「南海トラフ地震臨時情報」とは?巨大地震のおそれは?今なにをすべき??:防災士が解説
8日16時43分頃、宮崎県内で最大震度6弱を観測する地震(マグニチュード7.1と推定)が発生しました。
これを受け、気象庁は「南海トラフ地震臨時情報」を発表。2019年にこの制度が始まって以来、初めて発表されたことになります。
「南海トラフ地震情報」が出ると、何が起きるのでしょうか?今すべきことは…?防災士がまとめます。
「南海トラフ地震臨時情報」はどういうときに出される?
南海トラフ地震の想定震源域(この記事の冒頭の画像)でマグニチュード6.8以上の地震が発生したときや、通常の地震とは異なる「ゆっくりすべり(スロースリップ)」と呼ばれる現象が観測されたとき、気象庁では「南海トラフ地震臨時情報」を発表して、巨大地震と関連があるかどうか、専門家をまじえて検討することにしています。
つまり、この臨時情報が発表されただけでは、まだ巨大地震と関係があるかどうかすらわからないけど、とりあえず検討を始める、ということです。(8日19時17分追記:検討の結果、今回の地震では下記のうち「巨大地震注意」という情報が出されました。)
今回の場合は日向灘(宮崎県の東側の海)を震源とするマグニチュード7.1(推定)の地震が発生したため、8日17時30分から検討会が開始されました。
検討が終わると、「巨大地震警戒」と「巨大地震注意」と「調査終了」の3種類のうち、どれかの情報が出されることになります。(追記:今回の場合は「巨大地震注意」。)
「巨大地震警戒」とは?
検討会の結果、もし今回の地震がいわゆる「半割れ」という状態だと評価され、さらに反対側でも地震が起きそうだと判断された場合、「巨大地震警戒」という情報が出ます。
その場合、巨大地震が起きた場合に津波からの避難が明らかに間に合わない地域については、政府から事前避難が呼びかけられます。
ただ、巨大地震の可能性が高いというだけで、いつどのくらいの大きさで地震が発生するかまでは予測ができないため、1週間程度は事前避難を継続するものの、それ以降は自宅に戻って備えを確認しながら生活することになります。
もちろん、自宅に戻るよう政府から説明があったからと言って地震が起きなくなるわけではありません。
また、事前避難が呼びかけられない地域でも、日頃からの備えを再確認して過ごす必要があります。
「巨大地震注意」とは?
今回の地震が「一部割れ」や「ゆっくりすべり」の可能性があると判断された場合は、「巨大地震注意」という情報が出ます。
政府から事前避難が呼びかけられることはありませんが、普段よりは南海トラフ地震の発生確率が相対的に上がっているということになるため、想定震源域となる九州~東海の太平洋側では、1週間程度は自主避難も含め地震に注意しながら過ごすことになります。
もちろん、自主避難をする・しないにかかわらず、地震への備えは再確認するようにしてください。
「調査終了」の場合は?
専門家が検討した結果、今回の地震は南海トラフ巨大地震の一部ではない、と判断された場合は、「調査終了」となります。
ただ、もともと南海トラフ巨大地震はいつ発生してもおかしくない地震ですから、もとからあったその可能性がなくなることはありません。
また、今回8日に日向灘で発生した地震そのものの余震はもちろん発生するおそれがありますので、特に九州では今後1週間程度は最大で震度6弱程度の地震が再び起きるおそれがあります。
今回の地震で傷んだ建物が次の地震でさらに大きな被害を受ける(たとえば、ちょっと傾いていた建物が一気に崩れる)こともあるため、地震の後片付けは慎重に行う必要があります。
日頃の備え、できていますか?
今回、「南海トラフ地震臨時情報」が出たことで、初めて地震への備えを意識し始めた人もいるかもしれません。
まずは、落ち着いて基本を確認しましょう。最低限、以下の4つ
◆備蓄品(水・食料・災害用トイレ)、非常持ち出し品の準備
◆安全スペース(ものが落ちてこない空間)の確保
◆周囲の状況の確認
◆連絡手段の確認
を備えておくと、次に緊急地震速報が鳴ったときに、慌てて余分なケガをせずに行動できると思います。
特に、2つ目の「安全スペースの確保」は買い物に行かなくても今すぐ家の中で実践できますので、ぜひやってみてください。
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