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世界で最も寒い村 ロシアのオイミャコンで「氷点下62℃」

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
ロシア・オイミャコンの冬(参考写真)(写真:ロイター/アフロ)

シベリアでは、あまりの寒さに電子温度計も壊れてしまったようです。

ロシア北東部オイミャコンでは14日(日)、新しく設置された温度計が下の写真のように氷点下62℃を示した後、故障してしまったといいます。地元の人の温度計では氷点下67℃にも達していたようで、北半球の最低気温の記録である氷点下67.7℃に迫る温度でした。

この厳しい寒さのため、車が故障し、外を歩いていた男性2人が凍死したと伝えられています。

一方SNS上では、まつげが完全に凍った地元の女性の動画が話題になっています。

どれほど寒い?

そもそもどれほどの寒さなのでしょうか。

一般にウォッカが凍る温度は氷点下40℃です。氷点下50℃以下になると、吐く息が瞬時に凍り「星のささやき(Whisper of the stars)」と呼ばれる、かすかな音が聞こえてくるといいます。そして氷点下60℃になると、マグロ用冷凍庫の温度と同じですから、大魚もカチカチに凍ってしまいます。

オイミャコンとは

オイミャコンには約500人の住民が生活しており、世界で最も寒い居住地として、ギネスブックにも登録されています。

この地の気温の記録は、上述した北半球の最低気温記録でもある氷点下67.7℃ですが、1924年には氷点下71.2℃まで下がったとも記述されています。そのために、オイミャコンの土産店には「-71.2」と書かれたグッズが多々売られているようです。

この村では一体、人々はどのような生活を強いられているのでしょうか。

Daily Mailによると、ペンのインクが凍り、眼鏡も顔に凍り付き、車は24時間エンジンをつけっぱなしにしておかないと再びエンジンがかからず、死者を埋葬するにも地面の氷を溶かすのに3日もかかるのだそうです。

しかしこんなに寒いのにもかかわらず、多くのお手洗いは屋外にあるようです。その理由は水道管が凍って破裂する恐れがあることと、地面が永久凍土なので地中に配管工事ができないからだとか。

オイミャコンの冬は、すべてが想像以上です。

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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