1軍交流戦に先立ち、楽天を甲子園に迎えて1勝1敗《5/24 阪神ファーム》
きのう24日は甲子園球場でのファーム交流試合・楽天戦に臨んだ阪神ファーム。イースタンのチームと対戦するのは4月の巨人(ジャイアンツ球場)に次いで今季2度目です。来月は新潟の三条市で日本ハムとの2連戦がありますね。今回の楽天戦は甲子園開催ということもあり、きのうもバックネット裏の良席を確保しようと早くから並んでおられたお客様ですが、観衆の数は前日より少し減って1984人。黄色で埋め尽くされたスタンドに、もちろん楽天カラーのユニホームも見かけました。
粘りながら0点に抑えていた岩崎投手が5回に連打を浴びて先制され、こちらは楽天・横山投手の前に凡打の山で…8回に1点返しただけ。という試合中にも横浜スタジアムの1軍・DeNA戦の経過が届くという、なんとも辛い日曜日でしたねえ。その1軍とファームで、今回はかなりの入れ替えが行われそうです。昔とは違うかもしれませんが、好調なチームってのは入れ替えが少なかった印象がありますね。故障者も少ないわけですし。でもファームにいる選手にとっては大きなチャンス!これを生かすかどうかは、自身の腕にかかっています。
《ファーム交流試合》5月24日
阪神-楽天 2回戦 (甲子園)
楽天 000 020 000 = 2
阪神 000 000 010 = 1
◆バッテリー
【阪神】●岩崎(1勝1敗)-加藤-鶴-筒井 / 小豆畑-岡崎(9回表)
【楽天】○横山(2勝)(7回2/3)-S入野(1勝6S)(1回1/3) / 伊志嶺
◆二塁打 大坂谷、榎本
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率
1]中右:江越 (4-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .282
〃捕:岡崎 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .278
2]三:今成 (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .158
〃三:西田 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .215
3]二遊:北條 (4-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .234
4]左中:中谷 (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .325
5]一二:坂 (4-1-0 / 3-0 / 0 / 0) .250
6]指:緒方 (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .207
7]右左:横田 (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .180
8]捕:小豆畑 (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .173
〃打右:柴田 (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .360
9]遊:植田 (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .188
〃打一:原口 (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .216
◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ
岩崎 7回 82球 (8-4-1 / 2-2 / 1.13) 139
加藤 1回 5球 (0-1-0 / 0-0 / 0.00) 141
鶴 0.1回 8球 (0-0-1 / 0-0 / 3.46) 143
筒井 0.2回 5球 (0-0-0 / 0-0 / 3.74) 142
試合経過
岩崎は1回、先頭の聖澤に初球を左前打されますが、小豆畑が盗塁阻止!そのあとは連続三振を奪って3人で片づけ、2回は三者凡退でした。3回に1死から8番・伊志嶺の左前打、大坂谷に遊ゴロで走者が入れ替わり、大坂谷の盗塁で2死二塁として聖澤に左前打を浴びます。大坂谷は一気にホームへ向かいましたが、レフト・中谷からワンバウンドで到達した返球で小豆畑がタッチしてアウト!4回は先頭のウィーラ―のスパイクに「カポーン」と当たる死球があったものの、続くクリーンアップをしっかり断っています。
