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永遠の歌姫、映画『ホイットニー・ヒューストン』公開に米紙が酷評 ボヘミアン・ラプソディの再来なるか?

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
今月13日NYでのワールドプレミアム。ホイットニー役のアッキー氏(真ん中)。(写真:REX/アフロ)

永遠の歌姫、ホイットニー・ヒューストンが、映画で蘇った。

没後10年となる今年、ホイットニーの生涯を描いた伝記映画、I Wanna Dance with Somebody(邦題『ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY』)が本国アメリカ、そして日本全国の映画館で、23日から一斉公開される。

が行われた。会場には、歴史に語り継がれるほどの感動を与えた1991年のスーパーボウルでの国歌斉唱シーン(ABCニュースでの映像)を再現したパネルが設置され、参加者は記念撮影などを楽しんだ。

(c)Kasumi Abe
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また13日にはワールドプレミアムも開かれ、ホイットニーを演じた主演のナオミ・アッキーやホイットニーをスターダムにのし上げた音楽プロデューサー、クライヴ・デイヴィス役のスタンリー・トゥッチなどが姿を見せた。

48歳で突然散ったホイットニーの栄光と複雑な生涯

6回のグラミー賞受賞経歴を持ち、映画『ボディガード』(1992年)に主演、数々のヒット曲を放った人気歌手、ホイットニー。そんな栄光の影で、彼女は2012年2月、グラミー賞の授賞式の前日に48歳の若さで生涯を閉じ、世界は唯一無二の才能を突然失った。

その死後も、元夫ボビー・ブラウンとの一人娘、ボビー・クリスティーナ・ブラウンさんが2015年に22歳の若さで、また12歳で孤児院から引き取り育て上げたニック・ゴードンさんも2020年、30歳で亡くなるなど、家族に不幸が続いた。

生前のホイットニー・ヒューストン。1996年、第38回グラミー賞授与式の前日。
生前のホイットニー・ヒューストン。1996年、第38回グラミー賞授与式の前日。写真:Shutterstock/アフロ

映画の脚本家は、過去にイギリスの伝説のバンド、クイーンとフレディ・マーキュリー(vo.)の生涯を描いた大ヒット作『ボヘミアン・ラプソディ』の脚本を手がけたアンソニー・マッカーテンだ。『ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY』への期待は否応なしに高まる。

しかし米主要紙のレビューは手厳しい。

ワシントンポストは、「当たり障りのない伝記映画。ベスト盤を聴いているようで、物語にはほとんど一貫性がない」とした。

ニューヨークポストは「マッカーテン氏の脚本には芸術性がない」「いつの日かヒューストンの超越した才能と複雑な人生を蘇らせる映画が作られるだろうが、残念ながら本作ではない」という評価だ。『Whitney』というドキュメンタリーが2018年に発表済みだが、この記事は別の作品を期待しているようだ。

低評価がある中でも観たい、ホイットニーの世界観に没入し刺激を受けたいと思うのがファン心理だろう。ボヘミアン・ラプソディ公開時のような、音楽界のレジェンドブームが再びやって来るだろうか。

関連動画1

『ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY』

関連動画2

エイティーズ(80年代)を代表するホイットニーの大ヒット曲『I Wanna Dance With Somebody』(87年)30年以上経ってもまったく色あせることはない。

関連動画3

ホイットニーがどれほどの歌唱力を持っていたか。彼女の歌声を聴いて、鳥肌が出たという経験は一度や二度はあるだろう。アメリカでも話題になり拡散された、ホイットニーの歌声に感動する赤ちゃんの動画

(Text and some photos by Kasumi Abe)無断転載禁止

ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、著名ミュージシャンのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をニューヨークに移す。出版社のシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材し、日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。

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