この夏以降、ラニーニャ発生か
世界各地で異常気象
昨年(2015年)12月、海面水温の基準値との差がプラス3.0度を記録し、2014年夏から続いているエルニーニョ現象はピークを迎えました。過去3番目の大規模なエルニーニョ現象です。
この冬は1月下旬に寒さが厳しくなったものの、全体でみると、著しく気温が高くなっています。
また、西日本の太平洋側から沖縄にかけての地域で降水量が平年より多く、沖縄気象台は18日、3回目となる長雨に関する情報を発表しました。
エルニーニョの影響は世界各地に広がっています。2015年の世界の年平均気温が過去最高となったことは大きく報道されました。また、今年1月のオーストラリア北部や南米北部の高温、そして、中国南東部の多雨がエルニーニョ現象の影響とされています。
世界気象機関(WMO)は18日、エルニーニョは終息に向かうが、世界の天候に与える影響は続くとして、注意を呼びかけています。
エルニーニョの次はラニーニャか?
現在のエルニーニョは終息に向かい、この夏には平常の状態に戻る見通しです。
しかし、予測の幅は大きいものの、今年の7月頃から、海面水温が平年より低くなる可能性があります。
また、米気候予測センター(CPC)も、この秋以降、ラニーニャが発生する確率が高くなるとしています。
エルニーニョの次はラニーニャ?と思われるかもしれませんが、過去にはエルニーニョが春に終息し、夏からラニーニャ現象が発生した例があります。
最近では6年前の2010年です。2010年春にエルニーニョが終わり、夏からラニーニャが発生しました。ほかには1998年、1973年があります。
ラニーニャはどんな影響を与える?
ラニーニャ現象は太平洋赤道域の日付変更線付近から南米ペルー沖までの海域で、海面水温が平年よりも低くなる現象です。ひとことでいえば、エルニーニョの逆の現象です。
ラニーニャも少なからず日本や世界の天候に影響を与えるわけですが、もしも、今年のような大規模なエルニーニョが終わった後、あまり時間を空けずにラニーニャが発生したら?どのような影響があるのでしょう。とても興味があります。
エルニーニョも、ラニーニャも、ともに地球サイズの海洋と大気の関係です。急に歯車が逆に回りだしても、はたしてその影響がすぐに現れるのでしょうか?
それとも、エルニーニョの影響が一部に残り、一部はラニーニャの影響というハイブリッドな状況になるのでしょうか?
前回の2010年の例では、夏は記録的な猛暑、秋は暖かく、台風の発生数は統計史上最も少ない14個でした。
【参考資料】
気象庁:エルニーニョ監視速報(No.281) ,2016年2月10日
図の説明(気象庁ホームページより):エルニーニョ監視海域の月平均海面水温の基準値との差の先月までの経過(折れ線グラフ)とエルニーニョ予測モデルから得られた今後の予測(ボックス)
各月のボックスは海面水温の基準値との差が70%の確率で入る範囲を示す
世界気象機関(WMO):Exceptionally strong El Nino has passed its peak, but impacts continue,18 February 2016
米気候予測センター(CLIMATE PREDICTION CENTER/NCEP/NWS),EL NINO/SOUTHERN OSCILLATION (ENSO) DIAGNOSTIC DISCUSSION,11 February 2016
【表紙の写真】
2010年8月21日、東京都立川市で撮影されたショウジョウトンボ。撮影時の気温は34度くらい、逆立ちしているような姿勢は「オベリスク」と呼ばれ、暑さが厳しいときに見られる。太陽光にあたる面積を小さくして、体温調節している。
【訂正】
「昨年(1015年)12月」を「昨年(2015年)12月」に訂正しました。