しかし5回、2死を取ってから伊志嶺に右前打、大坂谷に右翼線二塁打を許して二、三塁。続く聖澤に初球を打たれ、これがショートへのタイムリー内野安打となって1点。さらにウィーラ―の左前タイムリーで、この回2点を失いました。6回は再び三者凡退です。7回は先頭の7番・榎本に右翼線二塁打を浴び、犠打で1死二塁となり大坂谷は右飛。途中からライトに回った江越が捕って、これまた見事なバックホーム!走者は三塁に戻っています。聖澤も右飛でこの回は無失点。
一方、打線は楽天2年目の横山に対して、ほとんどが内野ゴロと三振で…チャンスさえ作れない状況でした。塁に出たのは2回1死から坂が右前打、5回1死から緒方が右前打、7回1死から中谷が左前打した3度だけ。他は四死球も失策もなく、3回の小豆畑と6回の植田がともに先頭でセーフティーバントを試みたものの、淡々と攻撃を終えています。
阪神は8回に2人目の加藤が登板。ウィーラ―を初球で三ゴロ、岡島も初球で二ゴロ、4番の小斉は3球で空振り三振!たった5球で三者凡退に斬ってとりました。するとその裏、ようやく打線がつながります。先頭の横田が中前打、代打の柴田も中前打で続き、さらに代打の原口がショート内野安打で無死満塁とチャンス拡大!江越はショートゴロ併殺打で何とか1人を還しますが、ここで代わった入野に西田が打ち取られて1点のみ。
2対1と1点差で迎えた9回、3人目の鶴が1死後にフェルナンドを四球で出したところ(代走は島井)で交代。次の筒井が榎本を二飛に打ち取って2死となり、伊志嶺の打席で2球続けて一塁へ牽制球を送ります。そして3球目の牽制でファースト原口、ショート北條と渡って島井はタッチアウト!結果的に3人で終わりました。しかし9回裏の攻撃は続投の入野の前に北條が左飛、中谷が捕邪飛、最後は坂が自身3つ目の三振を喫して三者凡退。1点及ばす試合終了です。
2アウトからの連打→失点に苦言
古屋監督の談話からお伝えしましょう。まず岩崎投手については「5回は2死ランナーなしから2点。ポンポンと(ヒットを)つなげられて。2アウトから点を取られちゃダメですね。全体的には悪くないが、同じバッターに打たれちゃ良くない。しかも左バッターに」と、聖澤選手に3安打、伊志嶺選手に2安打されたことを指摘しました。
加藤投手には「安定していますよ。彼はピッチングができるからね。コツを持っている」と合格点。そしてちょうど試合中だった1軍(DeNA戦、横浜)の経過に触れ「今、1軍が打たれているみたいで。そろそろ?そうやね。経験もあるから。あとはもう少し球威が戻ってくれば」と話しています。
ついで、この日は守備機会が一度あった今成選手のことで「次のソフトバンク戦(26日~鳴尾浜)からはフル出場を考えています。ただ1軍から何人か来るらしいのでDHになるかも。その場合でもフルでいこうと思っている」そうです。それから中谷選手が放った7回の左前打を「しぶといね。3打席目でのヒット。みんなが抑えられている中で」と評価し、逆に8回無死満塁で併殺打だった江越選手については「あそこでしぶとく変化球を狙い打てればね。追い込まれたら仕方ないけど、大ヤマを張って変化球を狙うとか、それくらいできればね」とのこと。
それにしても最近、外野からの“バックホーム合戦”が素晴らしいですね。「そうそう!それは褒めたよ。きょうの中谷、ナゴヤで江越、前に横田もあった。守れる選手が3人、ファームにいます。もう少し精度を上げていけば」。試合後半には3選手をシャッフルして守備位置を変えた古屋監督。「いつ1軍に呼ばれてもいいようにね。ここ(甲子園)は、うちのホームグラウンドですから」とニッコリ笑顔でした。
何か起きる前に対処が必要
では選手のコメントです。岩崎投手は7回を投げ8安打で2失点。でも3番から6番までの4人には1本もヒットを打たれておらず、出塁もさせていません。問題は1番の聖澤選手と8番の伊志嶺選手、左打者2人ですね。「もっとインコースをついていければよかった。全体的には悪くなかったけど逆球もあったし。もっと上を目指してやっていきたい。きょうは、いつも通りテンポよくいこうと、それを一番心がけていました」
