従業員が支持するCEO、1位はリンクトイン・ウィーナー氏 昨年トップのザッカーバーグ氏は10位に後退
米国の求人・キャリア情報サイト、グラスドアが公表した企業の最高経営責任者(CEO)支持率ランキング調査によると、今年最も支持を集めたのはビジネス向けSNS、米リンクトインのCEO、ジェフ・ウィーナー氏だった。
同氏に次いで支持率が高かったのは、米マイクロソフトの次期CEO候補と目されたことでも知られる米フォード・モーターのアラン・ムラーリー氏。
これに、米PR大手、エデルマンのリチャード・エデルマン氏、米生命保険大手ノースウェスタン・ミューチュアルのジョン・シュリフスキー氏と続き、5位に米半導体大手クアルコムの前CEO、ポール・ジェイコブス氏が入った。
この調査を行ったグラスドアは、企業の従業員が自分の会社の評価を投稿できるコミュニティーサイト機能を持っており、毎年「自社のCEOのリーダーシップを支持しますか?」というアンケート形式の調査を実施している。
同社によるとその調査方法は米大統領の支持率調査に似ているという。なお今回の2014年版は、2013年2月1日から2014年1月31日までに集めた回答を集計したものだ。
グラスドアによると、強力なリーダーとは、企業のビジョンを明確に伝えることができる人物。従業員の仕事と、企業の大局的な考え方がどうつながっているかを理解できるよう力を貸すことができるリーダーだという。また従業員が近づきやすく、透明性があることも上位のCEOに共通している点だと指摘している。
例えば、今回のリンクトインに関する従業員の評価には、「一切隠しごとをしない企業文化」「頻繁に行われる全員参加の会議」「同僚は、開発者、協力者、知人としても一流」といったものがある。
支持率100%、50位圏外からいきなりトップに
過去の調査結果を見ると、2012年版では米アップルのティム・クック氏が、2013年版では米フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ氏がそれぞれ1位だった。今回1位となったリンクトインのウィーナー氏は昨年上位50人から外れていたが、今年は100%の支持率を獲得し、トップに浮上した。
一方で、アップルのクック氏は昨年と同じ18位(支持率92%)、フェイスブックのザッカーバーグ氏は昨年のトップから10位(同93%)に後退した。
なお米ザ・ネクストウェブなどの一部のメディアは、クック氏が17位、ザッカーバーグ氏が9位などと伝えているが、これはグラスドアの手違いで、当初4位のシュリフスキー氏がランキングに入っていなかったため。グラスドアはその後データを修正し、4位以降の順位をすべて1つ下げた。
今年の調査結果を詳しく見ると、テクノロジー企業では、米グーグルのラリー・ペイジ氏が11位、米セールスフォース・ドットコムのマーク・ベニオフ氏が13位、米イーベイのジョン・ドナヒュー氏が20位となっている。
このほか、米アマゾン・ドットコムのジェフ・ベゾス氏は33位。ソフトバンクの孫正義社長と記者会見に登場したことで日本でも有名になった米スプリントのダン・ヘッセ氏は45位、米ヤフーで経営の立て直しを図っているマリッサ・メイヤー氏は50位だった。
ネットで広がる従業員発信の待遇情報
ところで、前述の通りこれらは従業員による評価であるため、CEOのリーダーシップという要素のほかに、給与や福利厚生といった待遇に関する満足度も含まれている。
そしてここ最近は、このグラスドアのようなネット上のコミュニティで、会社の待遇情報を共有する動きが出ている。
米ウォールストリート・ジャーナルによると、これまで自分の給与水準を同僚に明かすことはタブーだった。だが2000年以降に成人に達したミレニアルズ(18〜32歳)世代を中心に、そうした考え方はなくなっている。
彼らにとって情報は力。彼らはそれを認識しており、ネット上にある待遇情報を入手し、昇給交渉の材料にしたり、転職のきっかけにしたりしているのだという。
企業にとって、かつてのように報酬額を同僚に明かさないよう求めるやり方は逆効果になりつつあるという。それをきっかけに従業員は不信感を抱き、自分が不当な待遇を受けていないか、調べるようになる。
グラスドアのようなネットサービスがそれを可能にし、同時に報酬額は個人の秘密情報ではないという考え方を広めるきっかけになったとウォールストリート・ジャーナルは伝えている。
(JBpress:2014年3月25日号に掲載)