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中止か、無観客か! 重大決断迫られるセンバツ高校野球

森本栄浩毎日放送アナウンサー
もはや通常開催は不可能となったセンバツ。果たして開催されるのか?(筆者撮影)

 「運命の一日」高校野球史に残るであろう3月4日、大阪は未明から冷たい雨が落ちていた。行く末を暗示するかのような、陰鬱な朝だった。センバツ大会開幕まであと半月。新型コロナウイルスによる感染拡大が止まらない中、「中止」か「開催」か、いよいよその決断を下す時がきた。

状況は悪化の一途

 仮に「開催」となっても、軒並み中止を決定している他競技の状況に鑑みれば、「通常開催」はあり得ない。つまり、現在のプロ野球オープン戦がそうであるように、無観客の甲子園で試合をするということだ。さらに最悪の「中止」という究極の選択肢もないわけではない。先月19日の段階で、日本高野連の小倉好正事務局長は、開催を前提に「他競技の状況を踏まえて判断したい」としていたが、半月で、状況は悪化の一途をたどっている。

一斉休校が決定打

 さらに決定的だったのは、先月27日に、首相が突然「3月2日から、全国の小中高校を一斉に休校する」旨の要請したことだ。自治体によって温度差があると聞くが、これで学校現場が怖気づいたのは間違いない。少なくとも、公立学校は足並みを揃えないといけないからだ。当然のことながら部活動は休止を余儀なくされ、春の高校スポーツ各種大会が中止に追い込まれた。野球部とて例外ではない。8日解禁の練習試合も大半が中止で、本格的な練習は望むべくもない。センバツ出場校でまったく練習ができていない学校も少なくないようだ。

4日に一定の方向性

 いよいよ、重大な決断を迫られる時が近づいてきた。4日に開かれるセンバツ運営委員会と緊急の理事会で、高野連と毎日新聞社から、一定の方向性が示されることになる。「開催」となれば、休校中の各出場校から同意を得ないといけない。直前の行事(抽選や甲子園練習)はどうなるのか。課題は山積である。「中止」か「開催」かの二者択一ではあるが、状況の好転を期待して、開催の可能性を探るべく、結論を先送りする可能性もないわけではない。

「甲子園で試合を」

 先日、ある初出場校の主将の「たとえ無観客であっても、甲子園で試合がしたい」という談話を目にして、涙が出そうになった。これが、高校球児の本心、心の底からの叫びだと思う。選ばれた32校は、この大会にしか出られない。少なくとも、センバツの期間中、甲子園は球児たちのために存在している。ウイルス感染がまだまだ広がるかもしれないし、収束の兆しが見えるかもしれない。これから起こることは誰にもわからないが、禍根を残さないようになることを切に願っている。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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