課題はどのあたりか聞かれて「ことが起こる前にどうにかしないと。5回とか、打たれて気づいて6回に変えた。その6回は打たれなかったけど、もっと早く気づいけば…」と答えています。前回は1軍での登板(17日の中日戦、ナゴヤドーム)で、4回に3連続四球から3点を失った岩崎投手。それを踏まえて「フォアボールを出し前に早く変えないといけない。1つ、2つ出す前に」とコントロールも課題と言っていました。なお今回は「ボール球を振ってくれたので」と苦笑いです。
なお久保投手コーチは「左打者に対して、もうちょっと工夫が必要」と話しています。
リードした小豆畑選手に振ると、いきなり「諒さんは…」と。聖澤選手のことですね。「はい、先輩なので」。国学院大時代に3つ上だったようです。初回にヒットを打たれて、すぐ刺した点は「意識していました!」とニッコリ。ただし3安打を許してしまい「やっぱり諒さんのインコースですねえ。岩崎と組むのは初めてで、ブルペンでも一度か二度しかない。こっちが手探り状態だったせいで、悪いことしたなと思います」と反省しきり。
バッティングでは5回にいい当たりのライナーがあり、それは「真っすぐ狙いのスライダー対応」だったそうですよ。8回は柴田選手が代打で出て、これまたいい当たりの中前打。「あれはよかったですねえ。チャンスが続いて。でも途中で代えられないよう、もっとバッティングを磨きます!」と張り切る小豆畑選手。頑張ってください。
「いい感じ。ここからもう少し」
右股関節痛から復帰して、これが3試合目の登板だった加藤投手。すべて1イニングずつ投げ、ヒットは最初の試合(19日の中日戦、ナゴヤ球場)に1本許しただけで無失点です。この日もわずか5球での三者凡退。「向こうが早打ちだったので。自分的には前回よりもいい感じでした。ここからもう少しだと思います。ある程度ボールの勢いも、3試合目にしてはあった方だけど、もうちょっとほしい。でも、あまり求めすぎても…」と、ここは自身で制御しつつ「今の状態を保ちながらやっていけば、おのずと上がってくると思う」と締めました。
股関節の痛みについては「投げ方を変えたことで、ある程度クリアできた。今まで横回転で体重を乗せていたので、真上から乗せて痛みを軽減できています。バランス的なことで細かい修正はしながら。今は痛みなくやれているのがいいですね」とのこと。そして「もう1軍の準備をしないと」と言ったら「僕が決めることじゃないので」と慎重な返事の加藤投手。でも本当にそろそろ、でしょうね。
よき仲間、よきライバル
中谷選手は1軍から戻ってきてからの5試合にすべてヒットを放ち、この日は1安打だけで少し打率を落としましたが、相変わらずリーグトップで.325。「調子はいいですよ」。しぶとく打ったと古屋監督が評価した7回の左前打は「抜けたスライダー」だったとか。また補殺について「あれはよかったです!」と笑顔が見えました。褒められた?「ぼちぼち」
背中越しに別の取材を受けている江越選手がいたので、彼のことは意識するか尋ねると「ないでーす!仲がいいだけ!」だそうです。同じポジションで仲良しなんて…と言う方もありますが、この2人は互いをライバルとして競り合い、高め合って、双方に好影響をもたらしているように思えます。それにしても、中谷選手と江越選手が横田選手をいじっている図は、声が聞こえなくても面白いですね。スペースの関係で全部を載せられないのが残念なくらい、延々と続きました。
また江越選手は「あそこは真っすぐが詰まっても変化球を捉えないといけなかった」と、8回の無死満塁のチャンスに併殺打での1点止まりだったことを反省しています。
その8回、代打でショート内野安打を放ち、無死満塁とした原口選手は「脚を見せたでしょう?」と、ひとことだけ笑ってコメント。実は試合前、このところ出番が減ってヒットも出ていないことが気になって話をした際に「代打とかで出た時に打てるかどうかが勝負。ここって時にこそ打たなきゃ何のアピールにもならない」と言っていたんです。どんな形であれヒットはヒット。よかったですね。そして今月10日のオリックス戦(東大阪)以来となる守備にも。ファーストを守って併殺にも参加しました。
最後に北條選手。「うっとうしいわぁ!」と言いながら歩いて来て「インコースばっかり責められる。うざいわー!」と怒っています。それはまあ相手も打たれたくないでしょうし、仕方ないですかねえ。というわけで締めくくりに、かなりの内角攻めでのけぞった北條選手の写真を載せておきます。