東南アジアから危険度最強レベルの暖湿流が西日本へ
島根県東部で線状降水帯が発生
きょう8日(土)午前7時30分頃から午前8時40分頃にかけて、活発な積乱雲が列をなして連なり、数時間にわたってほぼ同じ場所に非常に激しい雨をもたらす線状降水帯が島根県東部にかけて発生しました。(上図赤丸の中)
顕著な大雨に関する島根県気象情報 第1号
2023年 7月 8日 7時39分 松江地方気象台 発表
島根県東部では、線状降水帯による非常に激しい雨が同じ場所で降り続いています。命に危険が及ぶ土砂災害や洪水による災害発生の危険度が急激に高まっています。
この線状降水帯により、出雲市や松江市などで、土砂災害や浸水、中小河川の氾濫する危険度が一気に上昇し、午前11時の段階でも、災害危険度のかなり高い状態が続いています。
タイトル画像で、雲の様子をみてみると、梅雨前線に伴う真っ白な積乱雲が北陸から山陰、九州北部を通って、東シナ海から大陸南部に連なっているのが分かります。
東南アジアから危険度最強レベルの暖湿流が流れ込む
上図は気温の高さと水蒸気の量を合算したような数値で、相当温位と呼ばれ、大雨をもたらす暖湿流の指標に使われるものです。
オレンジ色の345K以上の暖湿流は非常に激しい雨をもたらすポテンシャルがかなり高く、なかでも赤色の355K以上の暖湿流は、もし雨雲に変換されれば際立った豪雨をもたらすような危険度が最強レベルの暖湿流と言えます。
この危険度最強レベルの暖湿流が東南アジアから川の流れのように西日本へ流れ込んでいるのがわかり、この流れに伴って発生した活発な積乱雲が線状降水帯となって、島根県にかかりました。ではこの危険度の非常に高い、際立った暖湿流の流れ込みはいつまで続くのでしょうか。
ピークはあす9日(日)まで
あす9日(日)昼の予想では、流れ込み自体はやや弱まるものの、引き続き、355K以上の際立った暖湿流が東シナ海から九州付近を指向しており、上空の流れや地上の風の収束などの影響によっては、西日本でいつ線状降水帯が発生してもおかしくないような危険な状況が続くでしょう。
少なくともあさって10日(月)頃までは警戒
あさって10日(月)になると、355K以上の際立った暖湿流の西日本への流れ込みは弱まりそうですが、それでも、引き続き、345K以上の暖湿流の流れ込みは継続しており、まだまだ警戒が必要な状況が続きそうです。
九州北部から北陸にかけての日本海沿岸を中心に、今後も雨量がかなり増えるおそれがあり、土砂災害や河川の氾濫など、大雨による災害には厳重な警戒が必要です。(気象庁発表の大雨情報)
来週半ばにかけて続々と梅雨明けも
ウェザーマップ発表の10日間予報によると、11日(火)以降は、暖湿流の流れ込みが弱まり、太平洋高気圧の勢力がじわじわ本州付近へ拡大することから、来週半ばにかけて、関東以西では徐々に夏空が広がる天気に変わってくるでしょう。
とはいえ、太平洋高気圧の張り出しは本州付近へギリギリ張り出すという状況が続くため、いっぱいに夏空が広がるというよりは、雲の多い夏空が続くというイメージになりそうです。
来週半ばにかけて関東以西では続々と梅雨明けの発表があるかもしれませんが、太平洋高気圧の勢力が弱まったり、南から熱帯低気圧の北上を示唆するモデルもあったりするため、梅雨明けの発表があったとしても、しばらくは不安定な夏空が続く可能性が高いと思われます。