中国の研究機関がコロナ感染は9億人と推計
ゼロコロナ政策の突然の放棄により感染爆発が起きた中国で、すでに約9億人が新型コロナウイルスに感染したという推計が国内の研究機関によって報告された。感染率は省によって変わるが、最も高い省では約91%にのぼるという。
感染ピークは12月下旬
推計結果を報告したのは北京大学国家発展研究院のチーム。その内容について中国メディア「経済観察ネット」が報じた。
報告によれば、中国の多数地域で感染のピークを迎えたのは、去年12月7日に軽症者の自宅隔離などを認める10項目の新方針が出され、コロナ規制が大幅に緩和されてから13日後の12月20日。各地でその感染ピークを超えたのは同月末だったという。
その後、今年1月11日までに全国で累積での感染率は約64%、感染者数は約9億人に達したという。
感染率には地域差があり、最も高いのは甘粛省の約91%。それに雲南省の約84%、青海省の約80%が続く。ネット上では、北京、上海、広東省などの感染に関する情報が多く見られるものの、上記のような中国西部の方が、実際には更に感染率は高いとみられるという。
調査に応じた感染者の大部分の人に発熱、咳、喉の痛み、味覚や嗅覚の変化の症状が出た。発熱症状が出た人で、38.5度以上の高熱が出たのは75%以上、発熱が3日以上続いたのは46%に達した。
8割近くが「インフルエンザよりも辛い」
また76%の人が、過去にかかったインフルエンザや風邪よりも新型コロナの方が、ずっと辛いと感じたという。
推計は、ネットでのコロナ関連の単語の検索に関するビッグデータや全国規模のアンケート調査などに基づいて出されたという。
チームのメンバーは、今回の結果が実際の感染率などとは乖離がある可能性を認めた上で、「多くの人が感染率のデータを知りたがっているものの、現在、完全に正確なデータを得ることはできないため、このようなビッグデータを使えば迅速かつ全面的に各地の感染率を推計できる」と話している。
中国の疾病予防コントロールセンターは、すでに毎日の新規感染者や死亡者数の発表を中止している。ゼロコロナ政策下で、厳格に運用されていた感染者や濃厚接触者の報告義務もすでに瓦解しており、中国での感染実態の把握は、中国当局でさえほぼ不可能とみられる。日本が中国からの渡航者に対して水際対策を強化する理由も、その辺りにあるため、今回のような推計の意義は大きい。