仕方なく背負ってあげると、嬉しさのあまり大人の背を叩いて喜んだといいます。
この狸、実は人間に害を為すわけでもなく、人間に抱っこしてもらいたいだけの愛らしい狸なのです。
・傘差し狸
傘差し狸は、徳島県三好市に伝わる狸です。
雨の降る夕方に傘を差した女性に化けて出現。傘を持っていない通行人に相傘を招き、相合傘をしてしまうと恐ろしい場所に連れて行かれてしまうといわれています。
・首吊り狸
首吊り狸も、徳島県三好市に伝わる化け狸の一種。森林の中に人間を連れ込み、首吊り自殺するように洗脳や誘導するといわれています。
お酒が大好きで、ゲゲゲの鬼太郎にも登場する妖怪「しょうけら(しゃうけら・せうけら)」を弄るなど、いたずら好きな性格です。
首吊り狸にとって、人間を自殺に追い込むのはイタズラのつもりなのかもしれません。
・徳島県に伝わる狸伝説
徳島県は各市町村に独自の狸伝説が存在します。
徳島県小松島市には特大サイズの「金長たぬき像」が設置されており、徳島県鳴門市の神社仏閣「観音寺」には徳島に伝わる狸伝説を後世にも伝承しようという思いで狸の石像「たぬき大山権現」が設置されました。
たぬき大山権現の近くには、過去記事「裸で海底から引き揚げられた女性…彼女を死に至らしめた天皇の勅命とは」で紹介した「十二神社」もあるので、いっしょに足を運んでみてください。